【書評】一流アスリートの食事 細野恵美/著
副題は「勝負メシの作り方」である。実に気になる、一般人でも読みたくなる見事なサブタイトルである。(著者は実際に自身の作る料理をそう呼んでいるようだ。だが本著の中で勝負メシのレシピは載っていない。)
さて、この本は知人から薦められて読書したものである。
ランニングバカの私も、三流アスリートとしては認められているということだろう。(笑)
著者は千葉市出身のスポーツ栄養士である。(余談ながら上の写真のおりと美人さんであった。)
フリーではなくて森永製菓(株)ウイダートレーニングラボに所属の栄養士さんである。
そう、あの「ウイダーインゼリー」である。
彼女が支援する一流アスリートは、プロテニスプレイヤーの錦織圭選手、フィギュアスケートの浅田真央選手、スキージャンプの高梨沙羅選手らだ。確かに一流アスリートである。
しかしながら私が彼女を凄いと思ったのは、一度社会人になって、しかも社長秘書となりながら、一念発起して辞めて、栄養士になるため学校に入りなおして、栄養士になって現在につながっているということだ。
その生き様と千葉市出身で千葉ロッテマリーンズの専属栄養士だったという部分で、本著の内容うんうんより先に、好印象と好奇心を持って読み進められたのである。
さて、本著の内容であるが、アスリートにとって最も大事な栄養素は「糖質」という話が延々と繰り返されている。
錦織選手、浅田選手、高梨選手いずれも、筋肉質のパワフルな選手ではない。
なので「タンパク質」が足りないという話になるかと思ったら、そうではなかった。(ただし浅田選手に対してはダイエットにより調子を崩していたため、タンパク質の重要性を指導していたようだが)
運動する前にはもちろんのこと、運動後もまずは糖質摂取が最重要とのこと。
その理屈はこうである。
運動前にエネルギー補給するというのは誰にでもわかる話である。
ごはんや麺類に代表される糖質(炭水化物)の多糖類は消化吸収に時間がかかるので運動の3時間前に摂取する。時間がかかるというのは、逆に言うと「腹持ちが良い」ということで、長時間運動を続ける場合でも、エネルギー切れを起こしにくいということである。
運動後、しかも直後に糖質を摂れというのはちょっと意外な感じであったが納得の以下のような理論であった。
運動後に糖質を取らないと、エネルギー不足を補うため、自身のタンパク質を分解してエネルギーに変えてしまい、筋肉量が減少し、翌日以降のパフォーマンスが落ちるということらしい。
ちなみに、この自分の体内のたんぱく質、つまり細胞を分解してエネルギーに変えるのは、今年のノベール医学生理学賞を受賞した大隈教授のオートファジー理論である。
飢餓状態に陥らなくても、日常的にオートファジーが起きるということらしい。
運動後に糖質を摂るというのを実践していたのが、青山学院の駅伝選手たちだ。
箱根駅伝でゴールした選手が、倒れこみながら、すぐにウイダーインゼリーを飲んでいたのがマスコミで話題になっていたが、まさに運動直後の糖質摂取を実践していたということなんですね。
本著では、テニスの試合が3,4時間で長いということで糖質摂取の重要性を説かれていたが、テニスより時間が長くて、恐らくカロリー消費も激しいウルトラマラソンだと、10時間、20時間、最長なら45時間も走り続けることもあるので、そういう場合には、どのような栄養補給をすべきなのか?
私はそれを聞きたいですね。
是非とも教えていただきたいです、細野恵美さま m(__)m
« トランプ大統領が誕生した理由 | トップページ | 【書評】痴女の誕生 安田理央/著 »
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 【書評】山とマラソンの半生 杉浦和成/著(2022.03.16)
- 【書評】速すぎたランナー 増田晶文/著(2019.03.09)
- 【書評】騙し絵の牙 塩田武士/著(2019.01.20)
- 【書評】嫌われる勇気 岸見一郎・古賀史健/著(2018.12.18)
- 【書評】誤解だらけの人工知能 田中潤・松本健太郎/著(2018.11.16)
コメント