映画・テレビ

2018年6月30日 (土)

【映画】ゆずりは(日本)

千葉劇場の作品はなぜか私の好みと合う作品が多い。仕方なしに観た作品でこれだけ感動させられるなんて、まさに千葉劇場から頂いた幸せでした。

【映画】ゆずりは(日本)

新谷亜貴子原作の同名小説をコロッケこと滝川広志主演で映画化。葬儀社・安宅の営業部長・水島は、新入社員・高梨の教育係となる。イマドキの風貌や態度の高梨だが、実は豊かな感受性の持ち主だった。高梨と共に遺族と交流するうち、水島の心に変化が訪れる。監督は、「eiko エイコ」の加門幾生。出演は、「PARKS パークス」の柾木玲弥、「トレジャーハンター・クミコ」の勝部演之。

【ストーリー】
葬儀社・安宅で営業部長を務める52歳の水島正二(滝川広志)は、長年、“死”を仕事とすることで感情の起伏を失っていた。この会社に新入社員として入社した高梨歩(柾木玲弥)は茶髪にピアスの風貌や態度から葬儀社には不向きだと思われたが、水島が周囲の反対を押し切り、強引に採用したのだった。高梨を厳しく指導する水島たち葬儀社のスタッフは、彼が自然体で遺族に寄り添う豊かな感受性を持っていることに気付き始める。水島は高梨と共に遺族たちと交流するうち、彼の“死んだ心”も変化していく。

【作品データ】
製作年 2018年
製作国 日本
配給 アジアピクチャーズエンタテインメント=エレファントハウス
上映時間 111分
映画公式サイトへ→http://eiga-yuzuriha.jp/

【スタッフ】
監督 加門幾生 
プロデューサー 市川篤 、竹村友里 
原作 新谷亜貴子 
脚本 吉田順 、久保田唱 
エグゼクティブプロデューサー 上野由洋 、三上周治 

【キャスト】
水島正二 滝川広志 
高梨歩 柾木玲弥 
松波平二郎 勝部演之 
島かおり 
原田佳奈 
高林由紀子 
野村昇 
三谷悦代 
小林博 
前田けゑ 
巨樹 
大和田紗希 
瀬田ミナコ 

【感想】
無名の作品、コロッケが主演、といった部分で、本作品に対する期待感が薄かったのであるが、もろもろの事情で本作品を観ることにした。神の思し召しとして、何かに出会えるかもしれないと思ってのことである。

そしたら、本当に出会ってしまいました。

役者の素晴らしい演技とか、斬新なカメラワークとか、予測不可能なストーリー展開とか、あっと言わせるような映像表現とか、リアリティ溢れる演出とかは、正直なところ本作品では全くない、ある意味、ものすごく平凡な映画なのであるが、その平凡さが、本作品の日常感をより際立たせるとともに、心に深く深く染みこんでくるような、見事に完成された素晴らしい作品になっている。(こんなベタな映画で大泣きする自分が不思議なくらいでした。(笑))

本作品の日常感の一つである、どこか懐かしい風景の部分については、エンドタイトルクレジットを観て、知ったのだが、なんとわが千葉県は八千代辺りの田園風景であった。道理でと思うとともに、本作品への更なる愛着がわいてしまった。

お葬式という、現代においての非日常的な儀式において、どこかよそよそしい様な感情を抱いてしまうのであるが、身内にしてみれば、そこはやはり生身の故人と最後に接するという意味で、これまでの日常の延長でもありつつ、感謝の気持ちと少しだけ生じる後悔の念といった感情の高ぶりがあるということを最近の身内の葬儀で知るようになったし、本作品では新入社員の高梨が葬儀屋にあるまじき行動で見事なまでにそれを体現してくれていた。

実際、葬儀については、マイブログでも何度か触れていて、故人(叔母義父義母)との最後の思い出のシーンとして、自分自身、とても大事にして生きてきているという思いからしても本作品に大いに感動させられたという土壌はあったかもしれないのだが、周りですすり泣く観客のとても多かったことから、本作品は多くの人に認められるものだと思う。

年齢を重ねて、50代の大人になって、いろいろな社会常識を身に付ける代わりに、どこか事なかれ主義に的な、無難というか他者と少し距離を置いた生き様を知らず知らずのうちに体現してしまっているかもしれないということを、今一度、振り返り、自分は何のために生きているのか?何のために行動しているのか?ということをしっかり意識して、生きていきたいと思いました。

映画の感想になっていないのですが、本当に、この作品は、心に染み入る名作でしたので、何かの機会にぜひともご覧いただければと思います。

ちなみに私は、直ちにこの原作本の予約をしてしまいました。(笑)

追記:本作品は、少し葬儀屋を持ち上げすぎている気もしますし、実際、葬儀屋さんの支援を受けているようですが、今生の別れを経験することで、今、生きていることの重要さ、さらに死した人の思いを受け継いで生きていくという使命があるということが映画作品として十分に凝縮されておりますので、是非とも死に接することが少ない現代に必要な映画だと思いました。

2018年5月28日 (月)

【映画】ザ・スクエア 思いやりの聖域(スウェーデンほか)

「万引き家族」の前年にカンヌ国際映画祭パルムドールを受賞した作品。こういう不思議な映画が評価されるんだって感じです。(笑)

【映画】ザ・スクエア 思いやりの聖域(スウェーデンほか)
【映画】ザ・スクエア 思いやりの聖域(スウェーデンほか)

「フレンチアルプスで起きたこと」のリューベン・オストルンド監督による第70回カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作。有名美術館のキュレーター、クリスティアンが発表した展示作品「ザ・スクエア」。それは世間に思わぬ反響を生み、大騒動へと発展していく……。クリスティアンを演じるのは、本作で第30回ヨーロッパ映画賞男優賞を受賞したデンマーク出身のクレス・バング。共演は、「ニュースの真相」のエリザベス・モス、「マネーモンスター」のドミニク・ウェスト、「猿の惑星」シリーズのテリー・ノタリー。

【ストーリー】
スウェーデン・ストックホルム。洗練されたファッションに身を包む、著名な現代アート美術館のキュレーター、クリスティアン(クレス・バング)は、周囲の尊敬を集め、そのキャリアは順風満帆。離婚歴があるが、2人の娘の良き父であり、電気自動車に乗り、慈善活動を支援している。そんな彼は次の展覧会で「ザ・スクエア」という地面に正方形を描いた作品を展示すると発表。それは、すべての人が平等の権利を持ち、公平に扱われるという“思いやりの聖域”をテーマにした参加型アートで、現代社会に蔓延るエゴイズムや貧富の格差に一石を投じる狙いがあった。ある日、携帯電話と財布を盗まれてしまったクリスティアンは、GPS機能を使い犯人の住むマンションを突き止めると、全戸に脅迫めいたビラを配って犯人を炙り出そうとする。その甲斐あって、数日経つと無事に盗まれた物は手元に戻り、彼は深く安堵するのだった。そんななか、美術館の宣伝を担当する広告代理店は、お披露目間近の「ザ・スクエア」について、画期的なプロモーションを持ちかける。作品のコンセプトと真逆のメッセージを流し、故意に炎上させて情報を拡散させるという手法だ
った。その目論見は見事に成功するが、世間の怒りはクリスティアンの予想をはるかに超え、皮肉な事に「ザ・スクエア」は彼の社会的地位を脅かす存在となっていく……。

