UTMB完走記3(ボンナム峠とセイニュ峠)
UTMB完走記その3
UTMBを象徴する2500m級の峠2つを越える一晩目の正念場が始まりました。
●La Balme への登り(00:57)
写真では見えませんが、ずっと先までライトの列が見え、UTMBの長大な登りを実感できるポイントです。まだ精神的には余裕があったので、「そうだった。そうだった。」とUTMBのコースの長大さを受け入れる度量がありましたね。(笑)
雨は止んできましたが、寒さは緩まず、むしろ厳しくなってきましたが、ウエアリングはちょうど適温になった感じです。
こぶし大の石がごろごろしているガレたトレイルを登ります。3年前の記憶は沢みたいなトレイルを登ったことになっていますが、まあ、川沿いではありますが、普通のトレイルでした。(笑)
この程度の傾斜なら、今回も登り激弱の私でも流れに付いていくことができ、まずまずの登りができました。
●U4 La Balme(40.17km) 順位1989位(-320)(01:11)
前回はこの区間で346人抜き、今回も320人抜きとなっているのだが、登りの区間でもあり、コース上で追い抜いた人数はごく僅かである。むしろ抜かれた人数のほうが多いはずなのだが、記録上は、ものすごい数のランナーを抜いたことになっている。
考えられるのは、ひとつ前のエイドであるコンタミン(Contamines)で長めの休憩しているランナーをまとめて抜いたのだと思うが、300人も抜いた実感は全くないのだが、電子計測でそうなっているのだから、抜いたのだろう。
今こうして書いていても実感がないのだから、現場にいたときなんか、当然、全く順位がジャンプアップしているなんて実感はなかった。
一晩目のエイドでの給食パターンは、クラッカー数枚にコーラという形で落ち着いて、ここもそのパターンで給食した。
●ラ・バルム出発(01:14)
給食と給水が済んだので、すぐに出発。これはいつもの私のパターン。
タイム短縮のために頑張って走るのではなく、休む時間を短くするという作戦だ。
実際のところ、これはギリギリランナーにとっては鉄則の戦略だと思う。
ここからはボンナム小屋への本格的な登りとなり、傾斜が急となったので、他のランナーの登攀速度に惑わされずに、自分のペースで登ることに努める。
そうすると、当然に後ろのランナーが迫ってくることになるのだが、比較的幅広なトレイルなので、脇によって進むことで、自分が止まることなく、後ろのランナーを抜かさせることができ、抜かされる私も、抜かすランナーもスピードを落とさずに進むことができた。
そのためか、抜かしていくランナーの多くから、「メルシー」や「サンキュー」という労いの言葉をいただけた。
そうこうしているうちに、ボンナム峠(2329m)に到着した。
さすがにこの時間のこの高度にいると寒さが半端ない。
ポールを握る手がかじかみ始めたので、一度立ち止まって、防寒手袋を取り出した。
しかし、うまく指を入れられなくて、それに何度かトライしたのだが、どうしてもうまくいかず、長く立ち止まると寒さが耐えられなくなったので、結局、防寒手袋をしまって、いつもの指ぬきグローブだけで進んだ。
これも書きながら思ったのだが、おそらく2,3分の出来事なのだが、ずいぶんと無駄な動きだったなあと思った。最終的な結果に響かなかったので、特に問題視する必要もないのだが。
話を戻すと、ボンナム峠に到達したので、いったん少し下るのだが、すぐにトラバース気味に登りはじめ、そこは結構、岩場的なガレたテクニカルなトレイルとなり、登山慣れしている私にとって、テクニックでカバーできるところであり、高地で息が上がるポイントながら、抜かされることなく、進むことができた。
●Croix du Bonhomme(45.78km)順位2098位(+109)(03:20)
登り激弱の私らしく、109人に抜かれたことになっている。これはコース上の実感の通りだ。昨年もこの区間で115人に抜かれている。今回はトレーニングで登攀力を相当に鍛えたつもりだったが、それほどの進化は見られなかったという厳しい現実でもある。
ちなみのこの写真をどう撮ったかですが、チェックポイントを通過したのち、後ろを振り返って写したもので、長大なヘッドライトの列が綺麗でしたが、わがデジカメの性能ではそれらを表現するまでには至っていないようです。残念ながら
