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2015年4月11日 (土)

【書評】アルピニズムと死 山野井泰史/著

Yamanoi
山野井さんは、登山、特に登攀者(クライマー)として世界的な有名な人であることくらいは、登山好きの私も知っている。
ドキュメンタリー番組で多数の指を凍傷で失いながらも大絶壁を今なお登り続けていることに驚愕したこともあった。
また最近では在住する奥多摩で熊に襲われ、重傷を負ったという事件報道でも知っていた。(その場所がハセツネのルートに近そうで、嫌だなあと思ったことが印象深い。)

さて、この世界的クライマーの山野井氏に比べ、私の登山はすでに開拓された一般の安全なルートで頂上を目指す完全なアマチュア登山で、登山は危険だと認識しているが、死に近いというイメージは持っていない。
高所恐怖症であり、身体の柔軟性がない私には、いわゆるロッククライミングの素養はないし、そもそも興味もない。百名山登山時にたまに現れる岩場で十分なのだ(笑)

一方、山野井さんは、本著でヒリヒリするような危険な大岩壁を好んで登攀し、そして多くの友人を失ったことが書かれている。

それらを含めて「僕が登り続けてこられた理由」を過去から探っているかのように自身の登攀登山を振り返っておられる。

特に彼の若いころの自信過剰なインタビューは印象的だ。
「考えるだけでワクワクするような感じになってこないと、行っても無駄だね。死ぬだけだもんね。」(1987年)
「成功率3割くらいが一番面白いね」(1989年)

本人はやや反省しておられるが、生意気な若造の感じが溢れ出ている強気のインタビューができたからこそ、メディアに露出できたし、クライマーとして認められてもきたのだろうし、奇しくも私と同級生で50才間近の彼の今があるのだろう。

最後に現代の安全登山に対するアンチテーゼをさらりと投げかけている文章が印象的だったし共感したので引用したい。

「山登りはとても不思議で難しいゲームだ。多少危なっかしい方が面白い場合が多く、完璧な安全を求めるあまり、つまらなくする場合もある。確実な天気予報を得られ、救助を要請できる携帯電話、位置を確認できるGPSなどを含め、山登りを面白くするため、あるいは山の中だけでも賢いクライマーを保つため、、あえて手放しているものも多い。
ヒマラヤの8000メートル峰でも、登頂率を高めるため衛星電話を使い、正確な天候、気温、風速風向などの情報を集めるらしい。
しかし、僕は違うスタイルを選びたい。(中略)
吹雪のなか、見覚えのある場所にたどり着いた瞬間や、深い藪を抜け出し正しい道に戻れたときの喜びは、ときには頂に到達するよりも感激するものだ。
禁欲的に見えるかもしれないが、動物としての能力が発揮できる機会を守っていくことは、山で生き残るうえでも重要に思えてならない。」

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