【書評】女のいない男たち 村上春樹/著
日本を代表する世界的な作家、村上春樹の小説の初読書である。ノーベル文学賞受賞前に読めて良かった。(予想)
(ちなみに彼のエッセイ「走ることについて語るときに僕の語ること」はランニング好きなので読んだことがある。)
今回、村上さんは、珍しくまえがきを書いたと言っている。その前書きの中で、自分は長編が得意なのだが、今回は珍しく自分から短編を書いてみたと言っている。
確かに何冊にもわたる長い作品が多いですね。
さて、本短編集であるが、実に意味深なタイトルだ。
結婚しない男、いや結婚できない男を指しているかのようだが、読めばわかりますが、そんな単純な話ではない。
「ドライブ・マイ・カー」
「イエスタディ」
「独立器官」
「シェエラザード」
「木野」
「女のいない男たち」
どれも村上ワールドの透明感のあるきれいな文体が心地よかったのだが、いずれも不可思議な話だ。
その中でも、「木野」は秀逸だ。
木野は合理的な行動をしているようで、じつは迷信を信じる不合理さが自身を蝕んでいる。
現代の男性の典型のような繊細さとそれゆえの弱さで人生が混迷さを増していく展開が印象的だった。
それにしても、村上春樹ワールドは不可思議さで満ち溢れている。
そしてそれが少しも不愉快でなく、むしろ少し満ち足りない渇きを覚えるような、不思議な感じの読了で、そんな感じは初めてだった。
なるほどなるほど、これが村上春樹の小説なのかと思った。遅まきながら次は何を読もうかな(笑)
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