UTMF2019リタイア顛末予告編
トレイルランニングとは、ご承知のとおり、トレイルを走るスポーツである。
トレイルの訳は、小路ということらしいが、野山で人が通る未舗装の道という意味である。
現代社会でそれがどのように存在しているかといえば、登山道であったりハイキングコースがまさにトレイルである。
今回はあいにくの雨、富士山付近は大量の火山灰がばらまかれている地域であり、すなわち無舗装の道は、雨が降れば泥濘(ぬかるみ)になるのはわかっており、それはそれで楽しめた。
公私において、どんな環境においても楽しんでしまうのが、自分の特徴であり、それこそが私の強みなのだと思っており、今回のUTMFでも、泥濘とそれに伴う大渋滞の連続にも、心を折れず、むしろその困難さの増加にますますやる気が出て、克服する強い意志がみなぎっていたのであるが、中間地点直前の強烈な眠気で思考力が低下して、望もしない大失敗を犯してしまった。
気持ちの整理も含めて、記録として書き記しておきたいので、まずは箇条書きやデータとして、忘れないよう記事にします。
【レース前】
・寝坊し、首都高速は大渋滞で、1時間以上の大遅刻
・スタート2時間ちょっと前に50キロ離れたゴール駐車場にやっと到着し、そこから師匠を乗せてスタート地点に向かう。
・スタート地点の富士山こどもの国の駐車場も大渋滞で、なんとか最奥に駐車
・駐車できたのはスタート1時間10分前
・まずはゼッケンをもらいに受付にいく
・ゼッケンはもらえたが装備チェックでタイツがなくて再チェックに
・まずはトイレに立ち寄り、車中で着替え・テーピングに装備
・10分前に準備完了
・再チェックに向けてダッシュでスタート会場に向かう
・再チェックと荷物預けが終わり、3分前にスタートの最後列に並ぶ
・号砲が鳴って、気が付くとゲイターのセット忘れに気が付き、本当の最後尾に抜け出しセッティング
【レース編】
・師匠とはぐれたので、スタートも見送る鏑木さんとハイタッチしてスタート
・まずは広大だが雨で誰もいない「こどもの国」の中を駆け巡る
・裏門から7年前も走った2間幅程度の未舗装林道に出る。
・下り基調を快調に進んでいると突如大渋滞(約10分)12:40-50
・渋滞の原因は大きな水たまり(水たまりをよける形で、両サイド一列で抜けていたため、実際にシューズが濡れるのを気にしなければ、渋滞は起きないのだが、最後まで待ったので、濡れないように進みました。)
・最初のウォーターステーション粟倉16㎞地点に到着(14:06)。渋滞はあったものの予定より25分早い到着。順調!
・粟倉を出るとすぐに渋滞(14:10)。理由はシングルトラックになり、渡渉があったから。(渋滞約35分)
・ここからは高圧線下の、たぶん電力会社の人しか通らない無舗装歩道(シングルトラック)を進みました。7年前の記憶どおりの景色も望めない道を淡々と走ります。
・シングルトラックでしたが、またも大渋滞発生(15:10)。足場の悪い谷越えの連続による速度低下が原因の断続的な集中渋滞(渋滞約50分)
・第1エイド富士宮(23㎞地点)に到着(16:12)。渋滞地獄で予定より32分オーバー
・野外にテントだけのエイドで、クリームパンでカロリー補給し、給水だけして、滞在3分でリスタート。これだけで93人抜き。休憩時間でしか抜けない悲しさよ(笑)
・天子ヶ岳登山口(31㎞地点)までの舗装路約8キロを約1時間でほぼ走り切って、登山口でアンダーウエアを一枚だけ羽織り、ライトを装着した。(17:19)
・傾斜がきつくなる一方の登りを休まず進み続ける。ここの登りではそれほど抜かれることなく進めた。
・1時間半で、標高差800mの天子ヶ岳(1330m)34㎞地点に到着(16:49)
・天子山地を縦走し、長者ヶ岳(1335m)に到着(19:19)
・天子山地のラスボス熊森山(1575m)に9時半頃到着。休まずに下りに進む。
・まさかの大渋滞。雨でぬかるんでズルズルの下りの速度低下による大渋滞。最初の渋滞個所まで30分停滞。
・待っている間の体温低下が半端なく、レインジャケットを羽織った。
・その後もズルズルの箇所で断続的な大渋滞。(トータルで渋滞2時間くらい)
・渋滞に業を煮やした後方の外国人から、「Do not be afraid. go!go!」の掛け声が印象的でした。
・誰も進まない空いているルートを果敢に進み、珍しく転倒2回。それでもたぶんランナー中、転倒回数は最少回数だと思います。通常のランナーは10回以上、数えきれないほど転倒し、尻餅ついていたはずです。
・この泥んこトレイルを俺の腕の見せ所だと思いつつ、あまりの渋滞、つまり下れないランナーによる速度低下には、ちょっとイラつきました。(笑)
・長い長い舗装路をこまめに走っていると、もうじきエイドのアナウンスがあって、何気にランナーを抜いたら、「かずさん」の声に振り向くと、なんと歩いていたランナーの一人は師匠でした。
・師匠は脚の調子が悪いとぼやいていました。それでも私が走っているので、つられるように走り出すと、元来スピードは速い師匠はそのまま先行してエイドに先着しました。(道中でも155人抜き)
・私も想定外の大渋滞ながら、想定より30分も早い深夜12時に第2エイド麓(51㎞地点)に到着。3分の1近く進んで、想定時間に余裕ができたことで完走に望みが出てきた。
