【書評】事故調 伊兼源太郎/著
市が管理している人工海浜で陥没事故がおおきて幼い命が失われた。
市は事故調査委員会を立ち上げ、原因究明を開始するが、穏便な形での決着を目指す市長の思惑や、関係した市職員の無責任な態度に、市に責任が無いことを事故調査員会の結論とするという市長の特命を受けた主人公黒木が、最初は市役所の組織人として動き出すも、昔の職場である県警のコネやノウハウを使って真相を究明していくうちに、不作為による隠ぺいという真実を掴み、最後にすべてを暴き出して、市の新たなる再生への道筋をつけるというお話である。
硬直しがちな市役所という組織の描写がとてもリアリティを感じさせるもので、とくに職員の不作為には読んでて腹立ちましたね。(笑)
ミステリー的な展開と市役所内部の責任逃れに読んでいるこちらは混沌な状況に陥りながらも、早く先を知りたくなるため、一気に読んでしまいました。
最後の大団円は、ちょっと出来すぎな感じでしたが、全員がやる気のない職員でない、少数ながらも一部の職員には使命感溢れる者がいることに安心しました。
ぜひとも公務員に読んでいただきたい小説でした。
主人公黒木は元刑事らしく、情報屋や鑑識などの協力により、獅子奮迅の働きがあって真実に到達し、それを正直に発表することでの大団円という結果であり、私には真似ができないのであるが、先日、上司にいろいろ懸案を片付けたと思うと言われたことを誇りに自分なりには頑張っていこうと思いました。
まあ、普段は昼行燈(ひるあんどん)そのもので、仕事は部下がしているような私ですがね。(笑)
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