スパルタスロン完走記7(CP60第5関門-CP69第6関門)
2013年のスパルタスロンのCP全記録の完全版その7です。
<CP60-CP69(区間距離31.4km)>
最後の難関区間。長大な上りの後、延々と続くアップダウン。
徹夜明けに加え、高原で空気が薄い中での真正面からの日射は殺人的でした。
CP60 08:33 195.3km地点(区間距離3.3km:平坦)
TEGEAという街のエイド&第5関門。あまり歩いた記憶は無いが寒くて立ちションが続いたため順位は54位に落ちていた。(笑)
物資B+べスパ。寒さに震えながらブランケットを掛けてもらいながらリュックからウエストポーチを取り出し、リュックの物資をウエストポーチに詰め替えた。
リュックとさっき手持ちを飲んだばかりで不要となった補給物資のべスパを返送品として詰めようとするとボランティア精神溢れるスタッフの親父さん(たぶんエイドの責任者)にそれらを奪われて、番号285が書かれているのを確認したら、自分がしっかり縛る前に親父さんを手伝う子ども経由でスパルタ行きの大きな袋に入れられてしまった。
しっかり縛ってないけど大丈夫かなあと思いつつ、出発しようとウエストポーチを装着しようとした際に、腰のライトに気が付く。強力ヘッドライトも頭に付けたままなので急いで外すと、また親父さんが寄ってきて、「スパルタに送るものか?」と訊いて両ヘッドライトを奪われる。
「やっとく、やっとく、お前の番号分かっているから大丈夫だ、さっさと出発しろ!」と言うが、高価なヘッドライトをきちんとスパルタで受け取りたいので、見届けるためその場に留まる。やっぱり、子どもがなかなか私の返送バッグ(富士登山競走のビニール袋)を見つけられない。それでも親父さんは「大丈夫だ。行け!」と言う。
やっと子どもが自分のバッグを見つけたので、指差すが、子どもは違うと思ったのか戻そうとする。ゼッケンを指差しつつ「285」と叫ぶとやっと親父さんが子どもに指示し、子どもから親父さんに袋が渡り、ヘッドライトを入れて、スパルタ送りの大きな袋に入れたのを見届けてから出発した。
そんなに慌しくエイドを出発して、すぐに左折となったところで、写真撮り忘れていたのを思い出し、少し戻って振り返って一枚撮った。
もう一度左折で進んで、一路南下。CP60Aが設置される予定だった小さな集落を抜け、幹線道路に合流すると、前面に山が迫ってきた。あれが最後の上りかあと思っているとガソリンスタンドに設置されたエイドに到着。
CP61 08:59 198.6km地点(区間距離3.7km:上り)
ガソリンスタンド脇に設置されたエイド(左側)。
陽が当たり始めてだいぶ温まってきたので、水分補給とチョコレート補給する。ただし水冷はここではパスした。
交差点を越えるとすぐに上り坂。
それほどの傾斜で無いが連続で続くと聞いているので歩いて登る。
後続も歩いているのを確認しつつ、緩やかな上り坂ではこまめに走った。
ただでさえ苦手な上りに200km過ぎての疲労極限の状態ながら、少しずつ後続を引き離していった。
幹線道路に入り、日も上がった時間となり、行き交う車も多くなった。そしてその行き交う車の多くから声援が多くなる。
クラクションを鳴らす車、車の窓を開けて手を上げるドライバーや同乗者、「ブラボー!」と大きな声で声援を送ってくれる人。その全部をしてくれる人。
私は親指を立てて合図に応える。聞こえないだろうが「サンキュー」と応えた。声援に応えるべく、上がらない脚を前に出して進んだ。
日に照らされ、上りに変わったということもあり、暑さを感じ始めたので、途中でマイボトルの水を使って、身体を濡らす。
何度もアップダウンの蛇行を繰り返して、上りは歩き中心で進む。とりあえず上りきった感じの何も無い場所にエイド出現。
CP62 09:40 202.3km地点(区間距離4.1km:上り時々下り)
何も無い場所のエイド(左側)。写真は通過後撮影。
身体を濡らし水冷を開始する。後続ランナーがエイドに到着する前に出発する。
人家の無い高原道路をアップダウンと蛇行を繰り返しながら進む。後ろを何度も振り返り、後続と差を確認しながら進む。
自分も疲れているが後続も疲れているようで差は詰まっていない。いやむしろ離している感じだ。上りは歩きだが、下りもときどき出てきて走る時間が増えてきた感じ。峠のドライブインの駐車場のような場所に設置されたエイドに到着。
CP63 10:19 206.4km地点(区間距離3.5km:上り時々下り)
ドライブイン前に設置されたエイド(左側)。第16補給地点。物資Aとべスパ。後続が来る前にと給水し、粥を持ってすぐに出発した。100mほど進むと、給水を頼んだマイボトルを忘れていることに気が付き戻ることに。
エイドのスタッフが戻ってくる私に気が付いてくれたので、「ウォータボトル」と叫ぶすぐに理解してくれて、俺が持っていくからそこで待ってろとボディランゲージで指示される。本当に走って持ってきてくれた。
脚も痛く疲労度も強いのでありがたい。感謝の言葉を掛けるとそれは嬉しそうな顔をしてくれるのに勇気をもらって再出発。
気持ちを新たに走り出すが、今度は便意を催してきた。下痢止め効果が切れてきたようだ。大きなエイド(CP68)まで持たないかなあと思って走っていたが、どうにも苦しくなった。そこらでするかと考えながら走っていると右手にレストランが見えた。
