業務多忙のところ、3月に本レースを予約済みで、絶対にはずせないレースだと半ば強引に休みを取って、実際、来年のモンブランエントリーに必須のレースであったわけなのですが、結果を先に申せば、過去最悪の無残なリタイアでした。
レース概況
本大会は海外のウルトラレースに通じる難易度の高い本格山岳コースとなっている日本屈指のトレイルランニング大会。その難易度の高さを客観数値で表すと
・距離129㎞
・累積標高9200m
・制限時間35時間
【コース図】


【コース高低図】

トレイルランニングを嗜まない方には何のことかよくわからないであろうが、私が生涯の夢と追いかけている昨年無念のリタイアした世界最高峰のトレイルランニング大会のUTMB(モンブラン一周レース 距離169㎞ 累積標高10000m 制限時間46時間30分)と比較すると、距離は短いものの、累積標高はそれほど差がなくて、制限時間はグンと短い。主催者が言う通り難易度は国内屈指であることは間違いない。
それでも第1回大会では、何とか完走できたのであるが、今回は距離、累積標高も伸びて、完走できなかったと書きたいところなのであるが、そう語る以前の過去最悪の無残なリタイアとなってしまった。
リタイア概況
先週のトレニックワールドの脱水リタイア後遺症も業務多忙の中で何とか癒えての参戦となったが、寝不足気味からの脱却はならなかった。
一緒に参戦する師匠とは「諦めないで前に進む」ことをお互いに誓って、朝5時のスタートラインに立った。
走力のある師匠にはすぐに先行されるも、最初のエイドA1(12㎞地点)に2時間で到着。ランナーに温かい声援を送る女性にお礼を返答すると「スパルタスロンの、先週もレースでは、2週連続がんばってください」みたいな特別な声援をいただいた。ブログの読者さんだろう。(ぜひコメントお願いします。<m(__)m>)。
そんな邂逅があったので元気ももらって、でもマイペースで、まずは剣ヶ峰(標高2,083m)を目指す。午前9時頃に到達。練習不足のマイペースながらまずまずの展開。
剣ヶ峰からの劇下りで、今日のシューズはミスチョイスだったことに気が付く。足マメ対策に慣れ親しんだモントレイルのストリークを選んだのであるが、もともとグリップには難があるのに溝がなくなっている靴では滑って話にならなかった。(笑)
であるので得意の下りもセーブして進む。
A2の宝樹台スキー場に11時前に着けた。これは楽勝じゃないかと思う展開。
スキー場の上級者ゲレンデの急傾斜を登らされるが、この大会のいつものパターン。最初のスキーゲレンデはきついながらも何とか乗り切った。
折り返しコースではスイーパーに出会う。スイーパーとの時間差は2時間近くあるので少し安心していた。
そのまま上州武尊山(標高2,158m)に向かう。登山は楽しいはずだが、時間との闘いがあるとキツイ。標高1700m過ぎて、大会用に整備された巻道に進む。主催者の苦労が十分に感じられる即製の登山道だが、酷かった。
笹というか竹がかられてできているのだが、地面からは竹槍が突き出ていて、斜面の上の笹竹は倒れていて、唯でさえ滑りやすい斜面に滑ってくださいとばかりに笹竹が敷いてあって、でも地面からは刈り取られた笹竹が竹槍状に出ている。
トレラン大会の必携装備で存在しなかった靴を履けというのも納得の巻道でした。
(トレラン大会でレインウエアとか食料とか地図とかは必携ルールなのだが、シューズは必携リストに入っていなくて、別に裸足でも良いらしい。(笑))
そしてこの巻道で大失敗をしました。あまりの急登りなので、ロープが設置されていて、これに頼って登ったのであるが、力を入れるべく、無呼吸で登ってしまい、つまり無酸素運動を自らしてしまい、乳酸溜めてしまいました。これで以降の展開がすべて悪い方向に。
無酸素運動をしてしまったおかげで、まさに息も絶え絶えになりながら、何とか山頂到着(人生4度目の登頂)。ここからは下りでしたが、またも巻道で、ついに転倒。竹槍状に手を付き、手を負傷。グローブしてなかったら、大怪我なところでした。
無酸素運動の影響は、下りにも出てきて、滑りやすいシューズとともに、ペース上がらず。制限時間までの余裕時間を作ることもできずの12時間後にA3到着。がっつり冷奴とうどん食べた。ここで初のトイレ休憩。どうもおなかの調子も悪いようだ。
上級者ゲレンデの急傾斜を300m登って、反対側のゲレンデを降りて、降りて、もう1回ゲレンデ登って、降りた。これで完全に走れなくなっていた。しかし何としてもゴールにたどり着くという気持ちはあった。A4に到着し、がっつりパンとコーンスープいただいた。食べ過ぎたと思ったが・・・。
真っ暗で平らな畑の中を進むのだが、走れない。ビニールハウスの間を進むが、真っ暗で道しるべもなく、不安になったが、間違っていなかった。やがて山に入るが、ここのコースはまた怖いコースだった。完全い片側が切れ落ちていて、暗くて見えないのだが、登山経験から落ちたら死ぬような場所が延々と続いていた。しかも滑りやすい。登山経験の少ないランナーはそんな怖さを感じずに進んでいるのが少しうらやましい。(笑)
しっかり疲れ切って、斜面トラバースが終わると、今度は直登り。足が前に出なくなった。何人ものランナーに抜かれ始めた。息が上がって、登れない。無酸素運動の影響だろう。
登りきると、またも容赦ない劇下り。滑るシューズを何とかコントロールしながら進む。
W3で水をもらって、進むが心拍数を下げられなくなって、大した坂道でないのに息が上がる。戻ろうかと一度立ち止まるが、止める。先に進むのだ。
そうはいっても、歩いていて息が上がる状態では、思うように進めない。
これから先の700mの登りは難しそうだ。だが進むしかない。真っ暗だがときどき道しるべのライトが点滅する山中を進む。クマの生息地域だが、彼らももう寝ているだろう。牛歩で進むが、息が整えられない。明らかに体調不良だ。何とか登り切ったあとは、緩やかな林道だがもはやゆっくりとしか歩けない。何人ものランナーに抜かれる。「ずいぶん辛そうですね。大丈夫ですか?」なんて、声もかけられた。
ゲレンデふもとに到着するとスタッフがいたので、リタイアを告げる。
スタッフが車に戻って、青いマジックペンを持ってきて、ゼッケンにバツ印が書かれた。なんとも言えないショックを感じつつ、どこか安心した。コースを外れて脇の林道を進めとのこと。誰も通ることのない林道を進む。
本コースと合流し、一緒に丸太の橋を渡ったランナーと再会し、彼の余裕の弁を聞きながら、後姿を見送った。こちらは下りも歩くのが精いっぱいなのだ。
ドロップバッグの置いてあるA5(75.5㎞地点)に到着。予想外に制限時間1時間半前に到着。まずはトイレに駆け込む。酷い下痢だった。
今まで何度もリタイアしたが、それは制限時間切れで、時間さえあればゴールまでたどり着ける余裕があった。しかし、今回は違った。そんな余力はなかった。
そういう意味で「過去最悪の無残なリタイア」になったのだ。
その原因はわかっている。
完全なる練習不足だ。練習あるのみなのだ。
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