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2015年11月28日 (土)

【書評】火花 又吉直樹/著

Hibana
ご存知のとおり本著はお笑い芸人である「ピース」の又吉さんが書き、芥川賞を受賞した作品である。
当分図書館では借りられないだろうと話していたら、友人が貸してくれて読了できた。

話のあらましは以下のとおり
お笑い芸人二人。奇想の天才である一方で人間味溢れる神谷、彼を師と慕う後輩徳永。笑いの真髄について議論しながら、それぞれの道を歩んでいる。神谷は徳永に「俺の伝記を書け」と命令した。彼らの人生はどう変転していくのか。人間存在の根本を見つめた真摯な筆致が感動を呼ぶ!「文學界」を史上初の大増刷に導いた話題作。
(以上「BOOK」データベースより引用)

著者はテレビによく出ているお笑い芸人であり、なんとなく著者のキャラクターを思い浮かべながら読むことになるのだが、本著の主人公である徳永はお笑い芸人で出るという点も踏まえて、著者の姿とどうしてもダブってしまい、それはそれで通常の一人称的な感情移入とは異なる不思議な気持ちで読み進められる。
しかしながら、とても硬い文体で、テレビしか見ないで本なぞ読まない人には、かなり小難しい本だと思う。
また主人公が師と仰ぐ神谷は、いわゆる破天荒な破滅型の生き方をする、古き良き芸人タイプであるが、現代の仲良しともだち社会では、とうぜん異端とされて、主人公自身も内心そう感じながらも、それを超越した天才漫才師だと信じ、コンビではないものの、師弟として濃密な時間を過ごしている。

実は本著を読んでいる間、20年前に机を並べ一緒に仕事していた先輩と10年ぶりくらいに飲む機会があった。
ご存知のように私はシニカル(皮肉)な言動が多いのであるが、この先輩のシニカルさは、私なんぞ可愛いくらいの猛烈な毒舌ぶりなのである。
特に気心が知れた人と飲んでいるときの毒舌の鋭さを仮に普通の女性が聞いたなら嫌悪するどころか、たぶん泣き出すであろう。
そのあたりの刺々しさは、本著の主人公の師である神谷のキャラと似ている気がして、そのなんとも言えないタイミングの良さにこの場で紹介した次第でもあるのだった。

余談だが、私の毒舌ぶりが先輩に比べて中途半端な理由が久しぶりに先輩と飲んでわかった。

最大の理由は、私の毒舌はその場限りなのだ。その場限りな理由は、私は人の悪口をすぐに忘れてしまうということだ。
一方、先輩はこちらがすっかり忘れている触れてほしくない言動をしっかり覚えていて、それを面白おかしく脚色したうえで、こちらが既に忘れている恥部や痛みを的確かつより深くえぐってくるのである。
忘れていたことでえぐられる痛みは半端なく、反論することでさらに新たな脚色要素を先輩に教えることになり、それが次回以降にえぐられる原因となるのだから堪らない。

しかしながら、部下の面倒見は良いらしく、私は直接知らない彼の部下の恥部を私は知ることになり、それは酒の席では楽しい話ともなるのだが、結局その場以降は忘れてしまう私は、その時しか先輩の恥部をえぐることができないのだ。

非道な先輩のように書き綴ったが、以下のような人の心をくすぐる話もしてくれるのだ。

その昔に私は、先輩に「先輩との仕事は楽しいです。」というようなことを言ったらしく、それを先輩は母親に話したら、「そういうこと言ってくれるなんてありがたい後輩だね。」と言われたことを今でも思い出すと。(先輩の母親は8年前に他界)

もちろん私は涙ぐんでしまった。

話がだいぶそれましたが、この火花に書かれている話は、夢を持っていた社会人時代の濃密な先輩後輩関係(本では師弟関係)とそれによる成長物語なのである。

140ページと割と薄い本なのであるが、文体が硬く、濃厚な小説であり、まだ若い(私から見たら)著者らしい青春群像の残り香あふれるお話でした。

最後に一番共感した部分について引用したい。
「世間からすれば、僕達は二流芸人にすらなれなかったかもしれない。だが、もしも「俺の方が面白い」とのたまう人がいるなら、一度で良いから舞台に上がってみてほしいと思った。「やってみろ」なんて偉そうな気持ちなど微塵もない。世界の景色が一変することを体感してほしいのだ。自分が考えたことで誰でも笑わない恐怖を、自分で考えたことで誰かが笑う喜びを体験してほしいのだ。」

豊かな人生において必要なことは、とにかくやってみること!

そう思います!

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