【書評】僕の死に方 エンディングダイアリー500日 金子哲雄/著
享年41歳、流通ジャーナリストの金子哲雄氏の遺稿である。好きなテレビ番組以外はあまり観ない私は、彼を知らなかった。
若くして不治の病、肺カルチノイドを発症し、流通ジャーナリストとして、その生を全うし、それが正に活字として具現化した著である。
結婚する際を回想したシーンに流通ジャーナリストの彼らしい含蓄のある文章があったので引用する。
「一緒に生活したら、ランニングコストが低そうだな」
と思っていた。月20万円はかからないだろう、という具体的な数字も頭に浮かんだ。
「ランニングコスト」というのは馬鹿にならない問題で、私の知り合いでランニングコストが高い女性と結婚した人はみんな不幸になっている。
どんな奥さんと結婚するかで人生は変わる。それは真理だと思う。
(中略)
3ヵ月後、「300万の年収で600万の暮らしを保証するから」とプロポーズらしきことを言い、翌年の3月から一緒に暮らし始めた。
私は良い奥さんをもらったということ言ってもらえた気がして、とても嬉しい。
いわゆる癌で、とてつもなく苦しい闘病の中、自分の死を自覚し、死の準備に最後の生きがいを見出し、そして見事なまでの周到な死後の段取りをし終えたことは感動的であった。
その人らしい生き方とは、こういうことなんだと思った。知らなかったが、惜しい人を亡くしたんだと思いました。合掌
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