思い切っててレストランに駆け込む。おばさんとその息子?さんの二人がテレビを見ていた。「ハロー」と挨拶し、トイレを拝借したい旨、英語で伝えると、「もちろん使ってくれ、右手奥だ」と貸してもらえることになった。
トイレで出し切って、すっきりして、出てきてお礼を言うと、「水を飲んで行け」というので、さっき飲んだばかりだがもらうことにして、カウンターに寄ると、ブランデーのボトルを掴んだおばちゃんが「これか?」と聞くので、「ノーノー」と慌てて応える。
「ジョークだ」と言って水道水をコップで一杯もらった。お礼を言って、外に出るとちょうど後続のランナーがレストラン前を通り過ぎていった。
(トイレ拝借後振り返ってレストランを撮った写真)
楽しい邂逅であったが、このトイレ拝借で後続ランナー3人に抜かれたようだ。そのうちの一人はかなりのペースですぐに見えなくなったが、私の直後をずっと付いてきて、今は前にいる赤と白シャツの二人とは離れずに付いていく。
すぐに300度くらいのカーブを上りながら回り、その後も蛇行してアップダウンの道を進むとエイドが出現した。
CP64 10:53 209.9km地点(区間距離2.4km:アップダウン)
教会前の空き地に設置されたエイド(左側)。
赤白2人組みに追いついたが先に出発された。たっぷり身体を濡らし、出発。
相変わらずアップダウンが続くも少しずつ下りが多くなってきた感じ。暑さは尋常でなくなってきた。下からモアっとするアスファルトの照り返しは昨日以上だと思う。
前のランナーとの微妙な距離感をむしろ後ろの私の方が保ちたくなってきている。前が走れば走るし、前が歩き始めれば抜かす前に歩き始める。抜かせるのに抜かさない。そうしている間にエイドに着いた。
CP65 11:15 212.3km地点(区間距離3.4km:アップダウン)
これまたドライブイン前の駐車場に設置されたエイド(左側)。
サポーターが自分がサポートするランナーを待っています。赤白組にも追いつきますがまた先に出発される。こちらはたっぷり身体を濡らし、出発。
ひたすら人家の無い高原地帯を進みます。前方に羊の群れが見えます。羊飼いが羊を休ませています。
羊飼いと目が合うと手を上げて鼓舞してくれました。その脇を走り抜けます。
蛇行はしているものの見通しが良い道が続きます。カーブの先の何も無い場所にエイド出現。
CP66 11:51 215.7km地点(区間距離4.5km:アップダウン)
空き地に設置されたエイド(左側)。
ここで赤白組より先に出発できたと思って、振り返って写真撮影。
蛇行はしているものの先の見通しが良い道が続きます。それが辛くもありますが、遠くに奇麗な三角の特徴的な山が見えました。
民家の無い道を進んでいると空き地に人だかりでエイドが出現。
CP67 12:37 220.2km地点(区間距離3.2km:アップダウン)
空き地に設置されたエイド(左側)。
若い日本人青年のBB君がイスで休んでいる。この暑いのにブランケットを掛けられ、震えながらもう無理だと言っていた。「あと少しだ、頑張れ!」と声を掛け先に進む。
周囲に民家の無い炎天下で乾いた高原道路を進み続ける。南下しており正面の太陽に向かって進む。暑いし、脚も上がらない。
右に大きくカーブした先の空き地に次のエイドがあった。
CP68 13:08 223.4km地点(区間距離3.3km:上り)
空き地に設置されたエイド(右側)。第17補給地点。物資B。
出発して振り返って写真。すぐに大きく左カーブしながら上っていく道をひたすら上る。
疲労と暑さで歩くほか無い。必死に上るが、上りに強い外国人ランナーに何人も抜かれる。日本人のM山さんにも抜かれた。上りを走って抜かれた。元気だ。
やがて両側が岩盤むき出しの切通しを進む。
炎天下の熱暑の中、どんだけ登るんだという感じ。「いじめだ!」と心の中で何度も呟いた。
道の先に空しか見えなくなった。頂点を期待させたが、傾斜が緩くなっただけで、まだ上っていた。
「ブラボー、ブラボー!」やクラクションや拍手などで声援を送る車はいよいよ増えて、肉体的にはともかく、気持ちはその声援のたびに前向きになれた。
上りが終わらないまま、エイドに到着した。
CP69 13:43 226.7km地点 通過順位56位
総区間距離31.4km 総区間タイム5:10
ドライブインだと思っていたが実は民家の前に設置されたエイド(左側)。
第6関門、最後の関門だ。順位56位。
« スパルタスロン完走記6(CP52第4関門-CP60第5関門) | トップページ | スパルタスロン完走記8(CP69-Finish:SPARTA) »
「SPARTATHLON」カテゴリの記事
- 【書評】山とマラソンの半生 杉浦和成/著(2022.03.16)
- スパルタスロン2018結果速報!(2018.09.29)
- スパルタスロンを日本から応援できるネット速報サイト(2018.09.27)
- あのサンガス山を越えることができたのだろうか?(2017.10.04)
- スパルタスロン リアルタイム結果速報(2016.09.30)
« スパルタスロン完走記6(CP52第4関門-CP60第5関門) | トップページ | スパルタスロン完走記8(CP69-Finish:SPARTA) »
コメント