【書評】宗教家になるには 島田裕巳/著
本著は「なるにはBooksシリーズ」の一冊である。
なにかの職業になるにはというシリーズものである。
そのため、ここでいう宗教家とは教祖や開祖になろうと言う話ではなく、既存宗教の宗教活動に携わり、職業にするにはどうすればよいかを、実際の宗教家を取材して、分かり易く解説してくれている。
本著に載っている宗教家は以下のとおり
・僧侶(仏教)
・宮司(神道)
・司祭(キリスト教カトリック)
・教会長(新宗教(金光教))
・イマーム(イスラム教)
本来のシリーズ本として当然に書かれているはずの給料については、各宗教法人やその中での役割の違いなどで千差万別ということで、ほとんど書かれていない。
なにより、各宗教法人とも資格というなの修行が必要であり、一般の会社員・公務員などの職業とは大きく異なることは明白である。一つ言えることは、お金のためになるような職業ではないということだ。
紹介が遅くなったが、著者は宗教家ではなくて宗教学者の島田裕巳氏である。しかし宗教学者ならではの多様な宗教を客観的かつ分かり易く書き綴られている。いつもの彼らしい筆致なのだが、彼の著作を読むのはこれで何冊目だろうか?5冊目くらいだと思う。なんでだろうか?
最後に、最後に書かれていた宗教家を志す人への部分が印象的かつ宗教家のみならず一般人にも有用に思えるので引用したい。
■宗教家を志す人へ
「ファンシイダンス」は、あくまで娯楽映画としてつくられた作品で、宗教家をめざす人向けに作られたものではないが、宗教家を志す人たちには一度は見て欲しい作品である。自分たちの志はもっと純粋なものだという反発がでるかもしれないが、修行を経験した人間がなんらかのかたちで出合う事柄がかなり的確に表現されているように思う。
特に、修行を経ることによって、周囲の事柄を、矛盾を含めてすべて受け入れることのできる心境に少しでも近づくことが、宗教家になるには不可欠なことなのである。
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