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2014年10月 6日 (月)

【書評】永遠の0(ゼロ) 百田尚樹/著

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0(ゼロ)とは零式艦上戦闘機のこと、日本を代表する軍用飛行機であるとともに、世界の航空機の歴史に残る優秀な戦闘機である。それゆえ、アメリカ軍は畏敬の念を持ってゼロファイターと呼んでいた。
それが日本に戻って、ゼロ戦という呼び名が戦後定着し、子どもの頃の私は、ゼロ戦の雄姿に憧れ、その強さに熱狂した。

この物語は、特攻で亡くなった祖父宮部久蔵の足跡を戦後60年以上経って、孫である姉弟がすでに80歳以上となった当時の戦友たちにインタビューする形式で進んでいく。

これは同じ戦争を扱った昭和の作品、例えば日中戦争(児島譲/著)や戦艦武蔵(吉村昭/著)とは完全に異なる形式となっている。これら戦中の作家は、自身が実体験した戦争に対し、戦争批判の意識を持ちつつも、そうした主観を抑え、むろん愛だの恋だのを絡ませることなく、客観的、俯瞰的に膨大な一次証言を集めて冷徹に真実を表そうとする記録文学として記されたものである。(そして、名著となっている。)
しかしながら、戦後60年以上経ち、まさに戦争が過去となった現在においては、本著のように現代を生きる若者にインタビューさせ、不条理な戦争の中にも本著で描かれる確かな愛があったことで、愛こそが全てと思っている現代の日本人に戦争の物語として見事なまでの共感を起こさせてくれる。

また、老齢の戦友へのインタビューの順番も、この戦争を分かり易く時系列に説明させてくれるとともに、多様な視点で論じられていて、戦争を知らない世代に配慮している。(戦争の推移や個別の戦闘、例えば真珠湾攻撃、ミッドウエー海戦、ガダルカナルの戦い等について、戦史好きの私はすでによく知っている歴史であるが、詳しくない人にはわかりやすく整理された話になっていると思う)

もっとも恐れ入ったのは、主人公宮部久蔵に対する戦友たちの評価の多様さ、これこそがこの物語の凄さを感じさせるのである。
「海軍航空隊一の臆病者」「優秀なパイロット」というような両極端の評価を含む多様な回想が露わになることで、主人公宮部の人柄をより一層浮き上がらせるとともに、戦争そのものが持つ狂気までもよく表している。

そして、終盤の神風特別攻撃隊(特攻)の件になると、旧日本軍首脳部の非道ぶりには、悲しく、やるせなくなる。
明治維新後、日清・日露戦争での日本軍人の敢闘精神、もっと分かり易く言えば、結果的にとてもうまくいった成功体験が忘れられず、そのまま突き進んだ結果、第二次世界大戦では徹底的な損害を受ける敗者となったのだが、その終末期に行き着くところまで行ってしまったという実に虚しい歴史そのものなのだ。

しかしながら、それ故にわれわれ日本人は、この体験(失敗)を踏まえ、深い反省の上に立ち、人を愛することを第一に、未来永劫の平和を熱望し、不戦を誓うのだ。

それにしても、筆者のデビュー作がこれほどの名作となるとは、恐れ入りました。
はやく本作の映画、地上波テレビで放映しないかなあ。

【ネタバレ】
 まだ映画を観ていない人は、ぜひ読んで、感動してください。そのチャンスが残されている幸運を生かしてください。(笑)

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