【見直しの経緯と内容】
これまで10年以上続けてきたロード中心で距離を踏むというのが、私の練習方法だったのですが、整形外科の主治医に種子骨の肥大化を告げられ、暗に練習を控えるように宣告されたので、12月上旬からロードを走るのを控え、ジムとトレラン練習に切り替えてきた。
一週間の練習メニューであるが、週3日隔日、つまり月水金にジム、土日のどちらかに房総の山でのトレランというパターンであった。
ジムではステアマスターという階段昇降マシンでひたすら登ることだけに取り組んできた。ステアマスターは以下のような機械である。

これは来るべき今夏のUTMB完走に向けて、自分の弱点である登る力を付けるため、これまで取り組んでこなかった登りのトレーニングを行うという目的も兼ねての選択であった。
そして、このステアマスターの負荷を最強にし、その結果、運動強度は17メッツ(ランニングマシンだと時速16キロ以上出すことになる。)という過去最高強度の練習をこなしてきた。
なので、ジムでは汗だくになり、息も絶え絶えになって、脚もパンパン、吐き気を催すようなキツイ練習となって、個人的には非常に満足してトレーニングを終えて、家路についていた。
そして、ジムでの隔日練習こそが、疲労を気にせず、追い込めたし、精神的には、昨日は休んだから今日は目いっぱい練習しようという気になって、練習に手抜きをしなくなった。
毎日帰宅ランをしていた時は、徐々に疲労が蓄積し、練習のモチベーションは下がるとともに、明日も走らないといけないと思うと、目いっぱいでなく、むしろ手を抜いて走っていたのであることと比べると、この差は大きいよなあと思っていた。
これだけ限界まで追い込む練習は、走り始めて10年以上の私にとって、恥ずかしながら初めてのことであり、これは相当、走力向上が図られたのではないかと期待して、館山若潮マラソンに臨んだのである。
しかししかし、すでに記事にしており、ご存知の方も多いと思うが、結果はその期待に反して、大失速となったのであった。
レース展開的に、序盤から突っ込んだ結果による失速といえば、その通りなのであるが、突っ込んだと言っても、過去最速レベルと同等か、むしろ少し緩いくらいであるし、トレーニングの成果が出ていれば、ちょうどいいくらいのペースであったはずである。
●若潮マラソンの10km毎ラップタイム表

レースでは歩きもトイレ休憩もなかったのに、上の表のとおり、最後の10kmは最初の10kmより20分も遅れている。
同レースで記録的に過去最悪だった3年前の故障気味で、完全な練習不足ながら写真撮影のために出場したレースのタイムより落ちるという不甲斐なさに、トレーニング方法に大きな間違があったのではないかと思ったのである。
↓3年前の写真いっぱい館山若潮マラソンはコチラ
http://run-run-kazu.cocolog-nifty.com/blog/2015/02/post-18a9.html
【レースでの失速原因考察】
今回の失速の直接要因は、右ひざが痛くなって、心身ともにブレーキがかかったことだと推測しています。
100km以上のウルトラマラソンなどのロングディスタンスが好きな私にとって、フルマラソン(42.195km)でひざが痛いっていうのは、最近では記憶がなくて、かなりショックな展開でした。痛みを気にする走りとなってしまい、スピードダウンを余儀なくされたのです。
このひざ痛の原因ですが、やはりジムでのステアマスター中心のトレーニングの弊害だと思います。
着地の衝撃、特にロードでの衝撃を受ける練習を最近してなかったため、ひざ周りの筋力が低下し、逆に余計な力が入ってしまったのだと思うのです。
走り始めてすぐに、ランニングシューズによる全力疾走での足裏への衝撃の強さに、ロードを走るとこんなに衝撃を受けるんだっけかな?と違和感を感じながらも、フルマラソンぐらいなら何とかなるだろうと走り続けたのですが、結局20km過ぎから、ひざ痛がかなり顕著となって、スピードが落ちてしまいました。
これは完全にひざがロードでの衝撃を忘れていたからだと思われます。
トレラン練習はしていましたが、トレイルの下りでは、下りでの衝撃を吸収する走りをしているわけで、平地のロードの踵着地の衝撃とは異なるものだからだと思います。
それから、ジムのステアマスターでの最高強度練習では、15分タイマーであることもあり、脚の筋力と心肺能力の強化は図られたものの、持久力強化にはつながっていなかったのではないかと推測されます。
