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2018年9月20日 (木)

UTMB完走記8(最後の2山編)

UTMB完走記のその8

前回、苦闘し、最後力尽きた残り2つの山登り区間。制限時間まで、前回よりかなり余裕があるのが救いだが、疲労は強い中で、粘り切れるか?

ついに人生の忘れ物を取りに行けるところまで到達したと思いつつ、まだまだ油断できないと思っていた。なぜなら、すっかり登れなくなったからだ。

さて、ここのトリエンの思い出と言えば、前回、制限時間オーバーと勘違いして、日本人ランナーに尋ねたりしたこととトイレに紙がなくて慌てたことだ。(笑)

そんなことを思い出しながら、トリエンの制限時間まで2時間以上前のまだ暗い夜明け前に出発した。(05:49)

左手が川で、右が広い公園?畑?の少し上りの道を進む。前も後ろの歩いている選手が多いので、これから始まる激上りに備え、同じようなペースで進んだ。この区間は、前回のブログ記事でもエイドを出てすぐに山登りが始まったと書いているように、登りのイメージしか残っていなかったが、予想外に長い平坦な道が少し嬉しかった。(前回のブログは書き間違いですね。(笑))

○Tseppesへの登り口付近の様子(2015年撮影)
Dsc06486
今回はこんなに明るい状態ではなかったので、写真は撮らなかった。

やがて山にぶつかり、いきなり45度近い急傾斜の登りが始まった。

前回、ここの登りで苦闘した記憶はあったが、こんな急傾斜の登りだったことはすっかり忘れていた。10歩も登らないうちに息が上がった。

○これくらいの傾斜です(2015年撮影)
Dsc06487
45度は大げさでしたね。30度くらいでしょうか(笑)

いつものようにトレイルの端をレース中一番の低速で登ることとなり、まったく先に進んでいるような気がしない。

むろん、他のランナーも疲れており、この急傾斜でスピードが落ちている選手が大半なのだが、ときどき、「どんな心臓しているのか?」というようなペースで登る選手がいた。

「ゼーハー、ゼーハー」と荒い息をしながら、スピードの出ていない私を抜かす外国人選手の何人かは、「カズー、アーユーオーケイ?」とか親指を立てながら「カズー、ガンバって!」とか心配や激励をかけてくれる選手がいて、苦しい登りの最中で少し鬱陶しかったが、嬉しかったので、ひきつる笑顔で応えて進んだ。

途中から息が上がるのをセーブしていると自分でイラつくほど前に進まないので、少し攻めて登ることにして、30秒くらい普通に登り、1分くらいゆっくり登るようなパターンに切り替えた。

それを繰り返しているうちに森が開け、牧草地となって、チェックポイントが見えてきた。

●U15 Tseppes(145.19km)順位1442位(+51) (07:59)
Dsc07621
前回のカトーニュから変更となった新しいチェックポイント
読み方がわからないのですが、レ・テップ(Les Tseppes)のようです。
トリエンからの区間(3.7km)の半分は平地であったにもかかわらず、平均時速は1.7km/hで、登りでは時速1km/hを割っていたのではないかと思う。つまり完全な牛歩登りとなっていて、200人くらいに抜かれた感覚だったが、トリエンでの休憩が短ったので、51人に抜かれただけであった。(笑)

この後、さらに登りがあり、それは既知でありながら、まさに天を仰いで進んだ。

すぐに牧草地を横切る斜面トラバースのトレイルとなり、以前チェックポイントだったカトーニュ辺り(家も施設も何も無い場所なので推測)を通過し、その後は、だんだんと下り基調となって、スピードも上がって進んだ。シングルトラックではあるが、ランナー密度は薄く、混雑することなく進んだ。

やがて、トラックがすれ違えるほどの幅広の石がごろごろする林道になり、たぶん地図ではこの辺りで、スイスとフランスの国境を越えたのだと思われるが、まったくそれらしい標識もなく、通り過ぎましたね。

この辺りは幅広なので、歩いているランナーを何人も抜きつつ、猛烈なスピードで駆け下るランナーに抜かれて進み、またシングルトラックのトレイルになって、激下っていると、Vallorcine(ヴァロルシーヌ)のざわめきが聞こえ始め、すぐかと思たのだが、そこからまだ少し走らされ、前回はゲレンデを直に下って、エイドだったのが、街の端っこに降りて、そこからさらに走らされ、橋まで渡って、テントの周りまで回されて、やっとエイドについた。

