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2012年10月19日 (金)

【書評】ジャパン・アズ・ナンバーワン エズラ・F・ヴォーゲル/著 広中和歌子・木本敦子/訳

Japan
 30年以上前に世界的なベストセラーになったアメリカ人による日本社会制度の優位性を冷静かつ緻密に分析した本である。
 今さらながらの読書なのであるが、今なお色褪せない、名著である。

 本著の目的は、副題の「アメリカへの教訓」からして明白である。当時、日本の経済的な成功にアメリカが危機感を持っている中、日本の成功の要因を親日家であり、日本に長期滞在したアメリカの社会学者によって書かれたものであるが、アメリカへの提言となっているものである。

 さて、この本の素晴らしいところは、日本のずるい部分や悪い部分といったネガティブな情報に拘ることなく、経済成長を支える日本固有の仕組みを冷静に解析している点である。

 現在、日本は中国や韓国と領土主権の問題が顕在化し、経済的な摩擦にも繋がっている。領土問題の顕在化は、中国や韓国の経済成長とあいまっての日本の経済力の相対的な低下が起因していることは周知の事実であろう。

 日本でのかの国に対する報道は、薄っぺらく表面的な報道内容となっている気がしてならない。中国の反日デモは、その過激な暴動部分や、韓国においては、竹島関連の強硬姿勢に偏っている。

 中国や韓国とは現在どういう国になっているのか?実際に経済成長できたのは、人件費が安いという理由以外にもどのような要因があったのか?それについて、明晰な分析ができていないと思わざるを得ない。今なお日本は、福祉や環境の分野について、西洋の先進国を見習うと同じように、現在の日本は中国や韓国の経済成長について、見倣うべきではないのか?

 本著は最後に将来の日本のネガティブな状況について「成功後、日本のモデルは生き残りうるか」として、以下のようにまとめている。
・豊富な低賃金労働力を抱えた韓国や台湾などが次第に世界の市場で安い製品を売るようになり、かつての日本と同じように有利な立場に立つであろう。
・高齢者が増えて、労働人口の減少と社会福祉のコスト増加に直面することになり、法人税の負担が増え、経済成長が低下し、悪循環を招いてくる。
・経済が低成長期に入ると、政治の指導者にとっても意思決定が難しくなってくる。高度成長時代と異なり、ある集団を満足させるためには他の集団の犠牲や忍耐を強いらざるを得ないという現状の中で、すべての手段に満足を与えることは不可能である。

 また日本特有のネガティブな状況としては以下のようなものがあげられている。
・日本の伝統では、集団内での異端者は周囲から冷眼視され、孤立させられ、笑いものにされたり、村八分にされる場合もあった。日本の小中学校では、教育課程がすべて一律で、子供の独創性を伸ばす柔軟性がほとんど認められない。
・日本人は、自分たちが認める人には公正な取り扱いをするが、日本に住む朝鮮人、中国人、西洋人には、日本時と同じ扱いをしない傾向が強い。
・日本では転職や離婚への障害が多い。特に再就職や再婚への道が厳しい。
・日本の新聞では、ある問題について日本が外国と論点を異にする場合、外国の見方を十分に説明する記事は少ない。
・集団内の問題を完全なコンセンサスで解決使用しすぎるため、こう着状態に陥り、解決に時間がかかりすぎる。

 今なお当てはまる事項ばかりであり、本著の明察ぶりに感嘆するとともに、これらについては素直に反省し、変えなけらばならないことばかりである。

 最後に余計なお世話であるが、恐らく、今のアメリカでは、中国に対するこうした分析が盛んになっているのでしょうね。

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