【作品データ】
原題:THE SQUARE
製作年:2017年
製作国:スウェーデン=ドイツ=フランス=デンマーク
配給:トランスフォーマー
上映時間:151分
映画公式サイトへ

【スタッフ】
監督:リューベン・オストルンド 
製作:エリック・ヘルメンドルフ 、 フィリップ・ボベール 
脚本:リューベン・オストルンド 
撮影:フレドリック・ウェンツェル 

【キャスト】
Christian:クレス・バング 
Anne:エリザベス・モス 
Julian:ドミニク・ウェスト 
Oleg:テリー・ノタリー 

【感想】
常々、小難しい映画が好きだと公言しているが、本作品はまさにそういう作品である。

と言いつつ、実際のストーリー展開は、それほど小難しくないというか、むしろ分かりやすい。全体として小難しい物語というかテーマになっているというのが正解。

それぞれのシーンはとても分かりやすいのだが、なんというか、実際の社会にも似た、すっきりとしないエピソードが続き、その予定調和とならない結末に考えさせられ、徐々に画面に釘づけとなってしまう。

本作品の観客に考えさせる力は抜群である。特にビジネスマンは問題解決を常に提示される展開に、頭脳フル回転だろう。(そういう私もだ(笑))

しかも、画面から得も知れぬ緊迫感が漂っており、その結果、観ている観客を金縛り的に拘束させており、これは多くの名作と呼ばれる映画の典型的な特徴の一つを兼ね備えているということなのであるが、本作品においても、151分もの長丁場の映画ながら、その長さを感じさせない圧倒的な画力と展開力のある映画となっていた。

人生経験が不足する子どもが見ても、ほとんど理解不能で面白くないと思うが、そんな子供でも、本作品の画面から解き放たれる得も知れぬ緊迫感は十分に堪能できるだろう。

個人的には、カンヌ国際映画祭の「ある視点」部門の受賞がふさわしい内容だと思うが、それ以上の高評価を得てのパルムドール受賞なのだろう。

しかしながら、こんな地味な映画は、地上波では絶対に放映されそうにないだろうから、興味のある方は、ぜひとも手を尽くして、鑑賞していただければと思います。(笑)

【ストーリー(ネタバレあり)】
複数のエピソードが同時進行的に進むので、主なエピソード5つをそれごとに記述する。

1 ザ・スクエアの宣伝

 「ザ・スクエア」という現代美術作品が展示されることとなった → その宣伝会議が開かれた → 数日後、広告代理店が画期的なプロモーションを持ちかける → 責任者である主人公は盗まれた携帯と財布問題で忙しいので、判断を部下に任せた → 作品と真逆の残酷で不条理なメッセージ動画が大炎上した → 理事会でクリスティアンは辞任となった → その後、責任者として謝罪会見を開く → 知らなくて映像が公開されたと責任逃れ的な発言をし、会見は炎上した 

2 携帯と財布盗難事件

 出勤途上で携帯と財布を盗まれる。→ GPS機能を使い携帯はあるアパートに存在することがわかる。 → 部下の提案で、脅迫文を作り、アパートに向かう → 部下に投函させようとするが部下は拒否する → やむなく有名人の主人公が投函作業をする → 急いでアパートから車で立ち去ろうとして、車をぶつける(泣) → 数日後に携帯と財布が戻る。 → アパートの子どもが脅迫文で家族に疑われたと文句を言いに来た。 → 無視するが、最後はクリスティアンのアパートまで押し掛けた。 → 厳しい叱責で子供追い返すが、子どもの声が幻聴のように聞こえ始めた。 → 数日後、子どもに謝ろうと連絡先の紙をごみ捨て場から探し出した。 → しかし電話はつながらない。 → 仕方なく、アパートに探しに行く。 → 子供は家族とともにどこかに引っ越したことがわかった。 → 一部始終を観ていたクリスティアンの娘たちは帰路の車の中で無言ながら「お父さん、どうするの?」という顔がアップになって映画は終わった。

3 女性記者との色恋沙汰

 女性記者から現代美術館に関するインタビューを受ける → 美術館のパーティで再会する → 絶対にあの女とは寝ないと何度もつぶやく → 結局、女性記者のアパートに行く → そこにはチンパンジーがペットとしていて、驚く → 激しいセックスとなる → 終わった後のゴムの処理で女と揉める → ろくでもない女だと思う → 翌日、女性記者が美術館にきて昨日のことを詰問される → 取り繕おうとする → 女は聞く耳を持たない → 事件が起きて、呼ばれて、なし崩し的に終わる

4 暴力と恐怖(イベントトラブル)

 美術館の賛助会員を集めてのパーティが開催される → 出し物(ゴリラの物まね芸術家)で現代美術愛好家を驚かそうとする → ゴリラの物まね芸術家は精神が逝っている奴で完全に暴走する → 圧倒的な暴力にその場の全員が凍りつく → 誰も抵抗できなくなる → やがてある女性をいたぶり始める → ついに女性に襲い掛かる → やっと初老の男性が反撃する → それを契機に男性たちがゴリラの物まね芸術家をボコボコにする → (たぶんなぶり殺しにされたと思われるがそのシーンはない)

5 娘たちとの生活

 携帯と財布を盗んだ嫌疑で怒っている少年が自分のアパートに来たのかと思って怒りで扉を開ける → 実は別れた自分の娘たちだった → (恐らく別れた妻との交代の時期となり)しばらく一緒に生活することになる → 娘たちと買い物しているとメッセージ動画が炎上していて急いで美術館に戻らなくてはならなくなった → ホームレスに留守番を頼み娘らを探しに行く → 娘らと美術館に戻る → クリスティアンは首になり、娘たちと過ごす時間ができる → お姉ちゃんのチアリーディング大会に応援に行く → その帰りにアパートに子供の家族を探しに行く → 娘も一緒に探しに行くことになる → アパートの住民の話で子どもの家族は引っ越したことが判明 → 一部始終を観ていたクリスティアンの娘たちは帰路の車の中で無言ながら「お父さん、どうするの?」という顔がアップになって映画は終わった。

2018年4月13日 (金)

【映画】あなた、そこにいてくれますか(韓国)

過去にもう一度戻れたら・・・。誰にでもありそうなとても切ないお話でした。

Anata

世界30か国でベストセラーになったフランス人作家、ギヨーム・ミュッソの小説を映画化した韓国発のファンタジー。過去に戻ることができる不思議な薬を手に入れた男が、過去の出来事を変えようとする。『チェイサー』のキム・ヨンソクが2015年に生きる主人公を、その30年前の姿をテレビドラマなどで人気のピョン・ヨハンが演じる。

【ストーリー】
医療ボランティアでカンボジアを訪れた医師のハン・スヒョン(キム・ユンソク)は、手術で赤ん坊を救ったお礼に“願いを叶える10錠の薬”を受け取る。彼の願いは、30年前に亡くなった当時の恋人ヨナ(チェ・ソジン)に、もう一度会いたいというものだった。半信半疑でその薬を飲んだスヒョンは、1985年にタイムスリップ。そこで出会ったのは、過去の自分。ヨナの身に起きた事実を知った若い頃のスヒョン(ピョン・ヨハン)は、彼女を助けたいと願う。だが、彼女との未来を選んだ場合、その死の10年後に生まれた娘の存在が消えてしまう。2015年と1985年、時を超えて出会った2人のスヒョンが選んだ答えとは……?