最後にぐるぐる回されて、制限時間ぎりぎりだと大変だなあと思っていたのだが、その悲劇を味わうランナーがT部さんになるとは夢にも思わなかった。

●U16 Vallorcine(152.43km)順位1446位(+4) (09:36)
Utmb2018v13
Dsc07624
トリエンから4時間かかって到着。(前回より7分、長くなっていた。)
やはり疲労による推進力の低下は著しい。
制限時間まで残り1時間39分もあり、前回は残り15分だったことを考えると少し気が楽になるが、まだ油断はできない。

エイドはまるで野戦病院の様相。満身創痍だが、最後の山登りに向けて、休憩しているって感じなのだろう。

こちらも最後の山登りに向けての準備をする。

まずはクッキー&紅茶。甘さがカロリー補給した感じとなって元気になった。

次はトイレに並ぶ。三人目で入るとおがぐずトイレだった。(トイレットペーパーは便器内に捨てず、別のごみ箱に捨てて、糞尿を隠すためにおがぐずを自分の糞尿に振りかける)

新しい体験をしたことで、ちょっとハッピーになってエイドに戻ると師匠とばったり出会った。

到着したばかりの師匠と一緒にゴールする約束をし、登れなくなている私は、準備も終わっているので先に出発した。この間の休憩時間は15分でした。

●Vallorcine出発(09:51)
Dsc07628
振り返ってエイドを写したところ

●モンテ峠へのトレイル(09:52)
Dsc07631
前回は灼熱地獄で進んだ道ですが、今回はちょどよいかむしろ涼しくてさわやかな風の下、進めています。

まだ、この辺りで師匠に追いつかれてはと、何度も後ろを振り返りながら進みます。

●ラテットオーバン遠望(10:02)
Dsc07636
前回、失速し越えることができなかったのが正面に見えるラテットオーバン。
今回は、一般登山者の滑落事故を受けてのコース変更により、昨年使用した新ルートを使うとのことで、正面の山を左から巻いて、登るコースに変わりました。

●モンテ峠手前(10:33)
Dsc07638
前回は、この辺りでプロカメラマンに写真撮られていたんだよなあと思い出して撮った写真。今回は撮影ポイントではなかったようです。

○前回の苦闘の様子(2015年撮影)
28071164

●師匠登場(10:36)
Dsc07644
モンテ峠で師匠に追いつかれました。(笑)
スタート以来、40時間30分ぶりに師匠と会話しながら進みます。

●モンブラン山群(10:51)
Dsc07649
久しぶりのモンブラン山群(モンブラン山頂が見えているかは不明)です。

この後、道路を横断し、右手を登っていく前にチェックポイントとなりました。

●TreLeChamp(156.96km) 10:53 順位1411位(-35)

登りに入りましたが、一緒にゴールすべく、師匠にペースダウンをお願いして、ゆっくりしたスピードで登っていきます。

比較的傾斜が緩やかで、師匠のゆっくりペースに何とか後ろから付いて行って進みました。

後半は私が調子に乗って、師匠に先行する形で、登っていきました。

標高1750mまで登るといったん下りはじめます。

●下り始める(11:41)
Dsc07650

●ラテットオーバンの岩壁(11:44)
Dsc07654
前回は岩壁と緑の境目辺りのルートを進んで、ラテットオーバンに出たルートでした。

こことは、だいぶ高度差があり、傾斜も緩やかに登ってきたということですね。

下りの途中で師匠がコースから外れたので、私が先行し、この下りは岩が大きくて、足場の悪くテクニカルな下りなのですが、遅い外国人らで渋滞となりましたが、それに付き従いつつ、抜かせるところは抜かして、登り返すのかあ・・・と思いながらぐんぐんと下りました。

