【書評】頑張って生きよう!ご同輩 高齢社会NGO連携協議会/編集
サブタイトルは、「定年退職した男たち」
定年退職後に右往左往して今に落ち着いた大先輩(男性)の作文集である。
なので、完全ノンフィクションである。
定年退職後、突如、行き場がなくなり、妻にべったりくっ付いて行動するしかなくなって、妻にその扱いを面倒くさがれて、「濡れ落ち葉」と言われているとは聞いていたが、実際、当事者の弁を文章で読むとその実体、心情がよくわかった。
歳をとったときにどうなるか分からないが、今の私は、こんな本を読みつつも、私に関わる多くの人は本著を読んでいる私を見たら、「かずさんには(濡れ落ち葉になるなんて)無関係ですよ!」と言ってくれるだろう。
いまだに生きがいなく彷徨っている大先輩も居られるが、定年後の人生を謳歌している大先輩もおり、その方たちの言は、さすがな内容である。
その中でも、もっとも感銘を受けた大先輩の文章を引用します。
市民を中心とする活動は、とかく、比較的善意の同質のひとびとの信念と情熱で行われ、第三者の評価を受けることが少ないため、時の流れと環境変化に伴うリーダーの変質を見過ごすことが多い。また、多くの場合、自分たちがボランティアで社会活動をしているだけに、その物差しで他を評価しがちである。そこに、悪意の者に付け込まれる危険性があることについては、ほとんど無警戒である。(P124)
さまざまな高齢者と関わる中で、なるほどと頷くばかりの深言である。
心に深く刻み込もうと思った。
追記
忘年会に使われる忘年とは、一年を忘れるためという意味ではなくて、年齢の差を忘れて交流することだそうです。
歳を取るたびに忘年の友が増えるよう、そんな生き方をしたいですね。
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