【書評】震える牛 相場英雄/著
BSE問題、食品偽装問題を扱った社会派サスペンス小説。
未解決の通り魔殺人事件の捜査を進めるうちに、事件の深い真相にたどり着いていく様は、作者の筆致の巧みさもあり、引き込まれる。
現代社会は少なからず誰もが経済至上主義、つまりはお金に踊らされている訳で、ややもすると正義感の強い正直者はバカを見ることになる。
バカを見る程度ならまだしも、金儲けの邪魔をしたことを逆恨みされて、命すら奪われてしまう。
まさにそういう典型的な自分勝手な殺人事件を扱っているのが本作品であるのだが、題名からは、そんな雰囲気すら漂わせないのが、また巧妙である。ミステリーとして展開の意外さもあり、実の読みごたえがあるのだ。
そう感心しながら読んだ後に知ったのだが、すでにテレビドラマ化されていた。
いつも安い食料品を好んで食べている私なのであるが、本作品を読むと、そうした安い食品の危険性への想像が膨らみ、少し躊躇してしまう自分が出てきた。(そう書きながら、結局は、メーカーや販売者のブランドを信じて食べ続けているのだが・・・(笑))
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