【映画】トレヴィの泉で二度目の恋を
「愛と追憶の日々」のシャーリー・マクレーン、「人生はビギナーズ」のクリストファー・プラマー、アカデミー賞受賞経験を持つベテラン俳優2人が共演したラブストーリー。人生の晩年を迎えて出会った正反対の性格の男女が、少しずつ愛情を育んでゆく様子を描く。監督は「イル・ポスティーノ」のマイケル・ラドフォード。
【映画のストーリー】
人生の晩年を迎えたエルサ(シャーリー・マクレーン)には、まだ叶えていない夢があった。それは、ローマにある“トレヴィの泉”を訪れ、フェデリコ・フェリーニ監督が「甘い生活」で描いたような甘美なシーンに自分も立ってみたい、というもの。80歳のフレッド(クリストファー・プラマー)は7ヵ月前、長年連れ添った妻に先立たれ、失意のどん底にあった。娘リディア(マーシャ・ゲイ・ハーデン)の勧めで心機一転、住み慣れた家から小さなアパートメントへ引っ越したものの、心は沈んだまま。そんな時、隣に住むエルサが、リディアの車のヘッドライトを破損してしまう。修理代金の小切手を持ってフレッドの家を訪ねたエルサは、いつものクセでつい小さな嘘をつく。それは、未亡人である自分の年金で5人の孫たちを養っているという作り話だった。その嘘を信じたフレッドは、彼女に同情して小切手を返却。意外な行動に驚きつつ、その優しさにエルサの心は揺れ動く。“偏屈なジジイ”という最初の印象は、いつの間にか好意に変わっていた。けれど、楽観的で肯定的なエルサとは正反対のフレッドは、全てに対して悲観的で否定的。それでも、エルサの努力によって、冷え切っていたフレッドの心に少しずつ変化が訪れる。少しお洒落をして家を訪ねてきたフレッドに、“トレヴィの泉”に行きたかったこと、若い頃にピカソに絵を描いてもらったことなど次々と楽しそうに語るエルサ。その半分以上は愛嬌ある嘘で固められているものの、フレッドには刺激的な話だった。そして、一緒に散歩に出かけ、ダンス教室を訪れるうち、フレッドは笑顔を取り戻し、気づけば彼女に恋をしていた。まるで若い恋人同士のような2人の関係は順調そのものだったが、実はエルサはまだ秘密を抱えていた。そして、ある出来事をきっかけに、これまでのエルサの嘘がばれてしまう。すべてが明らかになった時、フレッドが取った行動とは……。
【作品データ】
原題 ELSA&FRED
製作年 2014年
製作国 アメリカ
配給 アルバトロス・フィルム
上映時間 97分
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【スタッフ】
監督 マイケル・ラドフォード
脚本 アンナ・パヴィニャーノ 、 マイケル・ラドフォード
エグゼクティブプロデューサー アーロン・L・ギルバート 、 ジェイソン・ヒューイット 、 カーステン・H・W・ロレンツ 、 ゲイリー・プレイスラー 、 ロブ・ウェストン
撮影 マイケル・マクドノー
プロダクションデザイン ステファニー・キャロル
編集 ピーター・ボイル
衣装デザイン ゲイリー・ジョーンズ
キャスティング シャロン・ハワード=フィールド
日本語字幕 古田由紀子
【キャスト】
エルサ・ヘイズ シャーリー・マクレーン
フレッド・バークロフト クリストファー・プラマー
リディア・バークロフト マーシャ・ゲイ・ハーデン
レイモンド・ヘイズ スコット・バクラ
ジャック クリス・ノス
ジョン ジョージ・シーガル
マックス・ヘイズ ジェームズ・ブローリン
ラヴァーン Erika Alexander
アルマンド ウェンデル・ピアース
アレック・ヘイズ レグ・ロジャース
【感想】
老いた時に体はもちろん、気持ちも堕ちていく。男性のフレッドはまさにそれを地で行く典型的な妻を失った老人だった。一方、エルサは、老いた現実など、くよくよ考えずに明るく生きていて、その生き様は、同じ老人でも女性に備わる男性から見ると羨ましい特性だと思う。
老いると出来なくなることがあるが、それはそれで受け入れて、楽しく生きていく。
いつ死んでもいいように日々精一杯生きていくことにしようと真剣に思った映画でした。
【ネタバレ】
天真爛漫であるが、それゆえ虚言癖というか妄想癖のあるエルサは、実は未亡人でなく、夫がいた。
それを知ったフレッドは、一度は怒りで我を失うが、彼女が人工透析を受けていて、先は長くないことを知る。
彼女の夢である「トレビの泉」でのダンスを叶えることにして、娘の旦那への投資を反故にして、イタリアに向かう。
イタリアでは映画「甘い生活」をなぞってシーンが繰り広げられ、最後に「トレビの泉」で映画の完全コピーが展開される。
話はそれたが、エルサはトレビの泉で踊った数ヵ月後に亡くなり、映画はエンディングとなった。
エルサを演じる太って老けたシャーリー・マクレーンの姿は、恐らくは狙い通りなのであろうが、トレビの泉のシーンは、あまりに痛々しい。オリジナルの「甘い生活」の若くて妖艶な女優アニタ・エグバーグとのフラッシュバックシーンは私には見るに耐えないものだった。ここまで人は老いてしまうという残酷な現実に今を懸命に生きることを大事にしないといけないと強く思った。
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