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2016年5月 7日 (土)

川の道フットレースが終わって思うこと

川の道フットレース520kmの完走記を当然に書くつもりであるが、その前にいまの思いを書き留めておきたい。

開会式で主催者の舘山代表が「川の道でそれぞれ何かを感じてほしい」とおっしゃっていた。

そのときは、正直、主催者のメッセージの一つとして、聞いていただけであるが、実際に参加して思ったことは、「川の道フットレースは、考え、悩み、絶望の淵に希望の光を見出すことが実感できる、まさに感動できるレースだ。」ということであった。

レースに出るごとに、それぞれのレースで思ったり感じることはあるのであるが、感動というレベルになると、2013年のスパルタスロン以来、あの大きな感動を超えるレースは私の中ではなかった。

それが、この川の道では、ゴールして、最難関ウルトラマラソンであるスパルタスロンに勝るとも劣らぬ感動を味わうことができたのだ。

※スパルタスロンとはギリシャで毎年9月末に開催される距離246kmの世界的に有名なウルトラマラソン。その完走記はこちら

そうまで書きながら、実際のところ、450km地点までは、「すごいレースであるが、長いだけのウルトラマラソンじゃないか」と思っていた。

なぜなら、序盤の飛ばし過ぎの反動でまったく走れなくなった235km地点から266kmまでの区間を除くと、これまでのウルトラマラソンや長距離トレランで培ってきたノウハウで、それなりに動けていて、抜かされることはなかったからである。

何人もの歩いているランナーを抜かすことで、このレースは「長いだけ」じゃないかと言うような慢心した気持ちを抱いたのであるが、450kmを過ぎてからは、わが身の限界を超えたようで、まったく走れなくなり、そのうち歩けなくなった。

歩けなくなることをこれまであまり経験したことがなかった私にとって、このときリタイアが頭をもたげてきたのである。

ゆっくりとはいえ450kmの相当部分を走ってきたのに、あと少しでゴールできるかと思うものの、そのあと少しのゴールまで実に70kmもあるのである。

ここからの苦闘は、先に書いた通りの「考え、悩み、絶望の淵に希望の光を見出すことを実感」する展開となった。

どうすれば体調を復活させられるのか?ゴールするために何が最善なのか?

暗くまっすぐな国道8号線を延々と思考しながら、苦しみつつ、歩き続けたのである。

とうとう歩き続けるの辛くなって、田んぼのど真ん中のバスの待合小屋でごろんと横になるも、寒すぎて寝られそうにないと思っているうちに、疲労はすでに限界に達しており、普通では絶対に寝られない寒さの中で、そのまま1時間以上寝入ってしまったりした。

睡眠が1サイクルして、寒さで目が覚めると、もはや歩くしかなくなり、歩き出すのだが、寒くて震えが止まらないので、仕方なく走り出した。500mも走ると体が温まり、体が回復していることを実感した。

こうして眠ると回復することを覚えると、今度はすぐに寝ることを考えてしまう自分が出てきて、でもそれだけで寝ていたら、いつまで経ってもゴールは近づかない訳であり、今度はさっきの睡眠で回復した体力を消耗しない、疲労しない歩きに努めた。

それでも時間経過とともに疲労は強くなり、絶望的な気持ちを抑えられなくなる中、道中一緒になって、いろいろな話をしたランナー(特に去年無念のリタイアしたランナー)、大会スタッフや私設エイドの方々との会話を思い出しながら、ゴールへの執念を維持し続けたのだ。

ラスト8.5km地点で前方に4人のランナーに従うように歩いていた私であるが、時計を見ると、残り1時間9分でゴールすれば、120時間切りが達成できるとわかると、これまで走れなかったことなど忘れたかのように、猛然と走り出すことにした。

すぐに前方の4人のランナーを抜いて、インターの下をくぐって、信濃川河口の堤防に出た。

堤防は風が強いうえに、案外に距離があるとの話は本当で、向かい風の中、サンバイザーを飛ばされないように、手に持って、ひたすら全力疾走をした。

そして川の道岬、つまり日本海に到着するが、時間がないのであまり余韻に浸ることもなく、すぐにゴールのほんま健康ランドを目指して、さらに大爆走した。

堤防が終わって、市街地に降りると前方に2人のベテランランナーが談笑しながら歩いていらっしゃっていて、道中か宿でお話しさせていただいた方であったが、ひと声かけて抜かさせていただき、そのままゴールまで全力で走りきることができ、大爆走してのゴールを序盤と最後だけではあるが、実現できて、ものすごい大感動をいただくことができたのだ。