・このエイドは大きな屋根付きスペースに設けられていて、B級グルメで有名な富士宮焼きそばのコーナーがあったが、長蛇の列だったので、諦めて、クリームパンをつまんだ。
・師匠は長い休憩に入るだろうと思い、わずか5分ほどの休憩でエイドを出発。順位的には300人くらいは抜かしたのではないか?(確認すると318人を抜いていました。)
・しばらくは東海自然歩道の緩やかな上りであるが、休憩を短くした分、休みながらの歩いて進む。
・エイドから6.5㎞で竜ヶ岳(1475m)への本格的な登りが始まった。
・ここで予想外に早く、登りが登れなくなってしまっていた。後続から追いついてくるランナーを抜かさせながら(日本の狭いシングルトラックでは立ち止まって抜かさせるしかない)登り続けた。
・かなり寒くなってきたが、何とか休まずに進むことで、体温を維持することができた。
・それにしてもまだ序盤なのに登れなくなってきているのが気がかり(後で思うにズルズルの下りで脚を消耗したせいなんだろうと思う。)
・頭上の風音はビュービューとものすごい音だ。100mくらい上の方から聞こえる感じで、そろそろ竜ヶ岳の丸みのある山頂部に近づいて感じの傾斜が緩く笹に囲まれた登山道を進んでいると頂上に到着!
・山頂からはしばらくは緩い傾斜の下りだったが、そのうちに竜ヶ岳らしい九十九折りの激下りが始まる。
・ズルズルの下りにもたつくランナーが多い中、登りで抜かれ続けた憂さを払うべく、好きな下りで少しずつ抜き返す。
・7年前のUTMFで師匠と一緒の激下った下りとは思えないほどの泥濘地帯に懐かしくも驚きながら進んだ。
・下りでは当然、シューズの前が詰まり、つまり足指に大きな負担がかかり、右足の親指がかなり痛くなってきているのが気がかりだが、気にせず、下りで続けた。
・ズルズルでドロドロのトレイルなので、私のシューズは泥まみれ。転倒している者は全身泥まみれなのだ。(笑)
・竜ヶ岳を下りきったら舗装路だった。暗くてわかっていなかったが本栖湖畔の周回道路を進んでいたようだ。疲労感は強いが、平坦と下りは淡々と走り続け抜かし続けて、第3エイドの本栖湖には予定より4分遅れで到着した。(04:30)この区間は83人に抜かれた。(笑)
・本栖湖エイドでは、湯葉丼なる紙コップに入っていたものを食し、塩分補給もかねて、インスタントのみそ汁を自分でセットしてお湯を入れて飲んだ。
・このエイドは、給食テントが少し離れた場所にあり、ちょっと不便だったが、疲労感が強く、レース中、初めて座った。
・特に何もしていないのだが、みそ汁が熱かったりして、座るとなぜか時間が経過し、結局13分も滞在してのスタートとなった。それでも167人抜き(笑)
・かなり明るくなって、ライトなしで進む。
・少し休憩して、回復したかと期待したが、登りが始まってすぐに息が上がった。牛歩登りで抜かされ続けながらの登りで相当数抜かれた。
・稜線上のトレイルを細かくアップダウンしながら進む。普段なら調子の出るコースパターンなのであるが、今回はさっぱりで、下りも歩いて、抜かれまくりの展開。
・それでも烏帽子岳からの下りは、頑張って、ゆっくりながら走って下った。ゆっくりなんで何人にも抜かれたが、歩いているランナーを何人も抜かして下りきった。
・登りで唯一抜いた赤シャツの中国人ランナーがいたのだが、やはりこの位置にいるだけあって、下りではあっさり抜かされた。
・下りきると次のエイドまで5キロ余りのかなり平坦な道になると地図から読み取れていたのだが、予想外にトレイル(青木ヶ原樹海の中)がコースだった。
・これでは想定の7時半到着は難しいなと思いつつ、何度か座って、1分くらい目をつぶったりした。
・眠くても舗装路なら何も考えず足を出していれば走れるのだが、不整地のトレイルでは足元を見て脚の置き場を判断できる思考力がなくては走れず、蛇行しながら歩いて、時々睡魔に負けて記憶を失いながら、進んだ。
・そうこうしていると気が付くとエイドに着いた。かなりの人数のランナーがそこかしこで休んでいた。自前の椅子やサポーターのいるランナーが多かった。
【リタイア顛末】
・第4エイドで中間エイドにあたる精進湖エイドでは預けていたドロップバッグを受け取った。
・まずは座る場所を確保し、食料を探しに行くと、カップおかゆがあったので、梅粥を手にして、席に戻った。
・二晩目は寒くなることが予想されていたので、防寒用アンダーウエアを取り出し、ザックにしまった。
・次にライトの電池を取り外し、軽量化のために使い切った電池は返送し、新しい電池に交換した。
・後半戦の手持ち地図を取り出して、見もしないでランパンのポケットにしまった。
・すっかり晴れてきたので、これなら濡れていないシューズを履くと気持ちいだろうなと思い、交換する気になって、気になっていた右足の親指を確認すべく、ソックスを脱ぐと、テーピングが外れていて、まめができていた。
・仕方がないので、テーピングを外し、足指を乾かしながら、おかゆを食べ、食べ終わってから、両足10本の指にテーピングしなおした。
・新しいソックスに新しいシューズで、これなら完走だという気になって、眠気もなんとかなってきたので、出発前に腹ごしらえだと思い、もう一度梅粥とクリームパンを食べた。
・ドロップバッグを預けて、エイドを出発!
