【書評】世界から猫が消えたなら 川村元気/著
先輩から1年近く前から借りていた本。スパルタスロンが終わったので読みました。先輩すいませんでした(笑)
あらすじのあらすじは以下のとおり。(本著からの引用)
「余命わずかとなった僕、その前に現れた悪魔、世界から何かを消す代わりに与えられた1日の命。あまりに不思議な日々だった。」
ひょうきんな悪魔との契約で自分の1日の命の代わりに消されるものは以下のとおり。
電話、映画、時計、猫、そして僕
最愛の猫は消せなくなって、自分を消すことになった主人公とひょうきんな悪魔とのやりとりは本小説の中でイチバン真面目で印象的なシーンだった。
(主人公)「僕はこれで良かったんでしょうか・・・」
(悪魔)「それをアタシに聞かないでくださいよ」
(主人公)「死ぬときに後悔したりするんでしょうか」
(悪魔)「きっとするんでしょうね。やっぱり生きたい!悪魔を呼び戻してくれ!とかね。人間というのはとかく、選んだ人生から選ばなかった方の人生を眺めて、羨ましがったり後悔したりしている生き物ですから」
(主人公)「その気持ち、分かります」
(悪魔)「ただあなたの場合は、ひとつだけいいことがあると思いますよ。それは、何も考えないでただ今の世界を生きている日常と、その世界を支えている無数の事柄や不思議な仕組みについて想像を及ばせたうえで生きている日常はきっと大きく違うからです」
(主人公)「でも、僕はもうすぐ死にます」
(悪魔)「そうかもしれない。でも、あなたは最後の最後で、大切な人や、かけがえのないものに気付き、この世界で生きていることの素晴らしさを知った。自分の生きている世界を一周まわってみて、あらためて見る世界は例え退屈な日常であったとしても、十二分に美しいということに気付いたんです。それだけでもアタシが来た意味はあったのかもしれません」
【ひと言】
日本が得意とするファンタジー小説。軽妙な文体と荒唐無稽なキャラクター設定と常識的な主人公の組み合わせに笑える展開ながら、内容は結構重いし、考えさせられる。
心の底から共感できる不思議な男の子向けの小説でした。
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