【書評】戦争プロパガンダ10の法則 アンヌ・モレリ/著 永田千奈/訳
プロパガンダとは「ある政治的意図のもとに主義や思想を強調する宣伝」
中国の反日行動は何か意図を持って日本を追い詰めているように感じるこの頃、近いうちに中国は日本に戦争を仕掛けてくるのではないか?そんな漠然とした不安というか疑念が歴史好きな私の頭の中にここのところずっと居座っている。居座られて迷惑千万、なんのメリットも無いのに、困ったものだ。
そんな状況を打開すべく、本著を手にしたのだが、それは最悪の出会いになった。(笑)
「第一次大戦から冷戦、湾岸戦争、ユーゴ空爆、アフガン空爆まで、あらゆる戦争において共通する法則がある。それは、自国の戦闘を正当化し、世論を操作するプロパガンダの法則だ。」(巻頭オビから引用)
戦争プロパガンダ10の法則は以下のとおり
1「われわれは戦争をしたくない」
2「しかし敵側が一方的に戦争を望んだ」
3「敵の指導者は悪魔のような人間だ」
4「われわれは領土や覇権のためではなく、偉大な使命のために戦う」
5「われわれも誤って犠牲を出すことがある。だが敵はわざと残虐行為におよんでいる」
6「敵は卑劣な兵器を戦略に用いている」
7「われわれの受けた被害は小さく、敵に与えた被害は甚大」
8「芸術家や知識人も正義の戦いを支持している」
9「われわれの大義は神聖なものである」
10「この正義に疑問を投げかける者は裏切り者である」
本著の著者はベルギーのブリュッセル大学の気鋭の歴史学者で、1928年に英国で出版されたアーサー・ポンソビー卿の衝撃的な著「戦時の嘘」の考察に刺激されて2002年に上梓されたものである。当時あった戦争といえばアフガン空爆である。
よって現在の日中韓の緊張状態は考察されていない。
戦争を知らない世代であるが歴史好きなこともあり戦争関連の書物はよく読んでいるほうだと思う私が、過去の日本が中国やアメリカと戦争していたときを自分なりに考察すると、このプロパガンダの法則は完全に合致していると認めざるを得ない。
そして真珠湾攻撃後のアメリカも結局同じ状況、すなわちこの法則に合致した状態になって、日本と戦争しているのである。
さて、現在の東アジアの情勢であるが、日本はまだこの法則の半分ぐらいしか適合していないと思われる。すなわち日本人の多くが思っていることであるが戦争なんてしたくないし、そんな方向に向かっている状況ではない。
しかしながら中国側の状況を私なりに判定したところ、中国政府の発言や行動はすべてこの戦争プロパガンダ10の法則を完全に自ら実行しているとしか思えないことに気が付いた。
中国政府の言動との関連性の私の考察は以下のとおりだ。
「日本が中国を挑発している」とは1や2に当たる。
「安倍首相は極右」とは3だろう。
「靖国参拝批判」は4や9の布石だ。
「過去の南京大虐殺の話を繰り返す」のは5の援用だろう。
「過去の731部隊の話」も6の援用だろう。
「空母やミサイルで中国は優勢※」と喧伝して7をイメージさせている。
「親日の学者などを政治的に抑圧していること」は8や10そのものだ。
中国はこの本を知っていて、あるいは自分達で戦争の煽り方を認識して、外交や軍事行動を起こしているのではないか?と思わざるを得ないですね。
うーん、これはホントに困ったことですね。万一、日中双方の接触が頻発している尖閣諸島で偶発的な事故(どちらかの艦船や飛行機が損傷するような事態)でも起これば、日本の世論も激昂しかねず、こりゃ戦争になるかもしれないですね。
考えたくも無いですが、日本も最悪の事態、つまり戦争のことを考えないと、さらに酷い目にあうかもしれませんね。
その酷い目とは、尖閣諸島での偶発事故が日本のせいにされること。
かつての真珠湾奇襲のように、日本が卑怯なだまし討ちをしたみたいな情報操作を中国は狙っている可能性があるということです。
あー、やだやだ。
※中国ミサイルで日本は火の海に
2014年1月22日(水)17時6分配信 共同通信
【北京共同】中国軍と関係が深いシンクタンク、中国軍事科学学会の羅援副秘書長(元少将)は22日、中国のニュースサイト「吉和網」などで「中国と日本が開戦すれば、中国のミサイルで日本は火の海になる」と語った。
羅氏は「中国は国土も広く、戦争での持久力は比較的強いが日本はそうではない」と述べ「中国は余裕で日本に勝てる」と言明した。
また同サイトが「人民解放軍の千発のミサイルが日本に照準を合わせた」との情報があると伝えたことに関連し、羅氏は「中国はミサイルでの優勢を利用し、日本を抑え付けるべきだ」と強調した。
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