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2012年12月23日 (日)

【書評】日本思想史新論 中野剛志/著

Shisou
伊藤仁斎、荻生徂徠、会沢正志斎そして福沢諭吉。この四人の思想家を直列させたとき、我々は戦後日本を支配してきた開国物語の呪縛から解放され、実学という日本の伝統的なプラグマティズムを回復し、そして日本のナショナリズムを健全な姿で取り戻すことができるのである。(巻頭帯より引用)※プラグマティズムとは机上の空論ではない「実用主義」的なもの

著者は歴史や思想の研究者でなく、経済ナショナリズムを専攻する若手の学者である。専門外ともいえる内容を、従来の思想研究者ではたどり着けなかった大胆な仮説を実証している。それはあたかも構造主義的な解析の結果ともいえる内容と思えるのであるが、いかんせん、歴史好きとはいえ、思想史には疎く、何より本著が軸とした水戸藩士会沢正志斎については、名前すら知らなかったというお粗末さである。なので、書評にはなりえないのであるが、

ジャック・シュナイダーは、各国の民主化・自由化の過程と攻撃的なナショナリズムとの関係について、歴史的・実証的な比較研究を行い、急激な民主化と自由化は、人気主義的なナショナリズムを引き起こし、それは過激な排外主義と化して、他国との戦争や国内の民族紛争をもたらすことを明らかにした。
例としては、フランス革命後のナポレオン戦争、当時最も民主的と言われたドイツワイマール憲法下でのナチス独裁、近年ではアフリカのルワンダ及びブルンジでの自由化後の民族紛争。

これまで、まったく思想的に違うと思われてきた先の四人を貫いているは、「実学」という日本のプラグマティズムの精神である。この四人の思想家が、時代を越えて共有しているのは、日常経験の豊かさであり、実践力の強さであり、直観の確かさである。彼らの議論の違いは、それこそ、彼らが生まれ合わせた「時」と「処」と「位」の違いによるものに過ぎないと著者は断じている。

構造主義的な分析をしているという点だけは判ったが、歴史的な関係性がそもそもわからない私にとっては、評価すらできない。ちょっと勉強しないといけないと思いつつ、それにしても本著の論理展開にはかなり無理があるのではないか?と直感的には思った。

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