【書評】田村はまだか 朝倉かすみ/著
同窓会で主役になるのは、学校時代には主役でなく、ちょっと変わり者で、のけ者にされ気味で、だから印象深くて、みんなが覚えている奴ってことなんだよなあ。
学校時代はたいして友達でもなかったのに、「○○はまだか?」って、自分も言いそうな気がする。
そう言いながら、大して面白くもない自分自身の歩みを酒の力を借りて、誰も聞いていないのに、自分勝手に熱く語るんだろうな。(笑)
<アマゾンの内容紹介>
2009年吉川英治文学新人賞受賞作。
かつて「孤高の小学六年生」と言われた男を待つ、軽妙で感動の物語。
深夜のバー。小学校のクラス会の三次会。四十歳になる男女五人が友を待つ。
大雪で列車が遅れ、クラス会同窓会に参加できなかった「田村」を待つ。
「田村」は小学校での「有名人」だった。有名人といっても人気者という意味ではない。その年にしてすでに「孤高」の存在であった。
貧乏な家庭に育ち、小学生にして、すでに大人のような風格があった。
そんな「田村」を待つ各人の脳裏に浮かぶのは、過去に触れ合った印象深き人物たち。
今の自分がこのような人間になったのは、誰の影響なのだろう----。
四十歳になった彼らは、自問自答する。
それにつけても田村はまだか? 来いよ、田村。
酔いつぶれるメンバーが出るなか、彼らはひたすら田村を待ち続ける。
そして......。
自分の人生、持て余し気味な世代の冬の一夜を、軽快な文体で描きながらも、ラストには怒濤の感動が待ち受ける傑作の誕生。
【感想】
人生を半分過ぎて、自らの限界をはっきりと意識せざるを得なくなり、かつての仲間との再会に思いを馳せる、中高年にとって、そうした思いを共有できる場となるのは、同窓会なんだろう。
かくいう私は、同窓会には2回しか出席したことがない。30年位前と10年位前の2回だ。
たぶん同世代から見て少ないと思うが、たぶんに友達が少なかったことと、学校のあった愛媛県には実家もなくなり、かなり縁遠くなったということが少ない原因であろう。
ただ、仮にお誘いがあったとしても、きっと、なんだか照れくさい感じがして、同窓会やクラス会には参加しなかっただろう。2回の参加は、むしろ愛媛県と縁遠くなったから、恋しくて参加した気がする。だが、25年前の同窓会は、もはやほとんど記憶がない。(笑)
さて、アラフィフになった今、同窓会とかクラス会があったら、照れもなく、速攻参加する気がする。
孤高の天邪鬼だと思っている私なのであるが、それだけのパワーがあるのが同窓会なのだろう(笑)
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