この川の道の520kmの長丁場は、ただ長いだけでなくて、超超ウルトラマラソンとして、ほとんどのランナーにとって限界を超えた状況下に陥って、その中でもがき苦しみながらゴールを目指すことで得られる何かがあるということなのだろう。

もちろん、限界の距離は人それぞれで、10kmが限界の人もいるだろうが、超ウルトラ経験者からすれば、もはや1ステージ制として最長距離である川の道しか限界を超えた距離は残っていないのであろう。

思考と葛藤のはざまの中で、自己の限界を超えた先にいる新たなる自分に出会える世界があると信じている私にとって、川の道フットレース520kmはまさにそういう大会であり、よって大感動をいただくことが出来ました。

そして、その大感動は、共にゴールを目指した参加ランナーや大会関係者・スタッフ・私設エイドの方々、さらには走っていることを思い出して、心の中で応援してくれている家族や知人などの支援、大いなる愛無くしては、この川の道という旅は成し遂げられなかったということを、完走したランナーはもちろんのこと、関係した人々全員が感じることができ、それゆえに多くの人が魅了される大会となっているのだと思う。

みなさま、本当にありがとうございました。m(__)m

Shirakata

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コメント

チョー感動しました!
川の道はいつか来た道。
ぼくは、仮に自分があと1分で臨終とわかったとき、
走馬燈の1コマは確実に川の道が登場すると予感してます。

通過順位みてるだけで、大ウケしてたんですよ。
なんと5番!わー!
いきなり37番!寝てるのか、寝てるのだろうか?
29番!まくったなー、ぜったい爆走で新潟の直線道いったなー、なんて。
しかし、まさかの鹿渡館14時間滞在とは、まさかの長野市内ホテル・チェックインとは。
もーいろんなことがあったんでしょうね!
UTMBのご報告と同様、なるべく川の道2016の記録が、1晩でも長く続くことを願っています。
すぐに終わらないでくださいね。~熱心読者代表~

今年川の道に初挑戦し、28位でゴールした者です。お疲れ様でした!
こちらは佐久~小諸と、浅野交差点~鹿渡館がきつかったです。。。三条くらいからは120時切りを意識してました(がダダ歩き)。
なにより長野市内と鹿渡館の滞在時間の長さが素晴らしいですね!
私も自分より滞在時間長い選手はいないだろうと思っていましたが完敗です(笑)3ヶ所のレストポイントの合計滞在時間は18時間10分、路上では20分滞在を繰り返していた感じでした。

バカロードさま、川の道の応援ありがとうございました。m(__)m
当初の目論見では、序盤の勢いのまま、後半になだれ込むつもりでしたが、やはり直前のインフルエンザによる体調不完全に、アナフィラキシーショック症状、逆走事件、カモシカや蛇との遭遇などなど前半戦で艱難辛苦に遭遇し、後半戦は爆睡してしまいました。(笑)
完走記は、絶対に認めようと思っていますが、5月6月は仕事が忙しいので、ゆっくりした連載になると思いますがお許しください。今の熱い思いを記事にできるか、不安ですが、頑張りますので、しばしお待ちください。(笑)

ヤマオンナさま、コメントありがとうございます。また川の道お疲れ様でした。
八丁トンネルへの登りでは、あっという間に抜かされましたね。
登山好きでトレランを嗜む者ながら、登りが激弱な私からすると羨ましい限りの登攀能力だと感心しておりました。
十石峠までの登りで再度抜かれるのではと気合を入れて登ったためか、佐久穂に降りてから、大ブレーキでした。(笑)
それにしても、女性でこの川の道に参加される勇気にまずは感服です。
そして、女性2位での完走。素晴らしいです。
また、どこかのレースでお会いしましたら、川の道話で盛り上がりましょう!

お久しぶりです、Mクリニックのmasaです。凄い、凄過ぎる、、、ロードで500kmオーバーなんて!おめでとうございます!いや〜凄い、、、すいません、正直に言わせてもらいます、、、変態ですね!何かまたお力になれれば、ご相談を!いや〜凄い、苛酷、僕は心が折れちゃいます、、、。

masa先生、お久しぶりです。そしてコメントありがとうございます。
時間制限的には余裕がある大会なので、完走できましたが、終盤、心は確かに折れそうになりました。
実は完走後のダメージが癒えず、先週の土曜日にmasa先生の診察予約しました。
6月中旬に伺いますので、よろしくお願いいたします。
変態的に長いロードはやはり故障しますね。診察のころには治っている気もしますが(笑)

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