【作品データ】
原題:
製作年:2016年
製作国:韓国
配給:ギャガ・プラス
上映時間:111分
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【スタッフ】
監督:ホン・ジヨン 
原作:ギヨーム・ミュッソ 
脚本:ホン・ジヨン 

【キャスト】
中年のハン・スヒョン:キム・ユンソク 
青年のハン・スヒョン:ビョン・ヨハン 
恋人ヨナ:チェ・ソジン 
キム・サンホ 
アン・セハ 

【感想】

「あなたには、もう一度会いたい人がいますか?」

これは、映画の序盤でカンボジアの秘境の村の老人が、村の子どもを救ってくれた主人公に対しての問いかけの言葉である。

大恋愛の末、結局、身分の差をのり越えられずに、別々の人と結婚したとか、そういう人生でなかった私には、絶対に、何が何でも、もう一度会いたい人は、現時点ではいない気がする。

ただし、過去に戻って、違う選択をしてみたいことは多少あるのだが、それによって今の人間関係や生活環境が変わることまでは望んでいない。

しかし、本作品ではもう一度会いたい人は、すでに亡くなった最愛の恋人であり、その死の原因が自分に起因する故に逢いたいのであった。

そうした無念の思いを持って、過去に何度も戻ることで、亡くなる原因を排除することに成功し、最愛の恋人は生きながらえるのであるが、その選択を導くのは、別離であったりするのである。

運命とは得てして、こうした不条理を持って、でも最後には、もう一度、生きて再会できたのだから、良しとしますか

日本映画が得意なファンタジーものであるが、韓国映画もとても上手に描いておりました。むしろ感情の発露が大げさすぎる民族的特性を抑えた演出が本映画ではとてもいい味となって出ておりました。

過去に戻れる薬があったら、自分は何をするために飲むだろうか?

2018年4月12日 (木)

【映画】ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男(イギリス)

・ドアップでも本物の皮膚にしか見えなかった。
映画「ダンケルク」を観た人は、絶対に観た方が良い作品です。

Charchile

ゲイリー・オールドマンが特殊メイクによって、英国の首相ウィンストン・チャーチルになりきり、第90回アカデミー賞主演男優賞に輝いた歴史ドラマ。第二次世界大戦時の閣議記録を元に、チャーチルの首相就任からダンケルクの戦いまでの27日間が描かれる。チャーチルの妻クレメンティーンに扮するのはクリスティン・スコット・トーマス。

【ストーリー】
第二次世界大戦初期の1940年。勢力を増すナチス・ドイツは各地に侵攻し、フランスは陥落間近にまで追い込まれ、イギリスにもその脅威が迫っていた。連合軍はフランス北部にあるダンケルクの海岸に追い込まれ、窮地に。就任したばかりの嫌われ者の英国首相ウィンストン・チャーチルは、政敵に追い詰められながら、ヒトラーとの和平交渉か徹底抗戦か、ヨーロッパの運命を左右する選択を迫られる。

【作品データ】
原題:DARKEST HOUR
製作年:2017年
製作国:イギリス
配給:ビターズ・エンド=パルコ
上映時間:125分
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【スタッフ】
監督:ジョー・ライト 
プロデューサー:ティム・ビーヴァン、エリック・フェルナー、リサ・ブルース、ダグラス・アーバンスキー 
脚本:アンソニー・マクカーテン 
撮影:ブリュノ・デルボネル 
特殊メイク(ゲイリー・オールドマン):辻一弘 
音楽:ダリオ・マリアネッリ 
ヘアデザイン:イヴァナ・プリモラック 
ヘアデザイン(ゲイリー・オールドマン):辻一弘 
プロダクション・デザイン:サラ・グリーンウッド 
メイクアップ:イヴァナ・プリモラック 

【キャスト】
ウィンストン・チャーチル:ゲイリー・オールドマン 
クレメンティーン・チャーチル:クリスティン・スコット・トーマス 
Elizabeth Layton:リリー・ジェームズ 
Viscount Halifax:スティーヴン・ディレイン 
Neville Chamberlain:ロナルド・ピックアップ 
King George VI:ベン・メンデルソーン 

【ひと言】
私は「風と共に去りぬ」を史上最高の映画だと思っているのであるが、その「風と共に去りぬ」がアカデミー賞9部門(当時は部門が少なかったので、ほぼ総なめ)、それ故にアカデミー賞の信憑性を私は高く評価している。

一方、ド派手で単純明快で分かりやすいハリウッド映画は今一だと思いつつ、アカデミー受賞作品にはついつい興味をそそられてしまうのである。(本作品はハリウッド映画ではないが)

しかも本作品では主演男優賞とともに、メイクアップ&ヘアスタイリング賞を日本人が取っており、しかも大好きな歴史ものということで鑑賞した。

まずは、苦悩するチャーチルの顔がどアップに何度もなるのだが、毛穴が見えたり、肥満と加齢でたるんだ感じの質感は、本物の皮膚にしか見えなくて、まずそのことにくぎ付けとなってしまった。リアルな質感を失わず、苦悩の表情を余すことなく表現している本作品のメークアップ技術は本当にすごいの一言に尽きますね。

市井の人々の声を聴き、自らの信念に確信をもって臨む、国会での大演説は、英語を解さない私でも、その雰囲気だけで感動モノでした。

また、ダンケルクの戦いの裏側というか、戦場ではないイギリス側の描写はとても新鮮であり、しばらく前に鑑賞した映画「ダンケルク」と完全にリンクしたのもとても良かったです。

さて、ここで少し歴史的な解説をすれば、チャートルは、戦争という非常時の指導者としてイギリス国民に強く支持されながらも、戦争が終わると、すぐに、選挙で負けて内閣総辞職となている。

平時の指導者としては、失格という烙印を当時のイギリス国民は、戦争を勝利に導いた指導者にいともあっさりと突きつけるのだから、民主主義が未成熟というか、政治家に対してみる目がない、われわれ日本人からすると、イギリスの成熟した民主主義とは、素晴らしいの一言に尽きるとエンドタイトルクレジットを観ながら思いました。

そういう市民としての見識の高さを持ち得るよう、私もまだまだ勉強していかねばと強く思ったのが、私の感想です。(笑)

2018年4月 9日 (月)

