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2015年2月10日 (火)

イスラム国を壊滅できる?できない?【世界情勢歴史考察05】

イスラム国を壊滅できる?できない?【世界情勢歴史考察05】
「これは一介のサラリーマンがマスコミやネットの情報を基に世界情勢を考察しようとする無謀な試み。そのわずかで偏った情報と私の中にある限られた歴史認識からの帰納(歴史は繰り返す)によって導き出した仮説は真実に近づけるのか?」(かずさん)

日本人人質殺害で日本国民の誰もが知ることとなったイスラム国。そして日本国民が願ってやまない平和と安全を獲得するには、イスラム国には壊滅して欲しいと日本人の誰もが思っているところである。
イスラム国の簡単解説(イスラム教、コーラン、過激派(原理主義者)、ジハード(聖戦)含む)

その日本人の思いを実現する方策となると、日本国憲法第9条に基づく平和主義をことのほか尊重する我が国において、国連をはじめとする国際社会による直接行使(武力を含む)に委ねるほかならないという現実がある。

それをもどかしいと思うか、誇りと思うか、思いのずれは多少あるにせよ、それが日本の戦後70年余りの平和の原動力であったことは紛れもない事実である。アメリカの核抑止力などがあったとしても、この70年間は一発の銃弾すら、外国はもちろん国内でも発射したことがない(訓練を除く)のであるから、その自制力たるや世界的に稀有なことだと思う。

と、前置きが長くなったが、本題のとおり、イスラム国という名の過激派を壊滅できるのか?に話を進めたい。

まず、日本国の直接の武力行使は現行憲法上、考えられず、残りは国際社会がどうしてくれるかである。

すでにアメリカなどの欧米諸国、さらには一部のアラブ諸国による有志連合がイスラム国に空爆を行っている。
これにより、イスラム国には人的、軍事的さらには経済的にも相当な被害が出ているとの報道がある。

このまま推移すれば、イスラム国は早晩瓦解するのではないかとの予測も出ている。

しかしながら、根絶あるいは無力化するには、ある絶対的なものが欠けていると言わざるを得ない。

それは市民の主権国家への絶対的な支持と国家による統制力である。

その話を進めるには、ある身近な歴史を紐とかなければならない。
それは平和な国だと思っている日本の話である。

多くの人が忘れているようだが、日本はかつて、過激派との武装闘争を行っていたのである。しかも世界的にも過激派武装闘争のパイオニアであり過激派運動員の一大供給国であったのである。

それは日本赤軍をはじめとする極左暴力組織とその活動である。
時は1970年代、かれらは世界を股に、空港襲撃、外国公館への武装攻撃、身代金目的のハイジャック等の武力闘争を行ったのである。
72年のテルアビブ空港乱射事件では日本人3名の銃乱射で100人以上が死傷、74年のハーグ事件では日本人3名がオランダのフランス大使館を占拠し、身代金30万ドルと収監中の仲間1名を釈放させ、シリアに投降した。その他にもドバイ日航機ハイジャック事件、クアラルンプール事件、ダッカ日航機ハイジャック事件などを引き起こしている。この時の日本政府の対応は、今とは信じられないほどの弱腰で、身代金は払うし、収監されていた一味を超法規的措置として釈放しているのだ。まさにテロに屈したのだ。

日本政府を屈服させた彼らは彼らの味方からはセンセーショナルな活動、特に流浪の国家たるパレスチナを助ける運動が結果的に今の中東の過激派の活動の起点になったことは歴史的に揺るぎのない事実であろう。そんな時代があったことが嘘のように今の日本は過激派の非合法な活動が沈静化している。

それはなぜか?

日本国民の大多数がそれなりに民主的な法治国家体制と経済発展による豊かさの享受を支持するとともに、過激派による武装闘争を取り締まることを望み、それに応えて政府は国家権力に基づき、過激分子を適切に統制しているということで、過激派は充分な世代交代もできず、勢力を減少するのみということであろう。

では、イスラム国の状況はどうであるか?

イラクの政権はシーア派ながら選挙で選ばれていて正当性が国際社会で認められているのであり、国際的に支援することができるのだが、問題はシリアだ。
「シリアのアサド政権は強圧的な圧政の独裁政府だ」と国際社会で認識されていること(ロシアのみが軍事的なつながりもありアサド政権を支持している)に加え、アサド政権はイスラム教の異端的存在であることから、周辺国は反政府勢力(スンニ派)を支持している状況である。しかしながら反政府勢力の方も一枚岩でなく、弱体であり、アラブの春の動きの中でも、結局アサド政権を転覆できなかった。

つまり、シリアに関しては、国際社会全体が支援すべき主権国家がないという状況なのである。

これでは、イスラム国をいくら叩いても、殲滅することはできないと思われる。

それぞれの地域が複雑な民族宗教対立のある中で、仮に地上軍を投入し、制圧したとしても、制圧した地域を誰が治めるかで地域社会はもとより、国際社会すらも揉めているのだから。
空き地のまま(支持される政権が存在しない)なら、結局、イスラム国あるいは得体のしれない勢力がはびこるという、まさに永遠なるモグラ叩き状態になるだけなのである。

しかも、日本赤軍のときと違って、イスラム国の場合、彼らの考え方に共鳴する人たちは少数とはいえ、常に存在し続けるという状況があるのだ。
それは、思想的な過激派と違って、神の教え、イスラム原理主義に基づいているからである。イスラム教ができた当初の教え、政教一致や古くて厳格な制度を守ろうとする極端な思想なのであるが、神の教えを忠実に行っていることを評価するイスラム教徒はいつも少なからず存在し続けるということである。

空白地は無くならず、世界各国のイスラム教徒の中にイスラム原理主義に救済を求める者も相当数存在し続ける。なのでイスラム国壊滅への道のりは相当に厳しいと言えるだろう。

【歴史予想】
有志連合による空爆、周辺国での石油密輸取り締まり強化などにより、イスラム国は弱体化していく。
しかしながら主権国家のうちのイラクのマリキ政権はすでに腐敗が進んでいることやシーア派であること、一方のシリアはアサド政権と反政府勢力のせめぎあいのままで、さらにはクルド人も絡んで、イスラム国の力が衰えても両国とも支配地域の奪還は遅々として進まない。
そのうち、カリフを名乗るイスラム国の過激な指導者バクダーディーが空爆で殺害され、イスラム国は分裂四散する。
残ったうちの強硬派は相変わらずの殺戮路線を続けるも徐々に各個殲滅される中で、窮鼠猫を噛むのごとく、過激なテロを世界各国で起こし始め、なかなか治まらない。
一方、比較的穏健な(といってもイスラム原理主義だが世界征服は諦めた)勢力はイスラム周辺国との融和を図り、彼らから一定の支持を受け始める。
その結果、イラクではマリキ政権と、シリアではアサド政権と反政府勢力との微妙なバランスの中で、内戦状態は続いていく。
トルコやサウジアラビア等の周辺国の支援により、現在のイスラム国の勢力を縮小した範囲において、西洋諸国との対立や拡張主義を抑えたイスラム原理主義武装勢力として、今後も存在し続けるとともに、過激なグループは世界でテロを起こし続けることになる。

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