【書評】脳を鍛えるには運動しかない! ジョン J.レイティ/著 野中香方子/訳
副題は「最新科学でわかった脳細胞の増やし方」
人間の脳は走りながら進化した。
脳と気持ちが劇的に変わる脳科学からの運動指南。
空前の脳ブームとランニング・ブームを結ぶ待望の書!
「この10年、脳についてたくさんの本を読んできたけれど、本書はもっとも役に立つ1冊だ」
(ドナルド・ミッチェル:amazon.comトップ10レビュワー)
アメリカ・イリノイ州のとある学区では、朝の授業の前に「0時間体育」の試みを始めたところ、参加する生徒の成績が上がりました。しかも、0時間目の直後に受けた1時間目の教科にとくに顕著な効果が現れたのです。その理由は──予想もしなかった運動と脳の関係にありました。
運動すると気分がスッキリすることは誰でも知っています。けれどもなぜそうなるのかわかっている人はほとんどいません。本書は「運動と脳」の関係に神経科学の視点から初めてしっかりとメスを入れ、運動するとなぜ学習能力が上がるのか──のみならず、ストレス、不安、うつ、ADHD、依存症、ホルモン変化、加齢といった人間の生活・人生全般に影響を及ぼすのか、運動がいかに脳を鍛え、頭の働きを取り戻し、気持ちを上げるかを解き明かします。(Amazonサイトから引用)
【感想】
「ストレスは能力向上に必須なものである。」
「栄養バランスのとれた食事より運動の方が健康に寄与する力が大きい。」
「1時間の帰宅ラン中の瞑想で日中の大概の問題は解決できる。」
以上がランニングバカの私の経験と知見による仮説理論である。
本著ではこれらのことはかなり科学的実験により肯定されていることがわかった。
運動(特にランニング)による学習効果の向上はもちろんのこと、ストレス免疫、パニック障害、うつ、注意欠陥障害、アルコールや薬物依存症、PMS、老化や認知症などあらゆる病理の克服に効果があることが実験により証明されていることが本著には書かれていた。
私にとって、これらの話は特段目新しいものではなかったが、いずれも脳細胞の活性化や増加という効果により、病理の改善が図られるということらしい。
今回の読書で一つだけ識見の向上とランニングのモチベーションが上がることが書いてあったので紹介したい。
それは無酸素運動の効用である。有酸素運動(エアロビクス)が体に良いことはもはや一般常識であるが、無酸素運動の効用はあまり気にしていなかったからです。
無酸素運動の効用は、無酸素運動後、ヒト成長ホルモンが大量に放出され、あらゆる成長因子の生産量が増え、筋肉はもちろんのこと、脳も増強され、老化にすら抗えることになるということだ。
今年に入って帰宅ランの3回に1回、ラスト1kmを全力疾走で終わらせている。それは心肺機能を強化しようとして取り入れた簡単なトレーニングであったのだが、走る距離は増えていないのに最近、ちょっと太ももが太くなった理由がこれでわかった次第だ。これまでは、翌朝に疲れを残したくなく、だらだらと最後まで走って終わっていたので特段、筋肉が増強されてこなかったということだろう。
別に最後でなくても良いのだが、無酸素運動となる全力疾走を30秒間入れるだけで、その後にヒト成長ホルモンの大量放出が起きるらしい。30秒の全力疾走なら、誰にでも簡単にできるので興味のある方はだめもとで試してみてください。
私も仕事の環境変化でトレーニング量が激減しているので、無酸素運動の強化を今夏のUTMB対策の一つの柱にしようっと!
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