【テレビドラマ】アンナチュラル(TBS)

昨夜、やっと最終回を観ることができての投稿です。(3月は忙しくて(笑))

私的には今クール(2018年第1四半期)最高の連続テレビドラマでした。

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【ストーリー】
主人公・ミコトの職業は、死因究明のスペシャリストである解剖医。
彼女が許せないことは、「不自然な死(アンナチュラル・デス)」を放置すること。不自然な死の裏側には、必ず突き止めるべき真実がある。偽装殺人・医療ミス・未知の症例…。しかし日本においては、不自然死のほとんどは解剖されることなく荼毘に付されている。その現実に、彼女は個性豊かなメンバーと共に立ち向かうことになる。
このドラマは、新設された「不自然死究明研究所(UDIラボ)」で働く人々の人間ドラマを中心に描きながら、毎回さまざまな「死」を扱いながらも、スピード感と爽快感を持って、「死」の裏側にある謎や事件を明るくスリリングに解明していく、一話完結型の法医学ミステリーである。
全体のテーマは、「死と向き合うことによって、現実の世界を変えていく」。
「死因」を見つけることによって、今を生きる人々の命を救ったり、社会制度を変えることで未来の危機を回避し、少しでもより良い世界に変えていけたら…。
彼らは一見、特殊な世界に身をおく人々だが、普通の人と変わらない日常を持っている。恋に悩み、家族関係に苦しみ、合コンにも行けば、おいしい食事も食べる。時にケンカをし、友情を育む。感情を抑えて仕事をしようと思いながらも、遺族に共鳴し涙してしまうこともある…。そんな天才でも変人でもない、普通の人々である彼らの姿を丁寧に描いていく。

●相関図
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【感想】
 石原さとみは、どちらかというとちゃらい印象の女優さんだが、本ドラマではそのちゃらさと法医学者としての真摯な仕事ぶりのギャップが良い味を出していた。

 最終回は、現代社会の闇の構図をストーリーにうまく溶け込ませつつ、主人公は権力者たちに忖度を求められ、苦悩しながら、上司が部下にその責任を擦り付けることなく、身を挺して、部下を守ろうとする辺りは、現在でなければ、これほど強い共感を得ることはなかっただろう。

 「こちらはやるべきことをやりました。あとはそちらがやるべきことをやってください」

 松倉豊扮する主人公の上司のセリフ、かっこよかったなあ・・・(見てないとわからないでしょうが)

 信念を持って仕事をする、一応、やっているつもりですが、今一度、肝に銘じておこうと思いました。

 なんて堅い話をしてしまいましたが、本作品は法医学の話で、殺人事件のミステリーとしても、珠玉のストーリーでしたね。26人も猟奇的に完全犯罪的に殺した犯人を最後に追い詰める話は、あっぱれでした。

2018年3月19日 (月)

【映画】ゲット・アウト(アメリカ)

「ゴーン・ガール」以来の衝撃的なミステリーホラー作品と思いました。全米一なのもうなずけましたが、これを見た白人観客はどう思ったのだろうか?

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『インシディアス』などのジェイソン・ブラムが製作を担当し、お笑いコンビ“キー&ピール”として活躍するジョーダン・ピールが監督を務めるという、異色コンビによるホラー。白人の彼女の実家を訪れたアフリカ系アメリカ人の青年が体験する恐怖を描く。低予算ながら、全米公開時には初登場1位を記録するなど大ヒットとなった。

【ストーリー】
ニューヨーク在住のアフリカ系アメリカ人写真家クリス(ダニエル・カルーヤ)は、ある週末に白人の彼女ローズ(アリソン・ウィリアムズ)の招待で彼女の実家を訪れる。若干の不安とは裏腹に過剰なまでに歓待されるが、黒人の使用人がいることに違和感を覚える。その夜、庭を猛スピードで走り去る管理人と、窓ガラスに映る自分の姿をじっと見つめる家政婦を目撃し、クリスは動揺する。翌日、亡くなったローズの祖父を讃えるパーティが開かれるが、集まった多くの友人が白人ばかりで、クリスは気が滅入る。そんななか、どこか古風な黒人の若者を発見したクリスは、思わず携帯で撮影する。しかしフラッシュが焚かれた瞬間、彼は鼻から血を流しながら急に豹変し、「出ていけ!」と襲い掛かってくる。クリスはローズと一緒に実家から出ようとするが……。

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【作品データ】
原題:GET OUT
製作年:2017年
製作国:アメリカ
配給:東宝東和
上映時間:104分
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【スタッフ】
監督:ジョーダン・ピール 
製作:ジェイソン・ブラム、ショーン・マッキトリック、エドワード・H・ハム・Jr.、ジョーダン・ピール 
製作総指揮:レイモンド・マンスフィールド、クーパー・サミュエルソン、ショーン・レディック、ジャネット・ヴォルトゥルノ 
脚本:ジョーダン・ピール 
衣装デザイン:ナディン・ヘイダーズ 
音楽:マイケル・アーベルス 
編集:グレゴリー・プロトキン 
プロダクション・デザイン:ラスティ・スミス 
撮影監督:トビー・オリヴァー 

【キャスト】
クリス・ワシントン ダニエル・カルーヤ 
ローズ・アーミテージ アリソン・ウィリアムズ 
ディーン・アーミテージ ブラッドリー・ウィットフォード 
ジェレミー・アーミテージ ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ 
ミッシー・アーミテージ キャサリン・キーナー 
Jim Hudson スティーヴン・ルート 
Andrew Logan King レイキース・スタンフィールド 

【感想】
私が違和感として最初に確信したシーンは、黒人である庭の管理人に対しパーティにやってきた白人たちが熱い抱擁をしていたことだった。???でしたが、最後に謎は解けました。

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ミステリー・ホラーが苦手な私は、本来であれば見ないところであるが、アカデミー賞脚本賞受賞作品ということで鑑賞した。
前にも書いた気がするが、私の人生で黒人と濃厚な接触をした記憶はない。外国人と接する機会も多くはないが、それでもアジアの人とは海外のみならず国内にも多数おられるし、白人の人とも海外旅行などで接する機会はないわけではない。
しかし黒人とは皆無であり、なので黒人の印象はリアルな接触のものはなく、映像を通しての印象ばかりで、それはスポーツであったり、映画であったりが多く、そこから導き出される身体能力の高さや明朗快活な性格みたいなステレオタイプの印象となっている。
※【書評】人種とスポーツ 川島浩平/著http://run-run-kazu.cocolog-nifty.com/blog/2013/01/post-4353.html

この映画では、そういう印象を実はアメリカ人も持っていて、その前提で成り立っていることがこの映画の本当の意味での衝撃度を増していきます。

主人公の黒人が白人女性と付き合っていることを少し恐れているとともに、黒人との接触で違和感を感じてしまう。つまり見た目は黒人なのに黒人ではないという感じを持つ。まさにお互いが人種差別的なちょっとおかしな話なのであるが、それが現実なのでもあろう。

