【書評】あらゆる小説は模倣である。 清水良典/著
実は私、おこまがしくも、いつかは小説を書きたい!いつかは本を出したい!と思っているのである。
その指南本のようなので、借りた次第である。
本著は、小説に完全なるオリジナリティは存在しない。模倣と模倣の融合であるというのが主旨で展開されている。才能はないが技術の習得は人並み以上と思っている私にとっては心強い限りの内容である。
巻末に本著の要旨が端的に書かれている。
「あらゆる小説は多かれ少なかれ、他の小説を手本にし、影響を受け、技を盗み、足跡を追いかけることによって書かれている。夏目漱石も谷崎潤一郎も村上春樹も例外ではない。オリジナリティと模倣についてどう考えればいいのか。硬軟かかわらず膨大な現代小説を精緻に読みこなすことで圧倒的に支持される文芸評論家が、まるでDJがさまざまな音楽をリミックスするように、自由自在に過去の名著を模倣し、盗むことによって小説を完成させる技法をはじめて明らかにした!」
以下、印象的なサブタイトル及び文章を抜き出す
・文体はウィルスだ
・堂々と盗む
・「世界に一つだけの花」とはマイノリティの叫び
・あらゆるストーリーは人類の想像力の構造の枠内にある
・小説が基礎的な文化になってしまった社会では、現実の捉え方そのものが、すでに小説化してしまうのである。
・純粋無難な100パーセントのオリジナリティを誇れる小説など、この世にありえないのだ。
・(小説の題材を)密猟するべき最終的な猟場は、(バーチャル・ネットワークの世界ではなく)書物の森の奥にある。そこに分け入って、どんどん盗んでほしいのだ。
・模倣とは、自分の想像の可能性を無限大にする力に他ならない。本書との出会いをきっかけに、あなたにその力が宿ることを願っている。
では、最後に本著のタイトルどおりさっそく模倣させてもらいます。
「あらゆる人生は模倣である。」
(オリジナリティあふれる人生のようでも、先人が歩んだ道や小説の世界をなぞっているに過ぎない。そうした模倣の積み重ねを悲しむ必要もなく、それこそが豊かで充実した人生への近道なのだ!)
小説書けるかなあ・・・。いや、百名山を制覇して、アコンカグアに登頂して、ランニングにも飽きたら、絶対に書く。(笑)
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