【書評】100歳の流儀 新藤兼人/著
先ごろ100歳で亡くなられた映画監督の新藤兼人さんの随想録である。
(つまり本著が発刊されてまもなく亡くなられたということだ)
映画通を評している私ですが、新藤監督作品は、ほとんど見ていない。
本著を読んでいて一つも観ている作品が出てこなくて、まさか一つも観ていないのではないかと恐怖したら、最近のもののいくつかはちゃんと観ていて、安堵した。
映画監督というより脚本家というべき著者の認める文章は、その経験、人間観察、壮絶な生き様から、鬼気迫る至言の言霊となっている。
まえがきの結びは、きわめて印象的だ。
「この本から、なにがしかの影響をうけてくださる方がいらしたなら本望である。
みなさん、さようなら。」
さすが100歳まで懸命に駆け抜けてきた著者ならではの一言である。
100歳になってもこれだけことを考え、これだけの内容のものが書ける。
すべては、たゆまぬ努力があってのものだとは思うが、そんなことを深く考えずに、いろんな意味で希望の持てる書である。
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