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本作品はサイコサスペンス映画なのであるが、日本人が描くサイコは存在しえないようなえげつなさがある場合が多いが、欧米人の描くサイコは、映画「籠の中の乙女」http://run-run-kazu.cocolog-nifty.com/blog/2012/10/post-975d.htmlでも感じたが、社会の歪みの中から本当に有りそうな話に仕上げてくるところがまさに恐ろしさを倍増されるのである。

ちゃんとした定義は知らないが、人種差別というより人種に対する偏見といった方が近いような、そしてそうしたことを偏見だと思っていない常識的な部分が実はまったく根拠のない偏見から成り立っているという恐ろしさを大いに感じさせられる映画でした。

ラストシーンの「ヘルプミー」のおぞましさといったら、アメリカ社会、いや現代社会の闇の深さを感じさせるラストシーンでした。

追記:
 催眠術で自分が自分でなくなるシーンの映像描写が秀逸でした。ゾクゾクするシーンで、夢に見て凍り付きそうです。
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【ネタバレ(読むと映画観ても面白くありませんよ)】
主人公のクリスは、フラッシュで撮影した写真をニューヨークの空港警察職員で親友で不在時の飼い犬の世話を頼んでいるロッドに送ると半年前に失踪した有名な黒人ミュージシャンだとわかった。親友が今すぐそこを出ろというので荷造りを急ぐクリスであるが、ふと気になる扉があって中を覗くと赤い箱があった。そこには写真が何枚もあって、ローズと仲睦まじい黒人管理人の写真、ローズの弟と仲睦まじい黒人家政婦の写真があった。???
これは完全におかしいと確信したクリスは、白人の恋人ローズとともに、直ちにアーミテージ家から脱出しようとする。
恋人のローズは自分の車のキーをなかなか見つけられず、アーミテージ家の誰かが隠したのでないかと観客の誰もが思った瞬間、車のキーを手に微笑むローズが映し出された。
それを見たクリスは単独での脱出を図ろうとするが、ローズの母親で精神科医のミッシーにかけられていた催眠術のスイッチ(ティースプーンがカップに当る)音を聞かされ、気を失う。
目が覚めると椅子に縛り付けられていて、謎の映像を見せられる。映像の主は、パーティにきていた盲目の白人画商でお前の眼を借りるという。映像の最後に催眠術のスイッチ映像と音が映され、またもクリスは気を失う。
クリスと連絡が取れなくなった空港警察職員ロッドはニューヨークの警察に駆け込み黒人警官らに説明するが一笑に付されてしまう。
何度目かのクリスへの電話連絡がやっとつながるが、電話に出たのはローズで、クリスは2、3日前にタクシーで帰ったという。ロッドはローズを疑うが、ローズはロッドは私に好意があるみたいな話にすり替えて電話での追及は失敗に終わる。
椅子に縛り付けられたままのクリスはまた目が覚め、映像を見せられ、またも催眠術のスイッチ映像と音が映され、クリスは気を失う。
脳神経外科医のローズの父親ディーンは、自宅の手術室で盲目の白人画商の開頭手術を始める。どうやら脳を丸ごと、クリスの頭に移植するようだ。
手術の助手であるローズの弟ジェレミーが気を失っているクリスを手術台に運ぼうとして、クリスを椅子に縛っていたベルトを外したところで、クリスがジェレミーをビリヤードの球で殴打し、叩きのめした。
クリスは縛り付けられていた椅子のクッション材をほじりだして、耳の中に詰めて、催眠術で気を失わないようにして、気を失ったふりをしていたのだった。
助手のジェレミーが遅いことで手術室からディーンが出てきたところを、クリスは鹿の剥製の角で突き刺して殺害。
台所で黒人家政婦と出会うと彼女は抵抗することなく逃げる。その後、ミッシーと出会うとテーブルの上にティーカップとスプーンが目に入る。両者がそれを奪取すべくダッシュするがクリスの手が早く届いて、ティーカップは床に飛び散って、催眠術はできなくなるが、ミッシーはナイフでクリスを襲うとクリスは左手に突き刺さりながら受け止め、逆にナイフで彼女を刺し殺す。
クリスは血まみれになって玄関から出ようとしたところで、ジェレミーに襲い掛かられ、ヘッドロックを掛けられるが、一瞬の隙をついて脱出し、クリスは逆にとどめを刺す。(このシーンが執拗で黒人の白人への憎悪すら感じさせる)
その間、ローズは何をしていたかといえば、自室でイヤフォンで音楽を聴きながら、次に狙うスポーツ万能な若い黒人男性をネットで物色していた。
クリスは車のキーを見つけ、車で脱出しながら警察に電話していると、逃げていた黒人家政婦を撥ねてしまう。幼い時分に母親を助けなかったトラウマから、その黒人家政婦を車の助手席に乗せていると、後ろからローズがライフルを撃ってきたが何とか脱出した。
気を失っていた助手席の黒人家政婦が目覚めると、クリスに襲ってきた。「私の家をよくも滅茶苦茶にしてくれた」と怒りながら。どうやら彼女はアーミテージ家のローズの祖母の脳が移植されていたようだ。クリスは車をコントロールできず、木にぶつかって、車は大破し停車する。そこに銃声がし、ドアミラーが吹っ飛ぶ。ローズが追いついてライフルを撃ってきたのだ。車から脱出して、満身創痍のクリスはよたよた逃げ、それをローズが撃つが当らない。そこへ、やたらガタイの良い黒人の庭の管理人が現れ、ローズが「おじいちゃん、捕まえて!」
たぶんアメフト選手だったのであろう彼は猛烈なダッシュでクリスを追いかけ、タックルして倒す。クリスは首を絞められながら、最後の力でポケットからスマホを取出しフラッシュを焚く。もみ合う二人に追いついたローズはライフルでクリスを狙うが、「私がとどめを刺す。」と言う、今は若い黒人である祖父にローズがライフルを渡すと、フラッシュで本人の意識が戻っていた黒人はローズを撃ち、自分も撃って自殺する。
クリスが呆然とする中、腹部を撃たれ瀕死のローズはライフルに手を伸ばすが、間一髪のところでクリスにライフルを取り上げられ、さらに憎しみに燃えるクリスは恋人ローズの首を絞めはじめるが、やがて手を放す。そんなクリスに対しローズは天使のような笑顔で「貴方を愛している」と呟く。
と、そこにパトカーが到着。するとローズはパトカーに向かって、「ヘルプミー」と叫ぶ。白人警官が降りてきて、黒人のクリスをしょっ引く、いや射殺するかと思いきや、降りてきた警官は空港警察の黒人のロッドだった。ローズのがっかりした顔が映し出され、クリスはパトカーに乗り込んで、ロッドとともに出発して、映画は終わった。

※ウィキペディアによると当初のラストシーンはクリスは警察の逮捕されることになっていたが、白人警官による黒人射殺事件が多発したことからあえて、ラストをハッピーエンドにしたらしい。しかし、DVDにおいては、当初のラストシーンに変更されるらしい。

2018年2月27日 (火)

