【映画】So Young 過ぎ去りし青春に捧ぐ
青春時代とは、自身の人生において最も時間を無駄に使い、後悔の尽きないほろ苦さをいつまでもそのまま心の中に思い出として置いておけるという、面白き時代(かずさん)
「少林サッカー」「レッドクリフ」など国際的女優として活躍するヴィッキー・チャオの監督デビュー作。中国の人気ネット小説を原作に、甘く切ない初恋と青春をリアルに描く。出演は「モンガに散る」のマーク・チャオ、『マイ・キングダム』のハンギョン。「ロアン・リンユィ 阮玲玉」の監督、スタンリー・クワンがプロデューサーを務めている。
【ストーリー】
1990年代。18歳のウェイは、初恋の先輩を追い同じ大学に入るが、愛する彼はアメリカへ留学してしまう。そんなある日、傷心のウェイは真面目で無口なチェン(マーク・チャオ)と学内で知り合い、やがて互いに恋に落ちていく。だが、4年間の学園生活が終わる頃、人生の岐路に立つチェンはウェイと別れて留学の道を選択。そして10年の歳月が流れた……。
【作品データ】
原題 致我們終將逝去的青春
製作年 2013年
製作国 中国
配給 アルシネテラン
上映時間 131分
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【スタッフ】
監督 ヴィッキー・チャオ
脚本 リー・チャン
原作 シン・イーウー
製作 スタンリー・クワン
主題曲/主題歌 フェイ・ウォン
編集 リー・ワイチャン
【キャスト】
チェン・シアオチェン マーク・チャオ
リン・ジン ハンギョン
チョン・ウェイ ヤン・ズーシャン
ルアン・クアン ジャン・シューイン
チュー・シャオペイ リウ・ヤーソー
リー・ウエイジュアン チャン・ヤオ
【感想】
青春群像劇は日本をはじめ各国においてあまたある。
青春群像を描く場合、はちゃめちゃで面白いエピソードが盛り込みやすいので、時間に限りのある映画よりもドラマの方が描きやすいものだと思うが、だからこそ映画にして欲しいテーマでもある。
この映画は、私にとってはじめて見た中国の青春群像劇であり、物珍しさもあったのだが、予想以上に出来がよく、しかもラストシーンには不覚にもほろっときた。
主人公は明るく活発な女学生「チャン・ウェイ」なのだが、1990年代の中国の学生生活は、80年代の私の学生生活ととても似ていた。
特に映画での大学の寄宿舎生活でのはちゃめちゃ振りは、私も寮生活していたので、同じようなものだったし、とても懐かしく感じた。
それでも、映画に見られる中国での貧富の差、貧困脱出への強い思いは、私たち日本人には無いものだ。そうした思いをしなくて済んだ社会を作ってくれた日本の親世代に感謝したくなりましたね。
印象的なセリフは次のふたつ
「女は愛する人ができたらバカになる」(ルアン・クアン)
「自分の人生には1センチの誤差も許されない」(チェン・シアオチェン)
バカになった美人さんはそのとおりの生き様を全うし、日本なら1ミリの誤差と言うだろう1センチの誤差を選択できなかった学生時代の元彼は10年たって、もっと大きな誤差を許容できる男になって遅まきながら戻ってくるのだった。
青春とは時代や国家体制が違えども、それほど変わりないということなのだと、感じられた。
そう思える自分は、何もしなかったと思ってきた自分の青春時代も今となっては意味のある時間経過だったとこの映画で気付かせてもらえた気がする。今更であるが、よかったよかった(笑)
初恋の先輩リン・ジンを追って大学に入学したチャン・ウェイ(写真右)だが、先輩は大学から黙って去っていた。寄宿舎では美人のルアン・クアン、短髪で男勝りのシャオペイ、潔癖症のウエイジュアンと 同室となり、反発しつつも、良き仲間となって学生生活を送る。軟派な男子学生との交流もありつつ、そんな彼らと一線を画して、貧乏なので真面目に勉学に励むシアオチェン(写真左)にチャン・ウェイは魅かれていく。
やがて恋仲となった彼らだが、就職とアメリカ留学で喧嘩別れして、学生生活は終り、仲間はそれぞれの道に別れて進むことになる。
【ネタバレ】
卒業後10年経過して、彼らは再会することになるのだが、退学となったシャオペイとは音信不通、美人のルアン・クアンは、結婚直前に不慮の交通事故死とチャン・ウェイは悲嘆にくれ、初恋の先輩と結婚を決意するも、自分にはふさわしくないと一人で生きる決心して、先輩の元を去っていく。
一人で生きていくことを決心したチャン・ウェイはアメリカで成功して、中国に戻ってきた元彼のシアオチェンに学生時代の最高の思い出である水族館の出来事の真相を尋ねる。
彼の答えは、「今日は彼女の誕生日でプロポーズするつもりだが、自分は貧乏なので指輪も買えなかった。できれば彼女の大好きなイルカに触らせてあげることをプレゼントとしたい。」と飼育員と交渉し、イルカに触るプレゼントを彼女にしたのだと伝え、新たな関係への期待を感じさせて映画は終る。
【追記】
学園祭で主人公は大事MANブラザーズバンドの「それが大事」の中国語版を熱唱し、学園祭は大いに盛り上がっていた。また、主人公が初恋の先輩リン・ジンと再会して食事をするのが、日本風の居酒屋で日本酒を飲むシーンがあった。中国は過去の日本を恨みながらも、日本の文化をこれほどまで受け入れているのに驚いた。(高倉健への追悼も中国では凄いようですし)かつてアメリカに負けながらアメリカ文化に傾倒していた日本に似ているといえば言い過ぎだろうか?中国とは不思議な国だ。
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