・ここで現在時刻を確認したら、なんと9時28分になっていた。8時半くらいだと思っていた私は、まじかよ?1時間半も俺はエイドで休んでいたのか?
・じゃあ、次のエイドの関門時間はと確認すると、さらに衝撃の事実に気が付いた。関門時間は12時50分と残り3時間20分しかなかった。
・17㎞を3時間20分てことは、時速5㎞。それは無理だ・・・。
・しかし、周りのランナーはひたすら前を向いて次のエイドを目指しているので、自分も次のエイドに向けて走り始めた。走りづらい青木ヶ原樹海の中も走った。
・樹海を過ぎると国道139号線の歩道を進むことになった。緩やかな上りが続く道で、7年前のUTMFで師匠とともに歩いたことを思い出した。
・スマホを取り出し、ラインを立ち上げると、師匠はリタイアして、車中泊するとのメッセージが入っていた。
・すでに赤池を過ぎ2キロは進んだところであるが、残り15キロの山道を3時間では時間内にたどり着くのはすでに分かっていたことなのだが、止める理由ができた気もして、ここで踵を返して引き返しながら、師匠にラインを打った。
・師匠からは諦めるなというメッセージをいただいたが、なぜ次を確認しないで、のんびりとさっきのエイドで長逗留してしまったのかを後悔しながら、精進湖エイドに向かって戻った。
・戻りすがら、諦めない数多くのランナーとすれ違いながら、彼らにエールを送る気持ちすらなく、戻っていたのだが、途中でそうじゃないと気が付き、すれ違う彼らにエールを送りながら戻ることができた。
・真っ当なトレイルランナーに戻って、同じようにエイドに戻る日本語も英語もできない中国人ランナーとスマホで翻訳しながら会話して、エイドに戻った。
・彼は北京からきて、UTMFには1回目の挑戦だったそうだ。彼が気にしていたのは、途中リタイアして、自分がどうなるのか?だった。タクシーやバスのことは、私にはわからなかったので、スタッフに引き継いで、別れた。
・リタイア申告すると、UTMBと同じようにバーコードが切り取られた。
・今、やっとこのエイドに到着した頑張ってきたランナーとして、すでに片付けの大半を終えて、手持無沙汰の多くのエイドスタッフから賞賛の拍手をいただきながら、のこのこ戻ってきたことを少し後悔しながら、エイドでの食事を勧められたので、遠慮なく3杯目となるカップおかゆをいただいた。
・食べ終わって、トイレを済ませたところで、予想外に早く師匠が車で到着した。
・師匠にドロップバッグが受け取れると教えて、師匠は無事にドロップバッグを受け取り、車に乗って、私の車が置いてあるスタート地点の静岡県の富士山こどもの国に向かった。
・車中では師匠と今回のUTMFについて語り合った。
・師匠から、せっかく中間エイドに早く着いたのに、なぜすぐに出なかったのか?と当然の疑問を質問された。
・7時半到着は無理だと思っていた記憶があったので、師匠に「8時前について、たぶん1時間半くらい休んでしまったようです」と答えると、「到着は8時半くらいでしたよ」とのことで、ここで自分の情勢判断の大元が間違っていたことを思い知った。
【レース公式記録】
標高 ポイント 順位 曜日 時刻 タイム
833m 富士山こどもの国 Fri. 12:00 00:00:00
624m 粟倉 2220位 Fri. 14:06 02:06:00
585m A1 富士宮(IN) 2211位 Fri. 16:11 04:11:22
585m A1 富士宮(OUT) 2118位 Fri. 16:14 04:14:06
808m A2 麓(IN) 1963位 Sat. 00:03 12:03:56
808m A2 麓(OUT) 1650位 Sat. 00:08 12:08:05
943m A3 本栖湖(IN) 1753位 Sat. 04:34 16:34:09
943m A3 本栖湖(OUT) 1580位 Sat. 04:47 16:47:34
921m A4 精進湖(IN) 1760位 Sat. 08:26 20:26:20
921m A4 精進湖(OUT) 1685位 Sat. 09:25 21:25:45
862m A5 勝山
938m A6 忍野
988m A7 山中湖
1134m A8 二十曲
707m A9 富士吉田
837m 河口湖
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