【書評】村上海賊の娘(上・下) 和田竜/著
愛媛県で18年間育った私にとって、瀬戸内とは、実のところ故郷を思い出す懐かしい響きである。
まだ幼かったその頃、村上氏という海賊が中世に瀬戸内を跋扈していたというのは、知っていたが、瀬戸内とはいえ、松山育ちなこともあり、実感としては海賊の歴史を感じたことはなかったのも事実である。
さて、本作品は戦国時代の海戦として、もっとも有名な木津川合戦の第一次を舞台とする歴史小説である。
主人公は、タイトルのとおり村上海賊の首領、村上武吉の娘、景(きょう)。本当に存在したとは思えないが、歴史的事実、つまり史実を変えることなく、小説内では暴れまわっており、作者の力量は流石である。
能島村上の拠点である能島であるが、私はその付近を昨年走ったはずである。記憶を手繰り寄せてみよう。(→瀬戸内行脚完走記)
なんと、大島は走ったけれど、能島とは反対側の海岸を走っていたようだ。うーん、実に残念。
史実を精緻になぞりつつ主人公の内面をあぶりだしていくような歴史小説が好きな私にとって、主人公の景以外は、歴史上の人物として、抜かりなく濃密なキャラクター付けされて精緻に描かれながらも、終始、劇画調な展開を見せ続けた本作品は、歴史エンターテイメントとしては実に楽しく読むことができた。
映画にしたくなるような作品であるのだが、時期が経過しているところを見ると、実現しないのかも。
映画で見たくなる小説でしたね。
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投稿: 本が好き!運営担当 | 2016年5月17日 (火) 13時39分