【書評】ヒーローインタビュー 坂井希久子/著
下町と人情、新興住宅地に住む私にはもはや幻想と言えるものであるが、本著はそういうテイストたっぷりの話である。著者は私より一回りも若い女性なのであるが・・・
主人公は野球の天才高校生だった28歳であるが、プロ野球の阪神タイガースの選手としてはパッとした成績が残せないでいた。もちろんヒーローインタビューなどないしがない一軍半の選手だった。
それがあるシーズンの終盤に神がかり的な活躍をする。その裏側の理由を、彼に関係する人々、片思いを寄せる理髪店の女性店主や古老スカウト、高校の野球部時代の球友、対戦相手のベテランピッチャーなどへのインタビュー形式で物語りは進んでいく。ちょっと珍しい小説である。
それぞれの人生の中で、関わった人が誰から見ても輝いて、誇らしい活躍をする。それがとても嬉しく、自分の人生までも輝かせてくれる。そして、そんな活躍しなくても、その人にとって輝いてくれればそれだけで良いことに気が付かせられる。
そんなことが嬉しくなるとともに、そんな感性を持ちえている自分も歳取ったんだなあと思うが、まあ、どちらの人生でもいいや、自分は(笑)
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