【書評】モノゴトを明快にする論理力 シンプルに考えを整理する 樋口裕一/著
本著を理解するには、すでに相当な論理力が身についていなければならない。
禅問答のような話であるがそうとしか思えない。
今までのように本を読んだり、いろいろな経験をして、自らの好奇心を満たしていく生き方を続けていくしかないようだ。そうすれば、論理力が身につくようだ。ありがたい。
以下、気に入った箇所を引用します。
子どもは屁理屈を言いながら、論理力を鍛えてゆくわけだ。親に説得されると、自分の屁理屈がまさしく屁理屈だったと知る。そして、次からもっと説得力のある論理を用意するようになるだろう。こうして、少しずつ論理力を身につけてゆく。素直だった子よりも、屁理屈ばかり言っていた子のほうが、大人になってみるとずっと論理性をつけているものだ。
北朝鮮の拉致家族の問題についても、テレビ報道では、家族が離れ離れになっているのがかわいそうだといった視点の捉え方が多い。人権を無視するような独裁国家が日本のすぐ近くにあって、何をするかわからない。それに対してどうすべきかという国家の問題として捉える視点が弱いのだ。
日本人は自分の意見、主張は、はじめからきちんとした論理づけがなくてはならないと考えがちだ。しかし、まず直感で、これが正しい、これがよいと思ったら、その意見を言ってしまうことが大切なのだ。そう言ってしまってから、なぜ正しいと思ったのか、よいと思ったのかを後づけで理屈づければよい。そういう訓練から論理力がついてくる。はじめから論理的に考えようと思ったら、かえってわけがわからなくなりがちだ。
自分を知らない人ほど、自分はできるとか、自分は偉いと思いがちなものだ。(中略)
つねに自分の考え、自分の存在を相対化してみるという客観性は必要なのだ。(中略)
しかし、ものを知らないと、自分が知らないということさえわからない。ものごとを知らない人ほど、自分がいかに知らないかがわからない。(中略)
自分を相対化する視点というのは、そういう意味では、自分がいかに知らないかをわからないと出てこない。
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