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2013年4月10日 (水)

【映画】偽りなき者

【映画】偽りなき者
無実の罪を着せられた男の孤独な戦いを描くヒューマンドラマ。監督は、「光のほうへ」のトマス・ヴィンターベア。出演は、「007/カジノ・ロワイヤル」のマッツ・ミケルセン、「セレブレーション」のトマス・ボー・ラーセン。2012年カンヌ国際映画祭で主演男優賞、エキュメニカル審査員賞、ヴァルカン賞を受賞。

【ストーリー】
離婚と失業の試練を乗り越え、幼稚園の教師という職に就いたルーカス(マッツ・ミケルセン)は、ようやく穏やかな日常を取り戻した。しかしある日、親友テオ(トマス・ボー・ラーセン)の娘クララ(アニカ・ヴィタコプ)の作り話によって、ルーカスは変質者の烙印を押されてしまう。幼いクララの証言を、町の住人のみならず、親友だと思っていたテオまでもが信じて疑わなかった。無実を証明できる手立てのないルーカスの言葉に、耳を貸す者はいない。仕事も親友も信用も失ったルーカスは、小さな町ですっかり孤立してしまう。彼に向けられる憎悪と敵意はエスカレートし、一人息子のマルクス(ラセ・フォーゲルストラム)にまで危害が及ぶ。ルーカスは、無実の人間の誇りを失わないために、ひたすら耐え続ける生活を余儀なくされる。クリスマス・イブ、追い詰められたルーカスはある決意を胸に、町の住人たちが集う教会へ向かう……。

【作品情報】
原題 JAGTEN
製作年 2012年
製作国 デンマーク
配給 キノフィルムズ
上映時間 115分

【スタッフ】
監督 トマス・ヴィンターベア
脚本 トマス・ヴィンターベア 、 トビアス・リンホルム
製作 モーテン・カウフマン 、 シーセ・グラウム・ヨルゲンセン
撮影 シャルロッテ・ブルース・クリステンセ ン
編集 ヤヌス・ビレスコフ=ヤンセン
字幕 松浦美奈

【キャスト】
ルーカス マッツ・ミケルセン
テオ トマス・ボー・ラーセン
クララ アニカ・ビタコプ
マルクス ラセ・フォーゲルストラム
グレテ スーセ・ウォルド
ブルーン ラース・ランゼ

【ひと言】
 冤罪、無実の罪、社会的制裁、そんな言葉は知っていても、実感としてはまったく認知していないのが多くの人だろう。私もその一人だ。この映画は、デンマークという極めて民主的と思われる都市生活者の間において、無実の人が社会的制裁により、人間としての尊厳を根こそぎ奪われてしまう様を見事に映像化している。
 幼い子どもの何気ない嘘のみが唯一の証拠であるため、無実の者は、その無実を証明するすべがなく、故に犯罪者のレッテルを自らはがすことはできず、ひたすら差別の嵐の中で、一市民としての生活すら行うことができない。
 その社会的制裁という名のいじめ、暴力の壮絶さは、ぜひとも映画を見ていただきたい。私の言葉ではうまく語ることができないのです。
 しかも主人公の心情に感情移入しやすく、観ているこちらがいじめられているかと思うほどで辛いのである。
 それでも、社会全員が制裁に加わっているのではなく、彼の無実を信じる人たちもいて、心休まるのであるとともに、実際の自分自身に投影したとき、同じような目に合った私に対してここまで無実を信じてくれる人がいるだろうかと自問したとき、自信がなくなった。

 「偽りなき者」として、生きていくことが現代では難しい。そしてわれわれも偽りある者を自分自身で見抜けなくなっているということだろう。

 いずれにせよ、深く深く考えさせられる映画でした。真実の目を持てるように真摯に生きていこうと思った。

ネタばれ
 離婚し、失職し、息子との交流も断たれがちとなった主人公ルーカスは、親友の娘クララと仲良くなった。そして転職でクララの通う幼稚園の保父になったところ、ルーカスを好きになったクララが幼稚園で特別なプレゼントをあげたり、キスしたりしはじめ、それをルーカスはクララに優しく諭したところ、クララはそれに対して落ち込んでしまった。
落ち込んだクララに、幼稚園の園長先生(中年女性)が声をかけると、家で兄の友人がからかった言葉、「ピンとたったおちんちん」を見たと嘘をついてしまう。
 幼子の証言を慎重に精査した結果、嘘を言っているとは思えないという結論に達して、ルーカス本人からの弁明を聞くことなく、幼児への性的虐待として警察への通報、保護者への説明により、一気にルーカスは窮地に追い詰められてしまう。彼は町の人からは、白い目で見られ、買い物もできなくなってしまう。
 そんな彼の無実を信じるのが、別れた妻の元にいた長男のマルクスであり、狩猟仲間の一人でマルクスの名付け親の親友ブルーンもいたが、町に漂う社会的制裁の雰囲気に彼らも押しつぶされそうになる。
 警察に一度は逮捕されるも、幼稚園生の証言は、全てがルーカスの家の地下室で性的虐待を受けたとのことから、容疑不明で釈放される。
 しかしながら、釈放された彼を町の人は単に法をくぐる抜けたものとして、いっそう憎悪の対象として糾弾を強めるのだ。大切にしていた飼い犬を殺され、店の買い物も拒否され、暴力的にたたき出される。
 それに対し、無実の彼は逃げることなく、まっすぐに生きようとする。
 やがて、娘クララも自分の嘘でルーカスを取り巻く情勢の悪化を感じ、父母に嘘をついたことを告白する。娘の証言が嘘だったとわかった幼なじみで狩猟仲間でもある親友テオが、クリスマスの夜にルーカスの部屋に訪れ、男の友情が静かに復活した。
 長男マルクスに狩猟の許可が下り、融和した親友ら家族とパーティを行い、ルーカスとクララも再び元の関係に戻った。大団円の雰囲気の中で、ルーカスが森の中で猟をしているその時、ルーカスが誰かに狙撃された。弾は外れた(外した?)が、緊張感あふれる映画から、ハッピーエンドを予感させるエピソードで弛緩しはじめたそのときのすべてをぶち壊す銃声。ここで幕が降りた。実に厳しい終わり方だ。
 それでも、無実の人ルーカスは、かように厳しい正義の道をまっすぐに歩き続けてくれるだろう。そう思いたい。

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