ここからは、Les Chapieux(レ・シャピュー)への一気の激下りとなります。
下りは得意なので、先ほどまでの登りで抜かされ続けたうっ憤を晴らしたいところですが、先は長いUTMBですので、前回のリタイアの教訓を踏まえ、かなり自重して下りました。
それでも、すでに満足に下れないランナーもちらほら出始める中、彼らを抜かす形で、ボンナム峠とセイニュ峠の間に位置する重要なエイドのLes Chapieux(レ・シャピュー)に駆け込みました。
●Les Chapieux(50.81km)順位2076位(-22)(04:29)
●エイドの様子
パターンどおり、クラッカー数枚とコーラで給食給水。
次に写真の左側のテント脇のベンチに座って、ヘッドライトの電池交換を行った。
今回のヘッドライトはペツルのNAO。過去に記事にした最強ヘッドライトコンビの片割れである。通常使用だと6時間半程度の照射時間なので、そろそろ限界だろうと思っての電池交換である。ちなみに私はNAOの電池は3つしかもっていないので、次の電池は明日の夜も使う必要があるのであるが、この時間(朝の4時半)まで一つ目が持ったので、明日も十分持つことが見込めて、一安心だ。
最強ヘッドライトコンビの話をしたが、実はそのコンビのもう一つの片割れ、腰ライトは新しいものに強化して臨んでいる。
新しい腰ライトは、LED LENSERのMH-10というヘッドライトで、600ルーメンで10時間も使用可能な優れものです。前回の反省を踏まえ、半年前に購入し、今年のさくら道、萩往還、さらにはトレニックワールドで実戦経験を踏んで、信頼性を確認してきたところでの投入です。
機能的には伸縮性の高いバンドに余裕があり、私の腰には十分ストレスなく装着できるため、腰ライトとして使用しております。
スタート時の私の写真をご確認していただけると、腰ライトも写っております。
●セイニュ峠に続く光の列(05:53)
デジカメを夜間モードにしなかったので、まったく写っていませんが、雨も止み、ガスも薄くなって、遠くまで見渡せて、きれいなランナーのヘッドライトの列を見ることができました。
●セイニュ峠に続く光の列2(06:02)
さらに進むと、九十九折りの麓に到着し、そこから見上げると、つづら折りの光の列が見えて撮影したものです。さっきの写真よりは光が写っていますが、手ぶれしており、その辺りはどうかご容赦を
この辺りから、傾斜はきつくなり、例のごとく、広めのトレイルの端をゆっくると登るスタイルで、スピードの速いランナーをやり過ごしつつ、自分の脚を止めずに登っていきました。
●夜明け前(06:41)
ちょうどこのころが日の出の時間と思われますが、雲がかかっており、日差しは見えません。
幅広の稜線を昇る感じで、複数のトレイルが交差するような感じで、ゆっくりマイペースの私は、あまり人が通らないトレイルを進んだりして、スピードの違うランナーとの軋轢を軽減して進んでおりましたが、それにしても脚が前に出ないことに内心毒づきながら進んでおりました。
「なんで、登れないんだ、情けねえな、チッ!」って、感じです。(笑)
●Col Seigne(61.43km 標高2516m)順位2058位(-18) (07:26)
何とかセイニュ峠に到着。想定タイムより遅れること○○分もショックだったが、それ以上に前回より1時間も遅いことに衝撃を受けていた。(実際には36分遅れです。)
登りでバテて、相当な人数のランナーに抜かされましたが、電子計測では22人にしか抜かされていませんね。
シャピューのエイドで相当な人数のランナーが長居をしていたのでしょう。
●ランナーたち(07:26)
峠は吹き曝しで風は強いし、寒しで、みなさんすぐに駆け下っていました。
●セイニュ峠のチェックポイント(07:27)
スタッフがハンディスキャナで通過選手のICタグをチェックしています。
この時間は、ゼロ度に近い気温一桁台で、風も強く、相当寒かったと思います。
寒さに震えながら、思ったのは、
「前回リタイアした時より1時間も遅いペースで、俺は完走できるのか?」
「また、制限時間オーバーでのリタイアなのか?」
・・・・
「そんなことをグダグダ考えても仕方ないじゃないか」
「とにかくあきらめずに前に進むことだ!」
と思い直して、霧で視界の悪いセイニュ峠を下り始めるのでした。
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