【映画】ウイスキーと2人の花嫁(イギリス)

愛するべきものに対する深い愛情、便利な都市に住む我々には得難いとてもハートフルな良い映画でした。

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スコットランドで貨物船が座礁した実際の事件に基づくヒューマンドラマ。第二次世界大戦の戦況悪化により、トディー島のウイスキーの配給が止まってしまい、島民たちは無気力に陥る。そんなとき、5万ケースのウイスキーを積んだ貨物船が島の近くで座礁する。監督は、「グッバイ・モロッコ」のギリーズ・マッキノン。出演は、「ラブ・アクチュアリー」のグレゴール・フィッシャー、「ランズエンド 闇の孤島」のナオミ・バトリック、「17歳の肖像」のエリー・ケンドリック。エディンバラ国際映画祭クロージング作品、ディナール英国映画祭オープニング作品。

【ストーリー】
第二次世界大戦中のスコットランド、トディー島。戦況悪化のためウイスキーの配給が止まり、島民たちは完全に無気力に陥っていた。島の郵便局長ジョセフ(グレゴール・フィッシャー)の長女ペギー(ナオミ・バトリック)と次女カトリーナ(エリー・ケンドリック)はそれぞれの恋人との結婚を望むが、「ウイスキー無しじゃ結婚はムリ!」と周囲に猛反対される。そんなとき、島の近くで輸出用に大量のお酒を積んだニューヨーク行きの貨物船が座礁する。沈没寸前の船内に、5万ケースものウイスキーが積まれていることを知った島民たちは、禁制品のウイスキーを秘かに救出しようとするが……。

【作品データ】
原題:WHISKY GALORE!
製作年:2016年
製作国:イギリス
配給:シンカ
上映時間:98分

【スタッフ】
監督:ギリーズ・マッキノン 
製作:イアン・マクリーン 、 アラン・J・ワンズ 
原作:コンプトン・マッケンジー 
脚本:ピーター・マクドゥガル 
撮影:ナイジェル・ウィロウビー 
衣装:ギル・ホーン 
音楽:パトリック・ドイル 
美術:アンディ・ハリス 
編集:アン・ソペル 

【キャスト】
ジョセフ・マクルーン グレゴール・フィッシャー 
ペギー・マクルーン ナオミ・バトリック 
カトリーナ・マクルーン エリー・ケンドリック 
ワゲット大尉 エディ・イザード 
オッド軍曹 ショーン・ビガースタッフ 
ジョージ ケヴィン・ガスリー 
マカリスター牧師 ジェームズ・コスモ 
アンガス ブライアン・ペティファー 
女たらしのサミー イアン・ロバートソン 
ブラウン マイケル・ナードン 
ミセス・キャンベル アン・ルイーズ・ロス 
ワゲット夫人 フェネラ・ウールガー 

【感想】
ウイスキー好きにも、映画好きにも、最高の一本というキャッチコピーに釣られ、ウイスキー好きではないが映画好きなので鑑賞しました。(笑)

娘の父親という立場にない私は、良く描かれがちな娘が嫁に行く父親の哀愁に一種の憧れ的なものはある。

本作品では、娘の結婚を先延ばしにする方策として、ウイスキーが無いことをひとつの理由にしているのだが、そのウイスキーが偶然目の前に舞い込んでくる。
土曜にウイスキーの漂着を認識し、その夜、村人こぞって、牧師さんまでも交じって、小舟でウイスキーを盗みに出かけようとするのだが、日曜に切り替わると、安息日として、その作業を村人全員がやめてしまう。
敬虔なクリスチャンとはそういうものかと感心するが、結局安息日明けの翌日深夜に結局ウイスキーを盗んでくるのは笑えた。

上に挙げたのは一つのエピソードなのであるのだが、いくつも笑えるエピソードを盛り込みながら話は進んでいくのだが、それは実にわかりやすいストーリー展開であり、主人公側は法的には正しくない振る舞いを続けるのだが、そんな硬いこと言わずにと思わず許してしまいたくなる感情移入を躊躇することなくできる、善良で素朴ないまどき珍しい人情味あふれ、ほっこりできるハートフルな古き良き映画でした。

2018年1月31日 (水)

【映画】ベロニカとの記憶(イギリス)

本作品のテーマである「人は過去を修飾し、都合よく編集する」とは、その通りだと思う。ゆえに、もはや私は真実の過去が思い出せないのだ(笑)

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英国ブッカー賞受賞小説『終わりの感覚』を「めぐり逢わせのお弁当」のリテーシュ・バトラが監督したミステリードラマ。引退生活を送るトニーの元に、弁護士から一通の手紙が届く。それによると、40年前の初恋の人の母親がトニーに日記を遺しているという。出演は、「ミス・シェパードをお手本に」のジム・ブロードベント、「さざなみ」のシャーロット・ランプリング、「つぐない」のハリエット・ウォルター、ドラマ『セルフレス 覚醒した記憶』のミシェル・ドッカリー。

【ストーリー】
引退生活を送るトニー(ジム・ブロードベント)の元に、見知らぬ弁護士から一通の手紙が届く。
それによると、ある女性がトニーに日記を遺したという。
その女性とは40年前の初恋の人ベロニカ(シャーロット・ランプリング)の母親で、遺品の日記はトニーの学生時代の親友のものだった。
ベロニカと再会したトニーは、若くして自殺した親友、初恋の秘密など、長い間忘れていた青春時代の記憶が揺らぎ始める。
過去の謎が明らかになったとき、トニーは人生の真実を知るのだった……。

【作品データ】
原題:THE SENSE OF AN ENDING
製作年:2015年
製作国:イギリス
配給:ロングライド
上映時間:108分

【スタッフ】
監督:リテーシュ・バトラ 
原作:ジュリアン・バーンズ 
脚本:ニック・ペイン 

【キャスト】
トニー・ウェブスター ジム・ブロードベント 
ベロニカ・フォード シャーロット・ランプリング 
スージー・ウェブスター ミシェル・ドッカリー 
セーラ・フォード エミリー・モーティマー 
エイドリアン・フィン ジョー・アルウィン 
マーガレット・ウェブスター ハリエット・ウォルター 
若き日のトニー ビリー・ハウル 
若き日のベロニカ フレイア・メーバー 

【感想】
「めぐる逢わせのお弁当」は実に良い映画だった。だからその監督の作品ということで、観たのであるが、またしても日常的に普通にありそうな、でも不思議な世界に、誰の人生にも起こりうる出来事に心揺さぶられた。

学生時代は楽しく時間を無駄に費やした時代である。今思えば、その時間を取り返したいくらいだが、そう思える今のために過去は存在する意義があるのだろう。

そして、若いころは、自らの可能性や未来に心躍り、ゆえに周りが見えなく、自分に都合の良い生き方をしていたことも想像に難くない。

しかし、それが実際、どうだったのかと言えば、冒頭に記載した「人は過去を修飾し、都合よく編集する」のとおり、今や真実は忘れ、自分に都合の良い思い出になっていると思う。

