スパルタスロン完走記8(CP69-Finish:SPARTA)
2013年のスパルタスロンのCP全記録の完全版その8です。
<CP69-Finish:SPARTA(区間距離20.1km)>
最初は最後の上りがあって、その後はゴールのスパルタに向けて下る一方。
車からのブラボーの応援が力になります。最後はスパルタ市街の大声援の中を走ります。
CP69 13:43 226.7km地点(区間距離4.7km:上りのち下り)
ドライブインだと思っていたが実は民家の前に設置されたエイド(左側)。
第6関門、最後の関門だ。順位56位。水飲んで、チョコレート食べる。熱中症対策に塩をリクエストするが無かったので、ポテトチップスとクラッカーを食べろとのこと。二つをしっかり食べて、身体を濡らして進む。
計測マットは、エイドから50mほど離れた場所に設置されていた。
まだまだ上りが続く道をひたすら歩く。やがて平らに近い傾斜になってきた。
遥か前のランナーが走れば私も走る。
カーブの先に下ってまた上る雄大の風景が現れ、その道路上にランナーが点在しているのが見えた。
左側を走って下っていたが、エイドらしきものが遥か前方に見えた。右側に車が何台か停車しているのを見て、右側にエイドがあると判断し、右側に渡って進むと、前方のエイドの人が左に戻れと合図してきた。
左側に戻ると、カーブの先の左側の空き地にエイド出現。
CP70 14:23 231.4km地点(区間距離2.1km:下りのち上り)
道路脇の空き地に設置されたエイド(左側)。通過後振り返って撮った写真。
しばらく下りが続き、その後、上り返しが待っていたが、走り続けて前方の206番を追って進んでいるとすぐにエイドが出現した。
CP71 14:38 233.5km地点(区間距離3.1km:下り)
道路脇の木陰に設置されたエイド(左側)
緩やかな下りをゆっくりと走って進む。大きく左にカーブすると盆地が見えてきた。
盆地の中の丘の遥か先に霞んで見える街がスパルタのようだ。
とうとうスパルタが見えるところまで来た。しかもここからは得意の下りだ。脚は上がらないし、疲労困憊だが、下りなので走る。
地中海で写真を撮り合い、この手前の上りで軽く抜いていったM山さんが先ほどとは別人のように疲れていて、一声掛けて追い抜いた。その後、大きくUターンして民家が増えてきたところで、エイドに到着。
CP72 15:01 236.6km地点(区間距離4.7km:下り)
ホテル?前に設置されたエイド(左側)。
第18補給地点。物資A。日本人4位の334番Tさんにいったん追いつくが、粥を食べているうちに彼は先に出発する。
人家が少ない田園地帯の下りの道をそれなりに走るものの、時々出現する上りでは歩いたりしているうちに、上りに強い赤白組に再度抜かれた。
なんとなく彼らに付いて行く感じで下りも同じように歩いて進む。
歩きながら見渡すと、オリーブの林は、下草が生えておらず、実に不思議な景色だ。
そんなことを考えながら歩いているとゆっくりだが走ってきた外国人選手1名に抜かれた。赤白組もそのまま抜かしていった。
結構長く歩いてしまったが、ここまで来て、歩くのはスパルタスリートとして違う気がした。
ゆっくりだが走り始めるとそれに気づいた前方の赤白組も走り始め、直にエイドに着いた。
CP73 15:45 241.3km地点(区間距離3.1km:下りのち平坦)
民家前に設置されたエイド(左側)。
水を飲み、自分の持ってきた補給品には飽きていたのでチョコとか食べる。実質最後の補給だ。暑いが日の丸ウイニングランに備えてここから身体は濡らさずに出発。
下りを走って、すぐに赤白組を抜かし、スパルタ郊外の街に入る。下りも終わり平坦な道を一度は歩き始めるが、「走るためにここにいるのではないか!」と自問自答して満身創痍ながら走った。
長い直線で後ろを振り返ると赤白組も走っている。そうでなくちゃね!ブラボーの声援を受ければお互いに走るしかない。
「SPARTATHLETES WELCOME TO SPARTA」(スパルタスリートたち、ようこそスパルタへ)の看板をくぐった。力がみなぎる。
だいぶ街に近づいて、そのまま左側を走っていると、右側にいた警察官が右側に渡れと合図する。中央分離帯を越えて右側に渡ろうとすると車が後ろから来た。警察官は車を停止させ、私を右側の歩道に渡らせてくれた。
そして、珍しく水が流れる川を渡ったら、放し飼いの黒い犬が河原で吼えて、こちらに向かって来る。このままだと、橋を渡りきるところで接触してしまいそうだったので、一度後ろに戻る。
犬も少し戻ったので、睨みながら走り抜けると、犬は後ろのランナーに河原から吼えていた。そのすぐ先に大きな交差点の中洲みたいな場所にエイドがあった。
CP74 16:16 244.4km地点(区間距離2.4km)
交差点の分離帯に設置された最終エイド。第19補給地点。激励メッセージの書かれた日の丸と部下一同から貰った闘魂鉢巻に日本とギリシャの友好願ってのサンバイザーに付ける両国ミニ国旗を置いていた。
