【書評】韓国・北朝鮮を永久に黙らせる100問100答 黄文雄/著
日本のことは一般人レベルとしてはそれなりに知識として知っているつもりであるが、外国となるとかなりその知識は脆弱と言わざるを得ない。
日本と揉めている韓国や中国も旅行では行ったことがあるが、それ以上に知りたくて、ネットで相手国のマスコミの日本語版などを閲覧して知識を得たりしているが、そこで展開されている内容はどうにも偏っているとしか思えない。
そんな中、タイトルの過激な本著に出会った。
著者は台湾の評論家とのこと、早稲田大学と明治大学大学院を卒業していることから知日家であり親日家なのであろう。
しかしながら本著を読むと、あまりに不甲斐ない日本人を叱咤激励しているかのごとくである。
つまり、日本人とはアジアにおけるなんぞやという歴史的考察が、日本人にないからこのような事態になっていると強烈に思い知らされるのである。
本著の章立ては以下のとおり
第1章 竹島問題 独島(竹島)は韓国のものだ?
第2章 日韓併合・日本統治 日韓併合で朝鮮の独立・主権を奪った?
第3章 政治経済問題 韓国には言論の自由がある?
第4章 北朝鮮の主張 横田めぐみさんは死んだ?
第5章 朝鮮半島の歴史 日本は韓国に謝り続けなければいけない?
第6章 ウリナラ起源 日本の天皇は韓国人だ?
第7章 韓流文化 朝鮮の独創性はハングル文字によく表れている?
本編は韓国からの質問とそれに対する回答形式となっている。(以下本著からの引用)
問1 独島(竹島)は韓国のものだ
答え
竹島は1905年1月28日の閣議決定をもって、同年2月22日「島根県告示第40号」で島根県に編入されました。
ところが1952年、韓国は公海上に李承晩ラインをひいて、竹島を自国領として武力占拠したのです。
韓国側の主張は1770年に成った『東国文献備考』(申景シュン編)の一篇「輿地考」の「分註」に拠っています。それで、竹島は韓国領のウ山島(うさんとう)のことだと解釈している。しかしこの「分註」は、柳馨遠編述の『輿地志』からの引用ですが、直接利用したのではなく、孫引きで、改変の跡が見られます。さらには、『輿地志』自他が現存せず、引用された箇所も確認できないといった杜撰な主張です。
韓国の古典に記述しているウ山島は断じて竹島ではありません。韓国の資料は捏造を積み重ねたシロモノで、下條正男氏(拓殖大学教授)などによってすでに完膚なきまでに論破されています。
問4 独島は韓国が実効支配をしているのだから文句を言うな。それを許してきた日本が悪いのだ。
答え
武力に頼った実効支配で、既成事実を作ったものが勝ちだという非平和的態度、手段は、全く北朝鮮のやっていることと変わりません。
これを見逃せば、次は日本海を「東海」に改称されてしまいます。
だけど日本の右翼もだらしない。宣伝カーで騒音を撒き散らしているだけでなく、竹島に乗り込むくらいの覇気のある右翼はいないんですかね。韓国側だってまさか殺しやしませんよ。
問9 日韓併合で日本が朝鮮の独立・主権を奪った
答え
国際社会では日本が初めて朝鮮の主権を認め、朝鮮を独立国にしたのです。(下関条約第1条)
19世紀の清国、ペルシア、日本でさえも完全な独立国ではない「半主の国」としか認められていなかった。
そういう歴史的背景の中で、いかなる列強であろうと朝鮮を主権国家・独立国家としては認めていなかったし、当然、主権も外交権もなかったのです。
1882年9月に調印された「中国朝鮮商民水陸貿易章程」も「古代から(朝鮮はシナの)属国である」と明文化しているし、アメリカ政府も日清戦争にともなう下関条約(日清講和条約)締結(1895年)以前には「朝鮮は清国の従属国家である」と規定していました。
下関条約締結後、米国務長官フレリング・ハイセンも駐清国公使ヤングに「朝鮮の清国からの独立」承認の書類を送っています。
こういうわけで、その後の「日韓併合」という理解も誤り。「日韓合邦国家」の誕生と見るべきなのです。
問12 創氏改名の強制で自殺者まで出た
答え
1940年の創氏改名は朝鮮人の熱烈な要求から始まりました。自殺者どころか、みな日本名が欲しくて仕方なかったのです。日本名を持つことは特権、高嶺の花でした。
創氏改名は、①「氏」の創設、つまり近代日本の家族制度に従って家の称号である「氏」をつくらせる、②日本式に名を改める「改氏名」という二つの要素がありましたが、②は全くの任意でした。この改革は、姓氏を持たない奴婢階級を解放する奴隷解放でもありました。朝鮮総督府の統治前、苗字を持たない奴婢階級は3,40%いました。総督府は四民平等という原則の下に苗字を与えたのです。
その功績はリンカーン以上といっても過言ではありません。
問14 従軍慰安婦は日本軍に強制連行された
答え
これはすでに虚言であることが実証されています。朝日新聞が得意になって使った吉田某の話などまったくのデタラメだったことを、秦郁彦さんが済州島に現地調査までして論破しています。それに対して朝日は一度たりともお詫びも訂正もしていません。
1996年には、日本のすべての歴史教科書に従軍慰安婦の強制連行の記述がありましたが、2003年の教科書検定以来、すでに日本の歴史教科書から削除されています。
「強制」を認め「謝罪」した1993年8月4日の河野洋平官房長官の談話は全く根拠のないもので、日本の恥といえるでしょう。息子の河野太郎氏があの談話についてどう思っているのか、ぜひ聞いてみたい。
問15 朝鮮青年はムリヤリ日本兵にされた
答え
全く歴史を無視した主張です。1938年からの日本による志願兵の募集は、朝鮮でも台湾でも希望者が殺到し、倍率は数十倍、血判まで出して志願する青年もいたほどでした。
これらの事実から見れば、強制説も、だまされたという説も史実とは全く逆の話です。朝鮮民衆は志願兵、国民兵を歓呼の声で送り出しました。
【ひと言】
歴史的かつ論理的な問答を台湾の評論家に書いてもらって、日本人が読んでいるという、まさに日本人の不勉強が招いた自業自得ですな。
しかしながら日本人がこれほど朝鮮の主張を真っ向から論破できないでしょうね。だからダメなんでしょうが・・・。
まあ、この本がどこまで正しいのか、それが分かるくらい多様な主張の本を読んで理解していかないといけないと思いました。
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