マダニ感染症対策情報
日本各地に広く生息しているマダニから感染し、治療法が無く、致死率10%から30%という脅威の感染症の対策等について、引用によりまとめましたのでお知らせするものです。
重症熱性血小板減少症候群に関するQ&A
※厚生労働省HPから引用(2013.02.19時点)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002u1pm-att/2r9852000002u221.pdf
最近になってその存在が知られるようになった、ダニ媒介性の新しい感染症「重症熱性血小板減少症候群」の患者が、今般、日本国内において報告されました。このQ&Aでは、重症熱性血小板減少症候群について、海外での情報等を参考に、現在までに分かっていることについて解説します。
<一般向け>
問1 重症熱性血小板減少症候群(Severe fever with thrombocytopenia syndrome: SFTS)とはどのような病気ですか?
答 2011年に初めて特定された、新しいウイルス(SFTSウイルス)に感染することによって引き起こされる病気です。主な症状は発熱と消化器症状で、重症化し、死亡することもあります。
問2 重症熱性血小板減少症候群は、世界のどこで発生していますか?
答 中国では、2009年以降、7つの省(遼寧省、山東省、江蘇省、安徽省、河南省、河北省、浙江省)で症例が報告されています。また、米国ミズーリ州においては、SFTSウイルスに似たウイルスによる重症熱性血小板減少症候群様の症例が2例報告されています。
問3 日本で重症熱性血小板減少症候群は発生していますか?
答 これまで日本国内で重症熱性血小板減少症候群の報告はなく、2012年の本症例が初めての報告です。
問4 今回の日本の患者は海外で感染したのですか?
答 患者に最近の海外渡航歴はなかったため、日本国内でウイルスに感染したと考えられます。ただし、詳細な感染経路については分かっていません。
問5 SFTSウイルスにはどのようにして感染するのですか?
答 中国では、多くの場合、ウイルスを保有しているマダニに咬まれることにより感染しています。
問6 マダニは、屋内で普通に見られるダニとは違うのですか?
答 マダニと、食品等に発生するコナダニや衣類や寝具に発生するヒョウヒダニなど、家庭内に生息するダニとでは種類が異なります。マダニ類は、固い外皮に覆われた比較的大型(吸血前で3〜4mm)のダニで、主に森林や草地等の屋外に生息しており、市街地周辺でも見られます。広くアジアやオセアニアに分布しますが、日本でも全国的に分布しています。
問7 どのようなマダニがSFTSウイルスを保有しているのですか?
答 中国では、フタトゲチマダニやオウシマダニといったマダニ類からウイルスが見つかっています。これらのマダニが活動的になる春から秋に、患者が発生しています。
問8 マダニに咬まれたことにより感染する病気は他にありますか?
答 日本紅斑熱、ライム病など多くの感染症がマダニによって媒介されることが知られています。また、マダニではありませんが、ダニの一種であるツツガムシによって媒介される、つつが虫病などもあります。上記疾患の日本国内での年間報告数はそれぞれ180件、10件、400件程度です。
問9 この病気にかからないために、どうように予防すればよいですか?
答 マダニに咬まれないようにすることが重要です。特にマダニの活動が盛んな春から秋にかけては注意しましょう。これは、重症熱性血小板減少症候群だけではなく、国内で毎年多くの報告例がある、つつが虫病や日本紅斑熱など、ダニが媒介する他の疾患の予防のためにも有効です。草むらや藪など、マダニが多く生息する場所に入る場合には、長袖、長ズボン、足を完全に覆う靴を着用し、肌の露出を少なくすることが大事です。また、屋外活動後はマダニに刺されていないか確認して下さい。現在のところSFTSウイルスに対して有効なワクチンはありません。
問10 国内で患者が報告された地域は特に感染の危険が高いのですか?
答 SFTSウイルスを媒介すると考えられるマダニ類は全国に分布するので、今回患者が報告された地域が他の地域に比べて特に危険だということではありません。全国どこにおいても発生し得る感染症と考えられます。
問11 マダニに咬まれたら、どうすればよいですか?
