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2017年10月10日 (火)

【映画】ダンケルク(アメリカ)

リアルな戦争映画として、本作品は初心者向きだと思ったし、内容的には、適度な緊張感で戦争の不条理さが敗残兵側から描かれていて、新鮮で良い映画でした。

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第二次世界大戦中の1940年、フランス・ダンケルクの海岸でドイツ軍に包囲されたイギリス、フランス軍の兵士約40万人を860隻の船舶で救出した、史上最大の救出作戦を映画化したサスペンス。トム・ハーディやマーク・ライランスら名優を迎え、クリストファー・ノーラン監督が初めて実話の映画化に挑んだ意欲作。

【ストーリー】
第二次世界大戦が本格化する1940年、フランス北端の海の町ダンケルク。フランス軍はイギリス軍とともにドイツ軍に圧倒され、英仏連合軍40万の兵士は、ドーバー海峡を望むこの地に追い詰められる。背後は海。陸海空からの敵襲。そんな逃げ場のない状況下でも、トミー(フィオン・ホワイトヘッド)やアレックス(ハリー・スタイルズ)ら若き兵士たちは生き抜くことを諦めなかった。一方、母国イギリスでは、海を隔てた対岸の仲間たちを助けようと軍艦だけでなく民間船までもが動員され“史上最大の救出作戦”が動き出そうとしていた。ドーバー海峡にいる全船舶が一斉にダンケルクへと向かう。民間船の船長ミスター・ドーソン(マーク・ライランス)も、息子らとともに危険を顧みずダンケルクを目指していた。英空軍パイロット・ファリア(トム・ハーディ)も、数において形勢不利ながらも出撃。タイムリミットが迫るなか、若者たちは生きて帰ることができるのか……。

【作品データ】
原題 DUNKIRK
製作年 2017年
製作国 アメリカ
配給 ワーナー・ブラザース映画
上映時間 106分
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【スタッフ】
監督 クリストファー・ノーラン 
製作 クリストファー・ノーラン 、 エマ・トーマス 
製作総指揮 ジェイク・マイヤーズ 
脚本 クリストファー・ノーラン 
撮影 ホイテ・ヴァン・ホイテマ 
衣裳 ジェフリー・カーランド 
音楽 ハンス・ジマー 
美術 ネイサン・クローリー 
編集 リー・スミス 

【キャスト】
Tommy フィオン・ホワイトヘッド 
Peter トム・グリン=カーニー 
Collins ジャック・ロウデン 
Alex ハリー・スタイルズ 
Gibson アナイリン・バーナード 
Colonel Winnant ジェームズ・ダーシー 
George バリー・コーガン 
Commander Bolton ケネス・ブラナー 
Shivering Soldier キリアン・マーフィ 
Mr. Dawson マーク・ライランス 
Farrier トム・ハーディ 

【感想】
太平洋戦争での日本軍と戦うアメリカ軍を描いた「シン・レッド・ライン」では、激戦地に送られる新兵の得体の知れない恐怖感、今回の「ダンケルク」では敗残兵の混乱と恐怖感がよく描かれていました。

第二次世界大戦のしかもヨーロッパの戦いについて、日本人はあまり知らない人が多いと思うが、戦史好きの私にとっては、ダンケルク退却戦は有名な戦いである。

この戦いは、歴史的に謎の部分があって(ヒトラーは、なぜか攻撃の手を緩めた。多くの歴史学者は、虎の子の戦車部隊の損耗を恐れたとか、イギリスへの温情で、イギリスとの交渉(降伏あるいは停戦)の切り札としたかったとかの説が有力であるが、はっきりしたことは分からない。

ドイツ軍がそれまでと同じように攻勢をかければ、全滅は必至で有ったので、まさに歴史の謎である。

一方で、イギリスがヒトラーからの同盟国(フランス、オランダ、ベルギー)への侵略を守るため大陸に派遣した陸軍の精鋭部隊はイギリスの主力であり、これがもし万一全滅すると、イギリスの戦意は相当にそがれたことは間違いなかった。

なので、イギリスは誇りをかけてというより、自国防衛のためにも、この大陸派遣軍の救出は至上命題であったはずである。

ちなみにイギリスは海軍力が強大で、一方のドイツは陸軍は強かったが、海軍はさっぱりな状況であった。

例外としては、Uボートと呼ばれる、潜水艦は強かったので、映画にみられるような、潜水艦では狙うことが難しい、小型の民間船舶が義勇軍的に救出に向かったのは、軍事的にも理にかなっている。

イギリス空軍の名機スピットファイアは、日本でいえばゼロ戦に当たる最強の戦闘機であったのだが、最新鋭機で、数はそれほどなかったのだが、ドイツの戦闘機に対して、戦闘力はかなり優位であった。(ただし、当時のゼロ戦は世界最強で敵わなかっただろう。)

映画評でなくて、歴史解説となってしまったが、そういう背景から見ると、少し脚色がある感じはするのだが、イギリス側からすれば、母国防衛の瀬戸際の戦いで、ヒトラーの逡巡はあったにせよ、歴史的にも空前絶後の海を超えた退却戦であったし、その奮闘ぶりは今なお、イギリス国民の誇りであるのも確かなことであろう。

さて、戦争映画好きの私からすると、本作品の最大の特徴は、敵の姿が明確に描かれていないということである。

敵であるドイツ兵の姿は、映画の最終盤で現れるだけで、ドイツ軍が撃つ銃弾やドイツ空軍が投下する爆弾や銃撃しかなくて、先に名を上げさせていただいた「シン・レッド・ライン」も敵の姿(顔)がはっきり見えないというのが、現代戦の真相というか、リアリティであり、その辺りがきっちりと描かれることで、まさに見ているこちらが、追い詰められたイギリス兵の心境にさせられ、恐怖を感じ、手に汗を握ってしまうのである。

結論として、戦争における一兵士の視点として、とにかく逃げるというのは、ある意味、まっとうな行動とは思う。

ちなみに私が苦しいときに、いつも思うのは、命を懸けた戦争に従軍するのに比べれば、命を取られるわけではない。

死ぬのが分かっている現場で突撃を命令される不条理さに比べれば、現代の平和な職場での些細な不条理さなんか、大したことないとね。(笑)

【ネタバレ】


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