もう一つのラストスパート(さくら道番外編1)
名古屋城から金沢兼六園まで250kmを36時間で走破するさくら道国際ネイチャーランは、制限時間が短く完走するには厳しいコース設定である。
それでも故佐藤良ニ氏の志を継ぎ、参加ランナーとしての完走という目標のため、選手(ランナー)は当然死力を尽くすのであるが、関係者・ボランティアも同じ完走という目標のため、同じように死力を尽くした献身的なサポートを行ってくれるのである。
このことは、私の内なる目覚めを呼び起こすに十分な経験になったものと思う。
と真面目な前置きをして、ここではレースとは全然関係のない話をしたい。
そういうネタ関係が大好きなのであるが、レースで起こった珍事件を書くと、いろいろと差し障りがあるので、本当は書きたいことはあるのだが、それは心の中に秘めて、誰も傷つかない、私の自虐ネタをここではご披露したい。
その第一弾は「もう一つのラストスパート」
バカロード師匠に「かずさんのラストスパート」に関するコメントを何度かいただいたことで、すぐに調子に乗る私は、いつのまにか、ラストスパートが得意な気持ちになっている。この辺りの単純さには我ながら呆れる(笑)
本当は、鈍足レベルながら、ラストだけは走り抜いてしまうという走癖なだけなのであるが、今回のさくら道国際ネイチャーランでも、金沢市街に入ったところで、最後の7.2km区間は、二段ぐらいギアを上げて、キロ6分程度の小爆走して駆け抜けたところである。
自分としては、完全燃焼のラストスパートのつもりだったのであるが、本当に完全燃焼したラストスパートは別の機会に訪れたのであった。
ゴールした翌日に、植樹と閉会式があり、名古屋まで主催者にバスで送ってもらい、その後、お誘いがあったので名古屋駅の地下街で軽く一杯飲んで、交通費を浮かすべく予約していた3000円の東京行きの高速バスに乗って帰ったのであった。
予定では、高速バスを東京駅で降りて、我が家の近くで停車する千葉のちはら台行きの首都高経由の路線バスに乗るつもりであった。
タイムテーブル的には、乗り継ぎ時間は2分しかなくて、東京着のバスターミナルと千葉ちはら台行きのバス停は約500mくらい離れていて、絶望的なのであるが、高速バスにありがちな少し早目の到着に期待しての乗車であり、どうしても予定より10分くらいは早くついてもらわないといけなかった。
その思惑通りに高速バスは、東名高速から首都高速に入って、銀座の手前で降りて、到着予定の15分前には東京駅手前の銀座を通過した。その際、千葉ちはら台行きのバスはすでに始発場所である銀座に停車していて、その横を追い抜く形で高速バスは通りすぎ、この時点では、計算通りの展開にほくそ笑んでいた。
ところが、車内でリュックを背負ってからが長かった。東京駅から少し離れた終点の東京駅鍛冶橋バスターミナルになかなか入ることができず、ここで5分くらい時間をロスした。
それでも何とかバスターミナルに入ると、今度はバスの運ちゃんが停車に手間取るというトラブルが起きた。
こちらはイライラしながら停車を待ち、バスの扉が空いた瞬間、背中には重さ15キロぐらいの大型リュックに両手はお土産の紙袋の格好で飛び出した。すでに乗り継ぐバスの発車時間まで5分を切っていた。
降りると誘導員に遠回りを指示され、バス待ち客で大混雑する通路を掻き分けて進むと信号は赤に。
仕方なく直角方向の青の信号で道路を横断し、反対側の歩道を進み始めると、なんと千葉ちはら台行きのバスに追い抜か去れてしまった。すでに東京駅発の時間は残り3分を切っているのだから当然といえば当然の展開。
しかし、遅れてなるものかとここで闘志に火が付き、250kmを走ってかなり重たい脚の状態で、荷物を背負って、両手お土産の格好で、猛然とダッシュして進み始めた。
しかしバスの後姿は見る間に離れていく。
まだ2分ある。絶対にバス停にたどり着くべく、さらにギアを上げて数百メートル進むと、反対車線のバス停に千葉ちはら台行きのバスが停車している姿が見えた。
腕時計を見ると、発車まで残り10秒で、目の前の信号機も赤。
絶体絶命のピンチ
諦めかける気持ちを抑え、打開策を瞬時に考え、決断した。
その決断は、交通法規遵守のさくら道では絶対にしなかった信号無視だ。
東京駅前の交通量の多い交差点の歩道を安全確認の上、赤信号で猛然とつっきって、バス停に一直線にラストスパートをかけた。
すでに発車時刻は過ぎているはずだが、まだバスの扉は開いていて、大きな荷物を背負った息絶え絶えで汗だくの私は、目の合ったバス運転手さんにこう尋ねた。
「乗っていいですか?」
さくら道のラストスパートを超えるラストスパートをバスの乗り継ぎで、大きな荷物抱えて行うとは思いもしなかった。
バスに乗り込むと、少し恥ずかしさもあって、空いていた最前列のシートに座って、まず思ったことは、
「スーツケースにしてたら間に合わなかった。登山用の大型リュックにして良かった。」と、普通に電車に乗って帰れば良かったことなど気も付かず、ただただラストスパートで間に合ったことに満足しながら大汗かいている私なのでした。(笑)
【2017年完走記】
【2014年完走記(コース風景多数あり)】
【さくら道番外編】
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