【書評】アルプスを越えろ!激走100マイル 世界一過酷なトレイルラン 鏑木 毅/著
『競技レベルで走り続けている私ですが、このスポーツは「遊び」だと考えています。(中略)
肩の力を思いっきり抜いて、どんな苦しい状況も楽しめるかどうか。(中略)
この競技で身一つで向き合う地獄とは、日常ではめったに体験できない「楽しい時間」なのです。』(本文からの引用)
走るレベルは天と地ほど違うものの、思いは私とまったく同じなのがなんだかとてもうれしかったですね。
トレランに限らず市民ランナーの良いところは、苦しくてもそれは「遊び」なところ。
自然の中を走ることが多いトレランは特にそんな思いを強く感じることができるスポーツであることを第一人者たる鏑木さんが書いてくれたことはさすがですね。
簡単に遊びとは言っても、山の中を20時間以上走り続けることは並大抵ではありません。それについて、こんなことが書かれていました。
『このような並外れたスタミナが一朝一夕でついたわけではありません。トレイルランを始めた28歳から毎年少しずつ積み重ねるようにして、十数年がかりで今のような持久力を手に入れたと考えています。
持久力を付けるポイントは何か、一言でいうと「体脂肪を使える身体をつくること」です。限られた糖エネルギーでなく膨大な体脂肪エネルギーを優先的に使えるように身体を変えていくことです。(中略)
人間の体は、比較的運動強度が低い(低心拍)の状態にあると、体脂肪エネルギーを使いやすくできています。だからゆっくり長く走るようなトレーニングを積むことです。』(本文からの引用)
ふむふむですね。
話の多くはUTMB(ウルトラトレイル・デュ・モンブラン)のことで、まだ見ぬレースに思いが馳せました。それ以上に印象的だったのは、私も2012年に出場した第1回ウルトラトレイル・マウントフジ(UTMF)の開催裏話は、自分も参加者で完走できたことからとても興味深く読み進められました。
最後にもっとも印象深かった話は、あとがきに書いてあったトレランとは直接関係の無い素敵な話のことでした。
『UTMFの翌日、脚の痛みが消えたことは先にお話ししました。実はこの日にもう一つ、とても嬉しいことがあったのです。
痛みがないと喜び勇んでトレーニングから帰ってくると、妻から妊娠したことが伝えられたのでした。結婚して15年近く待ち望んでいた赤ちゃんを授かることになったのです。何とも運命的な日だったでしょうか。』(本文からの引用)
本当におめでとうございます。
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