答 マダニ類の多くは、ヒトや動物に取り付くと、皮膚にしっかりと口器を突き刺し、長時間(数日から、長いもので10日間)吸血します。無理に引き抜こうとするとマダニの一部が皮膚内に残ってしまうことがあるので、吸血中のダマニに気が付いた際は、できるだけ病院で処置してもらってください。また、マダニに咬まれた後に、発熱等の症状が認められた場合は、病院を受診して下さい。
問12 ヒト以外の動物もマダニに咬まれて重症熱性血小板減少症候群にかかるのですか?
答 一般に、マダニ類は野外でヒトを含む多くの種類の動物を吸血することが知られています。中国の重症熱性血小板減少症候群の流行地域では、SFTSウイルスに感染している動物もいることが分かっています。ただし、動物が発病するかどうかは確認されていません。
問13 SFTSウイルスは以前から日本にいたのですか?
答 ウイルス自体は以前から国内に存在していたと考えられます。今回、初めて患者が診断されましたが、今後、厚生労働省は、更なる調査研究を進め、実態解明に努めます。
<医療従事者等の専門家向け>
問1 SFTSウイルスはどのようなウイルスですか?
答 SFTSウイルスは、ブニヤウイルス科フレボウイルス属に属する、三分節1本鎖RNAを有するウイルスです。ブニヤウイルス科のウイルスは酸や熱に弱く、一般的な消毒剤(消毒用アルコールなど)や台所用洗剤、紫外線照射等で急速に失活します。
問2 日本で見つかったSFTSウイルスは、中国や米国で見つかっているものと同一のウイルスですか?
答 日本で見つかったSFTSウイルスは、中国のSFTSウイルスとほぼ同じです。米国で見つかったウイルスは、SFTSウイルスに近縁のウイルスです。
問3 潜伏期間はどのくらいですか?
答 (マダニに咬まれてから)6日〜2週間程度です。
問4 重症熱性血小板減少症候群にかかると、どのような症状が出ますか?
答 原因不明の発熱、消化器症状(食欲低下、嘔気、嘔吐、下痢、腹痛)が中心です。時に頭痛、筋肉痛、神経症状(意識障害、けいれん、昏睡)、リンパ節腫脹、呼吸器症状(咳など)、出血症状(紫斑、下血)を起こします。
問5 検査所見の特徴はどのようなものですか?
答 血小板減少(10万/mm3未満)、白血球減少、血清電解質異常(低Na血症、低Ca血症)、血清酵素異常(AST、ALT、LDH、CK上昇)、尿検査異常(タンパク尿、血尿)などが見られます。
問6 どのようにして診断すればよいですか?
答 マダニによる咬傷後の原因不明の発熱、消化器症状、血小板減少、白血球減少、AST・ALT・LDHの上昇を認めた場合、本疾患を疑うことが大事です。確定診断には、ウイルス学的検査が必要となります。なお、患者がマダニに咬まれたことに気がついていなかったり、刺し口が見つからなかったりする場合も多くあります。
問7 確定診断のための検査はどこでできますか?
答 保健所や地方衛生研究所を通じて国立感染症研究所ウイルス第一部に検査を依頼することができます。
問8 治療方法はありますか?
答 有効な抗ウイルス薬等の特異的な治療法はなく、対症療法が主体になります。中国では、リバビリンが使用されていますが、効果は確認されていません。
問9 患者を取り扱う上での注意点は何ですか?
答 中国では、患者血液との直接接触が原因と考えられるヒト−ヒト感染の事例も報告されていますので、接触予防策の遵守が重要です。飛沫感染や空気感染の報告はありませんので、飛沫予防策や空気予防策は必要ないと考えられています。
問10 患者検体(サンプル)を取り扱う場合の注意点は何ですか?
答 患者の血液や体液にはウイルスが存在する可能性があるため、標準予防策を遵守することが重要です。
問11 重症熱性血小板減少症候群が疑われる患者がいた場合、どう対応したらよいですか?
答 最寄りの保健所に連絡をお願いします。
問12 検査方法等、技術的な内容の相談窓口を教えてください。
答 国立感染症研究所info@niid.go.jpにお問い合わせください。
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