やがて、登りに入り師匠に先行してもらう形で、ゆっくりペースで進みました。

●モンブラン(12:19)
Dsc07657
久しぶりのモンブランの姿に師匠と二人で立ち止まって写真を撮りました。

この後、ランナーの列に戻ったのですが、私は師匠のすぐ後ろに戻れず、二人のランナーを挟んで一列になり、進みました。

しばらくすると、師匠が一人、また一人と前のランナーを抜いて進んでいきます。

こちらは登りなので、今のペースが精一杯なので、師匠に付いていくことはできず、まあ、どこかで師匠は私を待ってくれるだろうと思い、自分はとにかく今の位置をキープすべく、息を荒げながら、登っていくことにしていると、師匠は列の先頭を抜かし、私の視界から消えていきました。

やがて、登りの傾斜が急になると、私は一列に進むランナーのペースに付いていけなくなり、トレイルも狭いので、要所要所で立ち止まって、後ろに閊えるランナーをやり過ごす形で、ますますペースが落ちながら登っていきました。

樹林帯を抜けると急に視界の開けた広い場所に出てきました。

●最後の登り(13:36)
Dsc07662
師匠のお姿はなく、だだっ広いゲレンデを登ります。
前回はこの手前でスタッフにストップをかけられ、ここは車で運ばれたので、まさにここからが人生の忘れ物の区間の始まりとなりました。

しかし、すでに息は完全に上がり、登る脚も売り切れて、この500mほどの短い区間だけで50人は抜かされるような状況で、登っていました。

●グランドジョラスの雄姿(13:51)
Dsc07668
登りはほぼ終わったらこの絶景が目の前にあったので写真を撮りました。
標高4208mあるモンブラン山群でモンブランに次ぐ知名度のある山です。

すると日本人のご夫婦から声をかけられました。

「写真撮りましょうか?」

「ありがとうございます。じゃあ、お願いします。」

●グランドジョラスと私(13:51)
Dsc07669
さっきまで登りで苦しんでいたのに、この笑顔です。現金なものというか、実に不思議なものですね。

この後、このご夫婦と少し話をして、最後のエイドのLa Flegere(標高1877m)に到着しました。

●エイド到着の様子
Utmb2018v14

ここで師匠は待ってくれているものと思ってキョロついたのですが、お姿は見当たらず、私はカメラにも気が付かず、師匠は私のあまりの遅さに先発されたようでした。(本当は違う理由ではぐれてしまったことが、ゴール後に判明します。)

●U16 La Flegere(163.34km)順位1587位(+176) (13:54)
Dsc07679
前回はリタイア組5人で占拠したエイドですが、今回はランナーで賑わっており、活気が違いました。(笑)

最後のエイドなので例のスープをいただき、その後、クッキー&コーラのいつもの給食給水して終わりました。

最後のエイドなんだから、もっと時間をかけて堪能すれば良かったと今さらながら思うのですが、人生の忘れ物が大事な私には、このときはゴールに向かって進むことしか見えていませんでしたね。まあ、それが何より大事なことなのですが・・・

●約束(13:54)
Dsc07681
前回リタイアのときにテントの中で眺めていたのは、ゴールのシャモニーまで残り8kmの案内表示。次は制限時間内に眺めるとの誓いを今回は果たせました。
前回とは異なる案内表示ですが、写真に撮り、約束を果たした証拠といたしました。

○前回呆然と眺めた案内表示(2015年撮影)
Dsc06497

●最後の出発(13:58)
Dsc07685
小さなテントを出て、出発です。滞在は5分。割とゆっくりしたつもりでしたが、どうやら、はやる気持ちが抑えられなかったようですね。

●ケーブルカー乗り場(13:58)
(後で挿入予定)
前回はここからシャモニーの街に降りました。それも今となっては良い思い出ですね。
ランナーの姿が見えたので、師匠が休んでいないか見渡すも、居ないようなので先に進むことにしました。

さあ、ついにここまでたどり着きました。

私はもはや早く登る力はありませんが、下るのは脚を前に出しさえすれば、重力の力を利用して推進できるので、大丈夫です。

3年かかった忘れ物を取りに行く旅もついに佳境です。

ほんと楽しみです。

では、行ってきまーす!

次>:UTMB完走記9(シャモニー疾走編)

前<:UTMB完走記7(フェレ峠・シャンペ・トリエン編)

参考1:2015年のUTMBレース記録(トリエンからヴァロシーヌ)

参考2:2015年のUTMBレース記録(ヴァロシーヌから最終関門リタイア)

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