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2019年3月15日 (金)

【映画】グリーンブック(アメリカ)

アメリカという国のらしさと傲慢さを感じつつも、明るい未来を感じさせつつ、波乱万丈なロードムービーであり、大人の男2人の友情映画としては見ごたえ十分で感動的な映画でした。

2019greenbook

第76回ゴールデン・グローブ賞で作品賞など最多の3部門に輝いた、実話を基にした人間ドラマ。人種差別が色濃く残る1960年代のアメリカ南部を舞台に、黒人の天才ピアニストと、彼に雇われたイタリア系の用心棒兼運転手との旅を描く。『メリーに首ったけ』などコメディを得意とするファレリー兄弟の兄ピーターが監督を務める。

【ストーリー】
1962年、アメリカ。ニューヨークのナイトクラブで用心棒を務めるイタリア系のトニー・リップ(ヴィゴ・モーテンセン)は、粗野で無教養だが、家族や周囲から愛されている。“神の域の技巧”を持ち、ケネディ大統領のためにホワイトハウスで演奏したこともある天才黒人ピアニスト、ドクター・シャーリー(マハーシャラ・アリ)は、まだ差別が残る南部でのコンサートツアーを計画し、トニーを用心棒兼運転手として雇う。正反対のふたりは、黒人用旅行ガイド『グリーンブック』を頼りに旅を始めるが……。

【作品データ】
原題:GREEN BOOK
製作年:2018年
製作国:アメリカ
配給:ギャガ
上映時間:130分
映画公式サイトへ
https://gaga.ne.jp/greenbook/

【スタッフ】
監督:ピーター・ファレリー 
製作総指揮:ジェフ・スコール、ジョナサン・キング、オクタヴィア・スペンサー、クワミ・L・パーカー、ジョン・スロス、スティーヴン・ファーネス 
プロデューサー:ジム・バーク、チャールズ・B・ウェスラー、ブライアン・カリー、ピーター・ファレリー、ニック・バレロンガ 
脚本:ニック・バレロンガ、ブライアン・カリー、ピーター・ファレリー 
撮影:ショーン・ポーター 
衣装:ベッツィ・ハイマン 
音楽:クリス・バワーズ 
音楽監修:トム・ウルフ、マニシュ・ラヴァル 
美術:ティム・ガルヴィン 
編集:パトリック・J・ドン・ヴィト 
キャスティング:リック・モンゴメリー 
音楽編集:マニシュ・ラヴァル   

【キャスト】
Tony Lip:ヴィゴ・モーテンセン 
Don Shirley:マハーシャラ・アリ 
Dolores:リンダ・カーデリーニ 
Oleg:ディミテル・D・マリノフ 
Johnny Venere:セバスティアン・マニスカルコ 
George:マイク・ハットン 
Record Exec:P・J・バーン 
Gio Loscudo:ジョー・コルテーゼ 
Jules Podell:ドン・スターク

【感想】
開けっ広げに、過去の自分の失敗談を明るくユーモアを交えて、披露できる人間は一般的には度量が広いと思う。わが友人の中にも、そういう人物はたくさんいるし、不遜を顧みずに言わせてもらうと、自分もどちらかと言えばそういう人間ではある。

そうは思いつつも、日本で育った日本人であるので、空気を読めない張りの、誰も同情というか共感もできない失敗談、例えば最近のバイトテロのような話を自慢はできない空気感は有しており、もっと大きな話として、歴史的な事象のことを言えば、75年前の大日本帝国時代の凄惨な戦争の話などは、今では避けてしまうのが日本人的であると言えるだろう。

ことさら過去をほじくり返すことを潔しとしないのが日本人の美徳であると思うし、現に現在の日本は十分に平和な国であるから必要ないだろうとも思うことが一般的な日本人の感覚ではないだろうか。

さて、本映画であるが、今から55年前くらいのアメリカでの白人優位の黒人差別のエピソードを臆面もなくさらしながら話は進んでいくのである。島国であり、移民も少ない日本では人種差別というのが実感として存在しなかったレベルであり、特に若い人には、本映画での黒人差別のシーンはかなり強烈に心に焼き付けられるだろう。

インテリで温厚な黒人と楽天的でガサツで教養のない白人という日本人のステレオタイプには全くなじみのない主人公二人が反目しながらお互いに自分の役割を果たしながら、困難(本映画では黒人差別)をお互いに敬意をもって克服していく様は、ヒーローが危機に立ち向かい、解決していくような爽快感すら持って、最後は深い友情となって結実してエンディングを迎え、それが本当の話であるというエンドロールを経て、気持ちよく映画を見終わった日本人が多数であろう。

ところが、本映画を見終わった直後の私はというと、本ブログに一番最初のコメントのとおり、「アメリカという国のらしさと傲慢さを感じ」て釈然としない気持ちになっていたのである。

それはどういうことかと言えんば、過去の白人による黒人差別を一人の白人が黒人とともに打破していったという歴史的な話にし、そして今のような黒人差別はだいぶ少なくなったアメリカ社会にまで持ってきたんだという自慢話にしか思えなかったからである。

鑑賞後はそういう思いであったのであるが、一晩経って、自分や自分の周りのことを比較しながら振り返ってみると、ことさら日本人は過去の自国の歴史を振り返らずに過ごして、まさに過去の失敗というか認めたくない過ちに盲目的に過ごしすぎたのではないか?という思いが強くなってきた。

日本国憲法の前文や第9条の平和への思いを信奉するだけで、なぜあの戦争が起こったのか?という共通な思い、いや共通な思いなど幻想だろうが、いまなお議論をしてもよいのではないかと思わざるを得なく、そういう意味では、過去の黒人差別を今なお臆面もなく映画の形で、自ら白日に晒して、先人が戦ってきたことを見せ、進むべき道を明るくユーモラスに振り返りつつ、商業的も成功するような形で映画化するアメリカという国は、凄いよなあと気持ちがちょっと変わったところでの、映画評となったのである。

そんなことを考えながらの鑑賞する人間は少ないかもしれないが、主役二人が困難に立ち向かう演奏旅行は、胸にグッとくる名作であることは間違いないですし、信念をもって困難に立ち向かうという生き方こそが人生の価値なんだと改めて思ったし、困難な時にも明るく振る舞うカッコ良さには、今回も憧れましたね。がんばろう!

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