ゴールに向けて持っていくものと、スパルタに返送するもの(食べなかった食料等)をエイドに広げた。スパルタ返送袋に入れていると、スタッフのおばさんは、私がやっとくからと取り上げられた。
ゴールに向けての身支度として、鉢巻とミニ国旗をサンバイザーにセットし、日の丸はビニール袋に入ったまま、手に持ってて出発。
交差点を渡るとスパルタの市街に入ったようだった。
あちこちでブボオーの声。手を振って応える。
すぐに一人の男子中学生?が自転車で追走してきた。
そのうちパトカーが後ろに付いてきた。
ブラボーの大声援に疲れてはいるが自然と脚が動く。
やがて右に曲がり、街中を進む。前とは100mくらい離れている。後ろも来ていない感じ。2階や3階からもブラボーの声。手を振って応える。
大きな公差点では、パトカーが私の前に出てきて、交差点を封鎖する形で私を通してくれる。
そしてもう一度右に回ると、奥に行くほど人だかりが見える。この先が、ゴールだと確信した。
ここで日の丸をビニール袋から取り出した。両手で広げて、ウイニングランを開始した。
もはやブラボーと拍手は途切れることが無い。沿道はスパルタスリート(スパルタスロン走者)を讃える人達でいっぱいなのだ。
その声援が私にとってみなぎる力となって、走りがますます早くなる。おそらくリタイアしたのであろう日本人から日本語で「おめでとう!」の声も掛けられる。
ブラボーと拍手とカメラ放列の中を突き進む。自然とこちらも雄たけびしながら進んでいくと、目の前にレオニダス王像が見えてきた。
スタッフの誘導に導かれて数段の階段を駆け上り、人ごみを掻き分け、レオニダス王像の前に進む。
レオニダス王の顔を一度見上げて、足にタッチした。それがスパルタスロンのゴールの瞬間だ!
Goal 16:31:13 246.8km 55位(日本人5位)
<ゴール後>
ゴールをしたら私はすぐにレオニダス王像の台座に足を掛け、台座の上に登ろうとすると、スタッフの一人が足を滑らないように手で抑えてくれた。
難なくすくっと台座の上に立ち上がって、日の丸を背にして振り返ると満座の観衆から拍手と喝采を受ける。
両手を挙げて、それに応える。
そして、日の丸を自分の前に持ち直して、みんなからの激励メッセージを観衆に見せる。
あー、みんなとの約束を果たせたんだ。とうとうゴールしたんだ。夢としか思えなかったスパルタスロンの完走を成し遂げたんだ。そして今レオニダス王像に上っているんだ。
たぶん10数秒だろう。すぐに台座から降りると、頭にはオリーブで作られた冠を戴かせてもらった。そして、スパルタの女神(たぶん地元の女学生)から聖水の入った器を渡された。
それを一口飲むと、プレゼンターから楯を渡さ、 私のすぐ後に、完走した走者が近くにいたので、彼の完走を祝福し、お互いの健闘を讃えて、握手した。
その後、プレゼンターと彼とで一緒に記念撮影をした。
スタッフに導かれて、医療テントに向かった。
空いているベッドに連れて行かれ、さっとシートが敷かれた。そしてここに寝ろというので靴紐を解こうとすると、そのままベッドに寝ろと言う。
汚れた靴のままベッドに横たわると、若い女性(おそらく看護学生)が医療用の手袋で靴紐をほどき、靴を脱がせ、靴下を脱がせた。
腫れていた右足は腫れ方はだいぶ引いていたが、赤黒くなっていた。なにか指摘されるかと不安であったが、彼女は一生懸命に私の足を消毒して終わった。
女医さんなのか、看護婦長なのか、ベテランの女性が体調を聞いて来た。「Good」と応えると、飲み物が何がいいか聞いて来た。「水、ジュース、ビール」ということなので「Beer,Please」と頼んだ。
すぐにビールを持ってきてくれて、一人で祝杯を挙げた。
しばらく放って置かれていたが、ベテラン女性が体調を聞いてきたので、「問題ない」と答え、「ホテルに行きたい」とお願いすると、「ちょっと待ってて」とのこと。
またしばらく待っていると、タクシーで帰れることになった。靴と楯の入った大きなビニール袋を持って、タクシーに向かう。レオニダス王像前ではゴールするランナーが続いているのを見ながら乗り込む。
汗まみれで申し訳ないが、ドライバーは気にしていない模様。
裏道を通って、たぶん300mくらいでホテルに到着した。ロビーにいる日本人の祝福を受けて、チェックインした。荷物を受け取り、105号室を空けるとシングルルームだった。
ベランダはさっきゴールまで走り抜けた通りに面しており、ランナーの姿が見えた。
とにかくまずは歯磨きして、その後シャワーを浴びた。気持ちよかった。シャワーを終えると歓声が上がっていた。ベランダに出るとS浦さんがゴールに向けて日の丸を振りながら走っていた。T中さんが普通の服で走っていた。急いでカメラを取りに部屋に戻って写真を撮るがうまく撮れなかった。
アテネで同室で親切にいろいろと教えてくださったS浦さんが8回目の完走を見届けることができたので、安心して一眠りすることにした。8時にスマホのアラームをセットして寝た。
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