【書評】ツバキ文具店 小川 糸/著
【ストーリー】
言いたかった ありがとう。言えなかった ごめんなさい。
伝えられなかった大切な人ヘの想い。あなたに代わって、お届けします。
家族、親友、恋人⋯⋯。
大切に想ってっているからこそ、伝わらない、伝えられなかった想いがある。
鎌倉の山のふもとにある、
小さな古い文房具屋さん「ツバキ文具店」。
店先では、主人の鳩子が、手紙の代書を請け負います。
和食屋のお品書きから、祝儀袋の名前書き、
離婚の報告、絶縁状、借金のお断りの手紙まで。
文字に関すること、なんでも承り〼。
ベストセラー『食堂かたつむり』の著者が描く、鎌倉を舞台した心温まる物語。
【感想】
ここ最近、手書きの手紙を書いた記憶がない。
もはや時代は、話すという電話すらスマホに取って代わられつつあるのだから、仕方ないだろう。
それでも本著の主人公が依頼主に代わって、相手に気持ちを通じさせるために書く手紙というものの持つ偉大なる力を改めて感じざるを得なかった。
などと書くと堅苦しいのだが、鎌倉の住む人の人情味あふれる交流にほのぼのさを感じながら、手紙の持つ、伝える力に心が静かに震えるのを感じるのである。
そして、この主人公のような代書屋さんが本当にいるなら、お願いしたいと思った。
ひとり身である主人公が、まるで家族のような隣人との交流がリアルの存在するかのようなこの物語は素晴らしいが、最後の最後に主人公と代書屋の先代である祖母との確執が過去の手紙とともに解消されていく件は、家族の良さを改めて示しているという意味で、家族主義者の私にとっても、ホッとするエンディングであった。
追記:
かつて、NHKでドラマ化されてましたが、それは観てませんでした。
キャスティング、原作の雰囲気にピッタリあってますね。
(高橋克典のキャラクターは原作にありませんが・・・)
追記2:
物語の重要なポイントである代書された手紙が実際に手書きされて掲載されています。
それが、私の感想の「手紙が伝える力」を感じざるを得ない秀逸なで気なのでした。
以下、その実物を掲載します。
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