【書評】ジョコビッチの生まれ変わる食事 ノバク・ジョコビッチ/著 タカ大丸/訳
グルテンフリーのお話の本であるが、特筆すべきは、グルテンフリーを自らが実践し、世界一のテニスプレーヤーとなっている現役トッププレーヤー本人であるジョコビッチが書いているというところであろう。
その確かな実績を残している本人から「あなたの人生を激変させる14日間プログラム」と提示されるのだから、その衝撃度は大きい。
グルテンとは小麦などの麦に含まれるたんぱく質のことで、これこそがモチモチとした美味しさの源泉であり、世界中の人々が好んでいる物質なのだが、現代社会においては、アレルギー源の一つ?(不耐性物質の方が正確だと思うが)となっているらしい。
アレルギーの要因は、恐らく2つあって、一つはアレルギー物質の長期間の大量摂取、もう一つは、自己免疫の暴走であろう。
かくいう私も乳糖不耐性であり、2013年のスパルタスロン出走に向けて、人生最高レベルのトレーニングを半年くらいしたのだが、たんぱく質摂取のため、牛乳をぐいぐい飲んでいたのだが、どうにもお腹の調子が悪いのが続いていて、いろいろ調べて、思い当たったのが、乳糖不耐性であった。(不耐性とはアレルギーとは違って、体質的に体内に取り込むことができないということ。アルコールの下戸も同じであろう。)
アルコール不耐性の場合、アセトアルデヒドという体内に有害物質が滞留するため、問題となるが、乳糖不耐性では、乳糖が分解処理できず、腸内に溜るため、お腹が緩んでしまうのであり、致命的でないが、体調万全にならない以上、自己最高パフォーマンスを求める人には問題であろう。
乳糖不耐性については、日本には、アカディ牛乳があって、私も愛飲しており、牛乳問題は無事解決できたが、ときどきお腹が緩くなるところから、まだなにか不耐性な物質があるのかもしれない。
その有力候補は、グルテンの可能性は高いと思っているので、興味深く読んだのであるが、グルテンフリーは庶民にとってはかなり難しい試みだと思った。
グルテンは小麦粉はもちろん、ライ麦や大麦などに含まれており、それらを使っている食品があまりに多様すぎるからだ。
パン、パスタ、うどん、ピザ、お菓子としても、ケーキ、クッキー、クラッカー、さらにはビールまでもである。
ジョコビッチは、まずはグルテンフリーをやってみろというし、訳者は日本食は小麦粉を使っていないものが多いから日本人向きだと言うが、私の場合、もっともパフォーマンスを出したいときに、グルテンフリーができないので、やはり遣り甲斐がないので諦めることにする。
ジョコビッチはテニスの試合に、自分で自身の食事をコントロールできるが、長い距離を走るウルトラマラソンやトレイルランニングでは、プロであれば個人のサポートを受けられるかもしれないが、私のような一般レベルのランナーは主催者が用意するジェネラルサービスでしか補給ができなくて、こそには普通にパンやパスタなどグルテンの食品だらけなのが一般的である。
フルマラソンを超える距離では、レース中のカロリー摂取は必須であり、自分で持ち運べばよいのかもしれないが、重量が嵩張って、250キロとか40時間以上持って走らなければならない超超距離レースでは、自分で持ち運ぶのは、むしろ完走を阻害する要因となるので、正直得策ではない。
結局、グルテンフリーを実行すればするほど、スギ花粉症でもご存じのように、過敏症となって、アレルギー体質は強化されるので、結局、バランスの良い食事を心がけるのがレースではグルテンフリーを実行できない私にとっては、最も合理的な対処だと思いました。
一方、本著において、これは役立ったと思ったのは、第7章の「誰でもできる簡単フィットネスプラン」だ。
ここに書かれているストレッチとフォームローリングというマッサージは、一般人でも実行可能な話であり、非常に役立った。
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