トレーニング方法の変更は、距離の短いフルマラソンでさえ走れない、持久力のない脚を作ってしまったのではないかと疑念が生じたのです。
【マフェトン理論】
そんな疑念、つまり無酸素運動は有酸素運動を駆逐するという私の仮説に対し、それを学術的な理論として唱えている偉大な先人がいることがわかりました。
それはマフェトン理論でした。
以下、ウィキペディアから引用します。
マフェトン理論とは、フィリップ・マフェトンが提唱する、マラソンやトライアスロンなどの持久力スポーツのトレーニング方法である。 有酸素運動(ペース走)の運動強度を明確に示したのが最大の業績といわれる。
■エアロビック重視
マフェトン理論では、有酸素運動の比重を、無酸素運動よりも大きくとる。
時間ベースで
有酸素運動 - 85%~90%以上
無酸素運動 - 10%~15%以下
の比重を理想とする。
マラソンにおいては、有酸素運動がペース走、無酸素運動がスピード練習にあたる。
マフェトン自身は、明確には、無酸素運動の導入の仕方を明記していないが、上記の配分に基づくと、一例としては
週7時間運動している人は、24~36分の無酸素運動を週2回
20分Up+20分Down+(80秒無酸素+2分40秒有酸素)×5のインターバルトレーニング
という配分になる。
ただし、上記の比重は、エアロビックの基礎ができている人のみが対象である。エアロビックベースができていない人は、練習時間の100%を有酸素運動に割り当てるべきである。エアロビックベースを作るには、一般には3~4ヶ月かかる。
■180公式
エアロビックトレーニングは、心拍数を基準とする。心拍数が「170-年齢」~「180-年齢」に収まるようにする(ただし自分の体力により上下加減を行う)。これを、180公式という。
つまり、最大心拍数が「220-年齢」であるとすると、目標心拍数を「最大心拍数-45」に設定するともいえる。年齢20歳で、最大心拍数200、安静時心拍数60とすると、運動強度64%HRR~71%HRRにあたる。
ただし、エアロビックトレーニングにおいて、最初の12分~15分はアップとして、徐々に目標心拍数まで上げていく。そして、最後の12~15分は、徐々に心拍数を落としていく。
■MAFテスト
MAFテストとは、180公式の心拍数にて、決められたコースのタイム計測を言う。距離としては、1600m(1マイル)くらいで行う。
MAFテストのタイムを記録することで、練習の成果と推移を判定する。
MAFテストは、ジョギングペースでのテストなので、体への大きな負担はないので、頻繁に行えるのが利点である。
■安静時心拍数
安静時心拍数をオーバートレーニングの目安として使う。普段よりも5~6以上安静時心拍数が高ければ、オーバートレーニングである。
■食事
炭水化物:蛋白質:脂肪を40:30:30に。また植物油などの不飽和脂肪を積極的にとり、加熱した油やマーガリンなどの摂取は極力避ける。
■ストレッチ
ストレッチを、もし、運動前に行う場合は、アップの後、体が温まってから行うべきである。ストレッチはアップとは目的が異なるので、アップの時間には含めてはいけない。ただし、マフェトンは、ストレッチにより可動範囲が広がり、故障が増えることを懸念している。
【今後の方向性】
マフェトン理論を、今まで知りませんでした。
いずれも私の経験則からも腑に落ちる理論です。
私のステアマスターでの追い込んでの練習は、持久力強化には全く役に立たないどころか、逆効果ということを理解しました。
むしろ、今まで月間距離を気にして、ただ距離を踏む練習だけで、ほぼ毎日、ダラダラとロードを走っていたことは、ダメな練習方法ではなくて、実は心拍数を上げないで行うトレーニングとなっており、結果的に持久力の強化につながっていたということだったのでしょう。(過去のレース実績からもそうだと思う!)
すごいぞ、おれっち! すごいぞ、かずさん!
ダラダラ走りって、絶大な効果があったんですね。
というわけで、さっそくロード練習を再開だ!(今は館山若潮マラソンの筋肉痛なので、今週末からだな)
ただ、種子骨肥大は抑えたいので、シューズを見直してのロード練習(帰宅ラン)にしよう。
今週末からワクワクだ。(笑)
追記:
私の適性心拍数は、180-52+5=133
ずいぶんと低い心拍数で走らないといけないのだな。
マフェトン理論の完全実施のため、不要だと思っていた心拍計、購入してみようかなあ・・・。
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