【書評】孤族の国 ひとりがつながる時代に 朝日新聞「孤族の国」取材班
まえがきにこう書いてある。
「社会のかたちが変わっている。恐るべき勢いで。家族というとき、思い浮かべるのは、どんな姿だろう。父親、母親に子ども二人の「標準世帯」だろうか、それとも夫婦だけの世帯だろうか。今、それらを上回っているのが、たった一人の世帯だ。「普通の家族」という表現が、成り立たない時代を私たちは生きている」
社会が豊かとなり、便利となり、一人で生きて行けるようになって、それを享受している人が多いということなのだろうが、つまずいた時、老いたり、病気になったり、障害を持ったりすると、とたんに一人では生活ができなくなる。それを称して「孤族」と言っている。それは朝日新聞の見事なネーミングだ。セーフティネットが機能しなくなったといわれるが、介護保険など社会のシステムはまだまだ頼もしい支えではある。それでも、やはり人は一人では生きていけないのだということだと思う。
そうした孤族的な生き方を自ら選択した人が、最終的な自分自身の結果に対し、不安を持って、それが社会不安を誘うのは、なんだか、きちんと考えて生きている人にとっては、(考えてみれば)少し迷惑な話なのであるが、弱者救済、権力打破を社是とする朝日新聞にとっては、誰か(国?行政?)が悪いということなのであろう。
そして、本著では、ひとりでも社会と多層的に繋がる社会の到来こそが解決するものだとしている。
それは確かにひとつの答えかもしれないが、家族主義に立ち戻るというのも、私は大いなる解決策ではないかと思う。
つまり、孤族的な生き方ができる世の中となったとしても、そんな生き方が、最後の帳尻でマイナスになるかもしれない、つまりは不幸せの元凶となるかもしれない可能性はいずれにせよゼロに出来なのであるから、それを思えば、人はそれなりに考えるものであるからして、多少の努力をしてでも今とは違う方向に流れていく、つまりは家族主義的なもの、に回帰して行くのではないかと思うのは、少し楽観過ぎるのだろうか。
それすら出来ないのであれば、それは仕方がないのではないか、と思うこの頃でもある。
かくいう我が家の若人も、なんも考えずに、ゲームやテレビに時間を潰している。
十分な孤族予備軍である。絶対父権家族主義は新たな孤族を生んでしまうのだろうか。
どうしたものだろうね。(笑)
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