橋下氏発言の波紋
日本維新の会の共同代表である橋下徹氏(現大阪市長)の発言が大きな波紋となっている。自治体の長として、好きではないが、歴史認識においては、実のところ共感できる部分があるのも事実だ。以下、記事を引用する。
橋下氏発言 女性は道具か 県内反発「男性にも侮辱的」
2013年5月14日(火)9時57分配信 琉球新報
日本維新の会の橋下徹共同代表(大阪市長)が、米海兵隊に風俗の活用を勧める旨の発言をしたことに対し、県内の女性団体などは13日、「女性は道具同然ではないか」などと怒りの声を上げた。太平洋戦争中の従軍慰安婦制度について「軍の規律を維持するため必要だった」との発言にも「もし家族が同じ立場に置かれた時に同じことが言えるのか」などと強く反発した。
沖縄女性史家として戦中の慰安婦の実態や戦後の米兵による性被害について調査している宮城晴美さんは「地方自治体を預かる長が女性の人権を無視する発言をするとは、その資質を疑う。人の痛みが分からずにどんな行政ができるのか」と強い怒りをにじませた。
また「これまでの歴史を見ても、軍隊の犠牲になるのは常に女性だ。もし母親や娘が同じ立場に置かれた時、同じことが言えるのか」と語気を強めた。
「こういった認識を公の場で平然と言えるのだろうか」。県女性団体連絡協議会の伊志嶺雅子会長はがくぜんとし、開いた口がふさがらない。「命を懸けて戦地に行くのだから、女性は我慢しろというのか。人権どころか、女性はもう道具同然ではないか」と憤った。
むぬかちゃー(ライター)の知念ウシさんは「男性にとっても侮辱的だ。男性の健康的な性の在り方をも抑圧して、戦争や基地が成立していることを、この発言は暴露している。橋下氏がこうした考えであれば、基地を引き取って大阪で実践するべきだ」と批判した。従軍慰安婦についての発言には「戦時の性暴力を肯定するならば、今後も日本は同じことを繰り返す。国際的感覚から言っても恥ずかしい」と語った。
<米軍問題関連の女性蔑視発言>
1995年11月 同年9月に起きた少女乱暴事件をめぐり、リチャード・マッキー米太平洋軍司令官(当時)が「全くばかげている。私が何度も言っているように、彼らは車を借りる金で女が買えた」と発言、更迭された
2001年7月3日 ジャーナリストの木村太郎さんがキャスターを務めるニュース番組で、北谷町で起きた女性暴行事件をめぐり「これからの交渉に日本側にとって幸いになるかもしれません」と発言。抗議の電話を受け、放送内で謝罪した
2011年11月28日 報道陣との非公式の懇談会の席で、米軍普天間飛行場代替施設建設の環境影響評価書提出時期に関する質問を受けた沖縄防衛局の田中聡局長(当時)が「これから犯す前に犯しますよと言いますか」と発言、更迭された
【ひと言】
女性にとって耐え難いことなのかもしれないが、橋下氏の発言は痛いところを付いている。
現代の風俗はまさに産業、正業として、女性の自由意思で成り立っている。(例えば、ママの仕事はデリヘル嬢なる本だって日本の図書館に置いてある。)
経済的に論じれば、女性は男性の欲求を社会的に制限を設けて、高値安定させているとも言える。まったくそんなつもりのない女性が多数だとしても、現にそうなっている。(倫理的に間違っているという主張は現代社会では正しいかもしれない。しかしながら、歴史的に見て、常にその評価で正しいかは、現代とは変転していることが多いのも事実である。)
私が思うに橋下氏は、自身の発言が慰安婦問題まで波及するのも計算のうちで、議論を巻き起こそうとしているように見える。議論とは歴史認識だ。現に橋下氏の弁明は、「日本人は歴史を勉強すべきだ!」とツイッターでつぶやいているそうだ。
確かに多くの日本人は歴史を勉強していないし、歴史を認識するということが根本的にわかっていない。歴史を認識するとは、現代社会の感覚のみで論じられるものではないのだ。
例えば、凶器である刀を携帯していた武士を野蛮だと糾弾するとか、多くの奴隷を所有していたアメリカ初代大統領ワシントンは、根っからの人種差別主義者なのだから銅像を建てて崇めたり、首都の名称にするなど論外であるとか、生前も死後も多くの人間を生き埋めにするなど大量に人を殺害した始皇帝はただの殺戮者であったとか、現代の感覚では、そう論じられるかもしれないが、変転した結果であり、それを意識しないで歴史を認識しているといえるのか?
