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2018年11月16日 (金)

【書評】誤解だらけの人工知能 田中潤・松本健太郎/著

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人工知能に関する読書第一弾である。

副題は「ディープラーニングの限界と可能性」

読書に関しての私の幸運ぶりは我ながら凄いというか素晴らしいと常々思う。
今回もその幸運ぶりが発揮されたようだ。

これほどまでに人工知能の現状と課題について、的確かつわかりやすく書かれているものはないのではないか?というほど私がコンピュータ業界に身においてからの30年来の疑問が氷解したのである。

まず、現在は第3次人工知能ブームであるらしい。なので、そこかしこで人工知能という単語を目にする。
近年一番有名な人工知能の事件とすれば、将棋や囲碁の世界で、最強の人間をすでに人工知能は破っているというのは世間に広く知れ渡っているだろう。

また我々が購入できる家電製品などでも、AI(人工知能)搭載というのは頻繁に目にするところである。

本著で知ったのであるが、自分が30年前にコンピュータ業界にいた頃は、実は第2次人工知能ブームだったらしい。

そういえば当時在籍していた会社でも、すでに人工知能を開発し、サービス提供していて、それを会社案内で知って、入社したことを思い出した。
そのサービスは日本の株式市場に関する日本語及び英語でのニュースを自動で配信するサービスだったのであるが、日本語のみならず自動翻訳して英語までもコンピュータが記事を自動生成できることを知り、一般的な英語翻訳も間もなく可能だろうと思い込んだ。なので英語なんか勉強するだけ無駄になるだろうと都合の良い解釈をしていたことも思い出してしまった。(笑)
※人工知能の概念は共通の定義化されておらず、昔も現在も各自が自称している状況である。30年前の人工知能はエキスパートシステムと呼ばれるもので、現在では、たんなるアプリケーションソフトのレベルのものであるが、当時は人工知能と呼べるような複雑なプログラムだったものです。

当時の自分もそうだったのだが、こうした一般の人の人工知能に対する誤ったイメージについて、本著では一般の人が陥りやすい錯誤や勝手な思い込みなどを正しく、かつ、分かりやすく解説してくれている。

その分かりやすさの源泉は、専門が異なる2名による共著であるという点に負うところが多きように思う。

もともとは日本を代表する人工知能開発者の田中潤氏への執筆要請だったようであるが、一般の人にわかりやすく執筆するには、一般の人の感覚に近くて、そうしたことを生業にしているライターの協力が必要と判断し、今回のライターとして松本健太郎氏に白羽の矢が立ち、彼が人工知能の実務を知る専門家である田中氏にインタビューをし、それをもとに分かりやすい文章で上梓されたのが本著なのである。

本書評では、本著の内容を網羅しつつ簡潔に説明することは不可能なのであるが、肝については具体的にいくつか挙げておきたい。

1 ディープラーニング(深層学習)
 現在の人工知能の主流の手法。ビッグデータなどでコンピュータに反復学習させ、適切な解を導き出すプログラムをコンピュータ自らが構築する方法である。
 良質な大量のデータの確保が重要らしい。
 また開発者としては高度な数学知識が必須らしい。

2 スマートスピーカー
 対話型の音声操作に対応したAIアシスタント機能を持つスピーカー。内蔵されているマイクで音声を認識し、情報の検索や連携家電の操作を行う。日本ではAIスピーカーとも呼ばれる。
 サービス提供の裏に、リアル音声データの収集という側面があるらしい。

すでに人工知能開発の肝となるビッグデータの収集競争が始まっており、アメリカや中国がかなり先行しているらしい。
日本は完全に出遅れているらしく、将来的にはゆゆしき事態が生じると著者は警告している。

一方で、人工知能時代のビッグデータ管理は一元化でなく、分散になるらしい。分散データ管理の技術であるブロックチェーン技術は現時点では日本が最先端であるので、分散データ管理の時代が来るときに一発逆転が起きるかもしれないと書かれていた。

そのほかにも、現状のディープラーニングの限界についても分かりやすく書かれていました。

簡単に表現すると「データ化(数値化)できないものは、ディープラーニングすることができない」ということです。

いわゆる空気を読むみたいなことは、現段階では数値化が極めて困難であるため、それを人工知能が学習することはできないということです。

結論:

 人工知能は今のところ忖度することはできない。

 革新的なハードの進歩や手法の確立があるとしても、それは相当な未来のことになるだろうとの著者の論理的な見立てに、完全同意しました。(笑)

実に有意義でためになる読書でした。

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