実際に数年前にあったことだが、まだ、私は山登りにまったく興味がなかった20代の頃に、両親の希望をかなえるべく、家族で富士山に登りに行ったのだが、母親が6合目あたりで体調が悪くなって、引き返したことがあった。

自分はずっとそう思っていたのだが、あるとき母親から「あんたが気分が悪くなって戻ろうというから下山したのよ」と何年か前に言われたことがあり、そんな記憶は自分の中では完全に欠落し、自分にとって都合の良い記憶に書き換えられていたのだ。
(しかし、今これを書きながら思ったのは、実は母親の記憶が改変された可能性もゼロではないのではと思い始めた。そうなるともはや真実は誰もわからない(笑))

私は男性であり、この主人公のようにかなり自己中のわがままな人間なので、主人公に素直に感情移入でき、しかも、すっかり忘れていたこの悲惨な過去をすぐに教訓めいた出来事として未来に生かそうとすることに即座に同意できた。

一方、本映画を女性が見た場合、ベロニカに感情移入して、今なお苦悩するベロニカの辛さを思いやることもできず、むしろ過去の傷をえぐる行為を平然としてしまう、思いやりの欠けた、いや愚かで無神経な主人公をきっと許せないだろうし、今まで耐えて生きてきたベロニカの人生に同情しつつ、彼女の誇り高き生き様に共感するだろう。

そういう意味で、本作品は男女や性格の違いで、いろいろな感想が生まれる作品だと思うし、それが監督の狙いであるだろうが、私はそのもっとも単純で愚かな男性の部類に入るんだなあと思わされる見事な映画でした。

【ネタバレ】
年金生活を送るバツ1の主人公トニーは、元カノのお義母さんの遺品(自殺した親友の日記)を譲り受けることになったのだが、娘である元カノの拒絶により遺品を受け取れなくなっていた。
トニーの元妻は弁護士なので、そのことを相談し、その中で、40年前の学生時代の恋人であるベロニカとの思い出を元妻に語り始める。
出会いからなかなかHをさせてもらえず、それでも彼女の実家に泊まりに行くと、彼女のちょっと色っぽいお母さんと仲良くなったこと、彼の大親友で自殺したエイドリアンとの思い出などを思い出す。
また学生時代の親友たちのことも思い出し、メールで連絡し、再開した際に、遺品問題の話をすると、ベロニカと連絡を取るために、旧友がファイスブックで彼女のお兄さんを見つけ、メッセージをお送り、ベロニカと会うことになった。
思い出のつり橋で再会を果たすが、なぜ日記を私に渡さないかと詰め寄ると、ベロニカは古い手紙をトニーに渡し、一方的にその場を立ち去ってしまう。その彼女の後をつけ、彼女の自宅を突き止め、彼女の家の近くで待ち伏せる。まさにストーカー状態。
元妻に学生時代のことを語る中で、ベロニカとの別れを思い出す。親友エイドリアンと付き合い始め、それに対しエールを送るような別れのシーンを思い出す。

娘の早産騒ぎに巻き込まれ、手紙を読むのが遅れたトニーであるが、手紙を読んで衝撃を受ける。ベロニカとの別れのシーンは実は、ベロニカに対して、エイドリアンと子供を作れば、その子を呪うというような酷い文章を書いて送っていたのだった。

そうなるとトニーは彼女に対して、懺悔の気持ちを持ち始め、ベロニカに謝りたいと思うようにって、待ち伏せし始める。

それでベロニカを見つけるが、彼女は、知的障害者グループの散歩に同行しているシーンを見つけ、彼女がそのグループと離れ、そのグループがパブに入ったので、パブに一緒に入った。
パブの中で、ベロニカと特に親しくしていた40歳くらいの中年男性に声をかける。彼は親友のエイドリアンにそっくりで、しかも彼の名前はエイドリアンで、トニーは彼女の子どもだと認識する。

トニーは、さらに衝撃を受けるのだった。
しかし、真実はさらに残酷だった。ベロニカの子だと思っていたエイドリアンは、実は弟だったのだ。つまり、ベロニカの彼氏エイドリアンは、彼女の母親とそういう関係になり、それに思い悩んで自殺したということだったのだ。
それを知ったトニーは、ベロニカに日記はいらないと伝え、彼女に懺悔し、自分がいかに幸せだったかを思い知り、自分の元妻と娘らに、自分お宝であると言って、映画は終わった。(実は映画の終盤、自分の過去に思いが巡って、ストーリーをよく覚えていないので、間違っているかも(笑))

2018年1月 7日 (日)

ランニングは最高の若返り方法だって(NHKスペシャル人体)

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NHKスペシャル 人体

第 3 集“骨”が出す!最高の若返り物質

2018年1月7日(日) 21時15分 ~22時05分(49分)
再放送1月10日(水)0時10分~1時00分
脳や体をいつまでも若々しく保ってくれる“秘密のメッセージ”が、なんとあなたの体を支える「骨」から全身に送られていた!カルシウムのかたまりに思える骨に秘められた、不思議なパワーを解き明かす。(以上NHK公式サイトからの引用)
【ひと言】
いつもの日曜の夜のようにバラエティ番組「イッテQ」を見ていたのですが、その特番も終わりチャンネルを変えるとやっていたのがNHKスペシャルでした。

そしたら、ランニングは骨を強化するのに最高のスポーツみたいな話が始まっていて、骨は若さを維持するという機能を持っているという結論が実験で証明されていたのに驚いた。

骨に衝撃を与えることで、骨が強化されるからで、自転車ではほぼ座っているのと同じだから骨が強化されないと解説されていた。

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骨が衝撃を受けると骨を強化するべく、ある物質が出てくるのだが、それが出てこなくなると、上に書いてあるように、記憶力、免疫力、筋力が低下する。

つまり、老化するということらしい。

走ることで骨に衝撃を与え続けるランナーは、膝への負担が少ない、つまり骨の衝撃が少ないサイクリスト(自転車乗り)より3分の1も骨粗鬆傾向にならないらしい。

そんなこと、これまで自分もそうだし、誰も知らなかったよな。

Ws000236
骨が健康な状態である限り、体の臓器の若さは保たれますだって

そんな万能なんですか?骨って

Ws000237

そして、最終結論は

骨は若さをつかさどる

足裏が痛いけど、ランニング止められないな。(笑)

それよりも、歳とって、最悪寝た切りとかになると、骨はボロボロで、老化も進むということなのだろうか・・・。

いつまでも元気で動き続けられることが、やはり重要ということなんだろうな。

終盤からしか見てないので、再放送しっかり見ないとね。

2017年12月29日 (金)

【映画】彼女が目覚めるその日まで(アメリカ)

愛とは信じることなんだと改めて思いました。そして、本作品が事実に基づくと言われると、より感動してしまうのでした。

Kanojyo

ある日突然、感情がコントロールできなくなる原因不明の病に侵された若き新聞記者が、両親と恋人の支えによって人生を取り戻していくさまを描く、クロエ・グレース・モレッツ主演の人間ドラマ。2009年に抗NMDA受容体脳炎に侵されたニューヨーク・ポスト紙の記者スザンナ・キャラハンが自らの闘病をつづったノンフィクションが原作となっている。