言えないだろう。
当時の社会状況や価値基準がどうであったのか?歴史認識とはそれらに基づいて、論じられるべきであろう。(もはや日本はそんな社会でないのだから)
慰安婦問題であれば、その人たちは当時から貶(おとし)められるべき人であったのか?はたまた立派な正業ではなかったのか?強制的だった部分は親の借金とかによるものではなかったのか?世界的に異常な状況だったのか?
現代の感覚による主観的な嫌悪でなく、当時の社会状況で認識することができるのか?女性が重視する性的暴力の問題も女性の人権だけが陵辱されていたわけでなく、当時の社会では男性側にも多くの場合は、権力や身分の違いから、女性以上に屈辱的な差別や性的暴力もあったということも事実だ。
世界に問い、明らかすべきことが、現にあると思う。
1 旧日本軍の従軍慰安婦制度が他国と比較して糾弾されるほど酷い制度であったのか?(ベトナム戦争時まで世界的に存在し、その時に米軍も韓国軍(ベトナム戦争に参戦し、数万人の韓国人とベトナム人の戦争孤児(「ライダハン」)が置き去りにされているなど、利用していたし、もっと凄惨な状況が存在していたのではないか!)
2 これまでの日本の戦争に関する謝罪を踏まえ、現在の日本社会が今なお世界から糾弾されるような国家であるのか?(誤った認識がされているのではないか?)
補足:アメリカ(英語)で慰安婦(コンフォート・ウーマン)は本来の意味を逸脱するセックス・スレイブ(性奴隷)とされている。軍による強制によるならこの言葉を受け入れてもやむを得ないが、実際はそうでないのである。それを邪魔しているのが1993年の河野官房長官の談話である。国家として強制していなかったにもかかわらず韓国(最近は米国も)と宥和するために認めたかのような談話を出したからだ。つまりは嘘の自白をし、それが世界に日本が罪を認めた証拠となったのである。
補足2:ビルマで慰安婦をしていた「文玉珠」(朝鮮人)は、「文原玉珠」名義で野戦郵便局に貯金をしていました。
1965年の「日韓基本条約」締結後、韓国政府から文玉珠は自身の貯金を補償されなかったために、日本で訴訟を起こしました。
文玉珠の貯金を調べたところ、「軍事郵便貯金原簿」というものが熊本貯金事務センターに残っていました。
そして文玉珠は、慰安婦時代の約2年半の間に貯めた郵便貯金「2万6145円」(利息を含めると5万108円、それとは別に途中5000円を朝鮮に送金していた)を、平成4年(1992年)に日本の郵便局を訪れて返還要求をし、支払われました。
※ 当時の貨幣価値
・総理大臣月給 800円(東条英機)・陸軍大将月給 550円・大卒初任給 40円~100円・一般日本兵月給 15~25円
確かな証拠とはこういう事実であり、もし日本が強制的に慰安婦にしておきながら、これほどの対価をとがめなく貯金させていたとしたら、日本って、ただのバカですね。これはまさに、職業として慰安婦が存在し、公認で荒稼ぎしていた証拠であり、性奴隷などと呼ばれることを今日、他国から強制され、日本人がレイプ民族の末裔かのごとくに他国で扱われていることは日本の恥辱ではないのか?
歴史を語ればきりがないし、私自身、他国を貶めてまで、正当性を正すなんぞ、かっこ悪くてしたくはない。そうした日本人的な感覚・感情が、そこまで議論が深まる前に、きっと嫌悪感だけで思考停止するのではないか。そこで終わるのも、日本人らしい智恵なのかもしれないが、それでいいのだろうか・・・。
追記:橋下氏は上述の歴史を知っていて、決して自分からはしゃべらないで、それにマスコミが食いついてくるのか、試しているのではないか?
そうすれば国民や世界に大きな議論を巻き起こせるし、歴史の流れを変えると読んでいるのだろう。
撤回しない理由は、そうだとしか思えない。果たしてそうなるだろうか?
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