【ストーリー】
ニューヨーク・ポスト紙に勤める21歳の若手記者スザンナ・キャハラン(クロエ・グレース・モレッツ)は、いつか一面を飾るとの夢を掲げ仕事に励んでいる。プライベート面でもミュージシャンの恋人スティーヴン(トーマス・マン)との交際を始め、公私ともに順調だった。しかし物忘れがひどくなり、大切な取材で大失態を犯す始末。さらに幻覚や幻聴に悩まされるため不眠に陥り、全身が痙攣する激しい発作を起こすまでに。それでも検査で異常は見つからず、日に日に混乱し会話もできなくなったスザンナを精神病院へ転院させるよう勧める医師たち。スザンナの瞳の奥の叫びを感じていた両親とスティーヴンは決して諦めずに彼女を支える。

【作品データ】
原題 BRAIN ON FIRE
製作年 2016年
製作国 カナダ=アイルランド
配給 KADOKAWA
上映時間 89分
映画公式サイトへ

【スタッフ】
監督 ジェラルド・バレット 
製作 AJ・ディクス 、 ベス・コノ、シャーリーズ・セロン、リンジ ー・マカダム、ロブ・メリリース 
製作総指揮 リサ・ウォロフスキー、ダニエル・ハモンド 
アソシエイト・プロデューサー トッド・ジルー、ジェイソン・トビアス 
原作 スザンナ・キャハラン 
脚本 ジェラルド・バレット 
衣装デザイナー ファルナズ・カーキ=サディグ 
音楽 ジョン・パエザーノ 
編集 JC・ボンド 
キャスティング モーリーン・ウェブ、コリーン・ボルトン 
プロダクションデザイナー ロス・デンプスター 
共同プロデューサー ジェラルド・バレット、スザンナ・キャハラン 
撮影監督 ヤーロン・オーバック 

【キャスト」
スザンナ・キャハラン クロエ・グレース・モレッツ 
スティーヴン・グリウォルスキ トーマス・マン 
トム・キャハラン リチャード・アーミティッジ 
ローナ・ナック キャリー=アン・モス 
マーゴ ジェニー・スレイト 
リチャード タイラー・ペリー 
アレン アレックス・ザハラ 
ジゼル ジェン・マクレーン=アンガス 
上院議員 ケン・トレンブレット 
ナジャー医師 ナヴィド・ネガーバン 
ライアン医師 ロバート・モロニー 
カーン医師 アガム・ダーシ 
シスキン医師 ジャネット・キダー 
サムソン医師 ヴィンセント・ゲイル 

【ひと言】
2007年、つまりは21世紀になってようやく急性脳炎の一つと位置付けられ、正式に「抗NMDA受容体脳炎」という名前が与えられるまで、精神の病や悪魔憑きと誤判定され、正しい治療を受けることすら難しかったという難病があることを当然、私のような素人は知らなかった。
日本でも推定で年間1000人ほど発症しているのではないかと言われているが、推定となっていることから想像すると恐らくは精神疾患と診断されているのであろう。

そういう事実を認識できたということだけでも本作品を見た甲斐があると言えるが、本作品に溢れる家族愛と諦めない心がとてつもなく篤く感動的なのである。

医者の言うことを信じない、娘のために、真実を求め続けることで、医師の気持ちすら動かし、最終的に病気の原因を突き止める。

理性的、合理的であろうとする生き方を理想としている私だと、困難を突破する力が足りないような気がしてしまいました。

家族を信じること、大事ですね。

【ネタバレ】
 21歳のスザンナ・キャハラン(クロエ・グレース・モレッツ)の毎日は、希望と喜びに満ちていた。憧れのニューヨーク・ポスト紙で、まだ駆け出しだが記者として働き、いつか第1面を飾る記事を書くと燃えている。プライベートでも、プロのミュージシャンを目指すスティーヴン(トーマス・マン)と付き合い始め、会うたびに互いの想いが深まっていた。
 そんな中、父(リチャード・アーミティッジ)と母(キャリー=アン・モス)が、バースデイ・パーティを開いてくれる。二人は離婚していたが、娘のスザンナを通して良好な関係を築いていた。それぞれのパートナーとスティーヴンに囲まれて、ケーキのキャンドルを吹き消そうとした時、スザンナは初めて体調の異変を感じる。皆の声が遠のき、めまいを覚えたのだ。
 デスクのリチャード(タイラー・ペリー)から、スキャンダルを抱えた上院議員のインタビューという大きな記事を任されるスザンナ。彼女の才能を認める先輩記者のマーゴ(ジェニー・スレイト)からの後押しもあっての大抜擢だ。
 ところが、スザンナの体調は、日に日に悪化していく。視界が揺れ、会話も聞き取れず、夜も眠れなくなり、締め切りを破るだけでなく綴りや文法までミスしてしまう。やがて手足が麻痺するようになり、病院で診察を受けるが、検査結果はすべて異常なしだった。
 遂にスザンナは、取り返しのつかない失敗を犯す。上院議員のインタビューの席で、スキャンダルに引っ掛けた下品なジョークで彼を侮辱したのだ。リチャードから激しく叱責されるが、なぜそんな言葉が口から出たのか、スザンナ自身にも分からなかった。
 今度は突然、激しい痙攣の発作を起こすようになるスザンナ。両親に付き添われて精密検査を受けるが、やはり異常はない。そうこうするうちに、劇的な幸福感に包まれてはしゃいだかと思うと、その直後には深い絶望感と被害妄想が沸き起こって周囲の人々を罵倒するようになり、会社の上司はもちろん、両親さえも手に負えなくなってしまう。
 何度検査を受けても、医師たちは「異常なし」と繰り返し、精神の病だと決めつける。必ず原因を究明すると決意した両親と、「絶対に治るから、一緒に頑張ろう」と誓ったスティーヴンが支え続けるが、次第にスザンナは手足が動かなくなり、全身が硬直し、口さえきけなくなってしまう。
 あと3日間の観察で変化がなければ、精神科へ転院させると宣告する医師たち。期限が迫るなか、一人の医師がスティーヴンの“医者は治すのが仕事だろ”という言葉に突き動かされ、病院外の医師に熱意をもって支援を仰いだ。
 その医師の名前はナジャー医師。丁寧な診察を行いながらも、なかなか原因を突きとめられない中、時計の絵を描かせて、右脳が炎症を起こしていることを確信し、脳の生理検査を受けさせて、「抗NMDA受容体脳炎」であることが確定した。
 治療がはじまり、スザンナは完治し、歩くリハビリをし、職場にも復帰し、デスクから前よりいい記事だと褒められ、同僚からも温かく迎えられて映画はエンドロールを迎える。
 エンドロールでは、本物のスザンナとスティーブンの結婚式の写真やナジャー医師とのツーショットが表示され、本当の話であったことを感じさせつつ映画は終わった。

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