UTMF関門時間
ウルトラトレイル・マウントフジは156kmの長丁場、なので7箇所も関門時刻が設定されています。
始 0km 15:00 河口湖大池公園
A1 18km 18:00 富士吉田市工業団地
A2 31km 21:00 二十曲峠
A3 37km 23:00 山中湖きらら
A4 53km 02:00 すばしり(12時間以内)
A5 61km 04:00 富士山御殿場口太郎坊(14時間以内)
A6 67km 05:00 水ヶ塚公園(16時間以内)
A7 76km 07:00 富士山こどもの国(20時間以内)
W1 91km 09:00 北山
A8 102km 11:00 西富士中学校(30時間以内)
A9 129km 18:00 本栖湖スポーツセンター(41時間以内)
W2 142km 20:00 鳴沢氷穴(44時間以内)
終 156km 22:00 河口湖大池公園(48時間以内)
凡例 A:エイド W:給水所 時間は目標タイムです。
関門時間は、前半A6水ヶ塚公園までは、かなり厳しい設定ですね。歩く暇も寝る暇も無さそうです。
コース設定で最も厳しいのは、A8からA9の27km、標高1500m以上の稜線となる天子山地(UTMF最高地点1946m)が非常に厳しい部分ですね。1400m登って、1000m下る。(稜線上なので累積標高差はその倍以上と見込まれます。)その27kmの間にエイドは無く、ここを夜間に通過するとなると、道迷い、転倒、滑落、低体温症など、生命の危機すらありそうな部分です。天候、気温によっては、リタイア続出、大会中止すらありそうな地点です。
その天子山地の後半部分です。真ん中の鞍部が120km地点の地蔵峠付近。左の山頂部付近がUTMF最高地点となる毛無山の山頂(1946m)です。
生命維持に必要な防寒着一式を予備としてザックに入れることにしましょう。
以下、天子山地について書かれた公式ブログの記事を転載します。
Shin Murakoshi
鍵は天子に・・・
May 2, 2012 18:17 PM
発表されたコース図をごらんになった方はもう気づいているだろうが、UTMFの最大の山場は後半の天子山塊にある。富士山を作った原因であるフィリピンプレートの沈み込みによって富士山周囲の山は日本列島側に押しつけられる形で急峻な地形となっている。天子山塊もその一つだ。登ってみれば分かるが、稜線は比較的平坦(といっても最大700mのアップはある)なのに、両側は切り立っており、山稜線のトレイルに崩壊地が迫っている場所も少なくない。
加えて、天子-長者や毛無、竜ヶ岳の一部を除くと、登山者も少ない。トレイルがあると言っても、踏み跡に過ぎない場所も随所にある。しかも、STYも含めたかなりのランナーが夜間にこの区間を通過する。UTMFに出るランナーはおそらく夜間走行の経験もあるだろう。しかしハセツネや信越五山のトレイルとは異質のリスクに対する感覚と安全への配慮が求められる。それが天子山塊だ。
以下は、私見による天子山塊のリスクとその対処方法だ。
①はっきりしないトレイル部分があること。
もちろんコースは誘導テープや誘導灯を設置している。しかし、夜間には自分自身でルートを外れない配慮をすることも安全上必要だ。ルートは基本的に概ね北に向く尾根線を通る。踏み跡が薄い場所で尾根から外れたり、北から大きく方向をはずれたら、コースアウトを疑ってその後の誘導や誘導灯の有無に十分注意してほしい。特に広がった稜線部や山頂付近が要注意だ。
②崩壊地がトレイルに迫っていること
昼間なら眺めの楽しめる崩壊地も、夜間は重大なリスクである。本当に危険な箇所はロープも張ってあるが、トレイルの左右に十分留意してほしい。100kmすぎれば意識がもうろうとすることもあるだろう。そんな時は無理に動いたり、スピードアップすることは避ける。
③転倒
下り坂に転倒のリスクがあることはランナーなら誰でも承知しているだろ。だが、そこが岩場だったら・・・。「転んだ」では済まないこともある。特に熊森山からの下りの後半は岩がちな急斜面。不用意に枝に頼るのも危険。十分自重して走ってほしいところ。
④水分や補給食
西富士エイドから約25km強の区間、全て山だ。トップでもおそらく4時間半はかかると考えられている。最後尾はその倍以上かかるかもしれない。必須で携帯すべき水分は1Lだが、時間と累積標高を十分考え、十分な水を西富士で給水するとともに、それに耐えうる装備でスタートしてほしい。また時にはビバークにも耐えられる十分な補給食と決められた装備(たとえばサバイバルブランケット)とそれを使う場面を想定内として行動してほしい。
⑤自己の限界の見極め
100マイルは大いなる挑戦だが、それと同時に自然の中の活動では自己の安全を確保するための潔さも必要だ。実行委員会もスタッフを要所に配置しもしもの場合に備えているが、参加者自身も大会を成功に導く主役として、自分の力の限界を正確に見極めて行動することは最重要事項だ(この点は大会理念にも指摘)。
かなり具体的な課題を指摘したが、ぜひご自身の目で現地、それができないなら地図(地形図)を観てほしい。そしてどこにどのようなリスクがあるのかをまずは自分でイメージしていただきたい。主催者も事故を防ぐ最大限の努力をするが、現場で事故を防ぐのは最終的には自分の判断だ。UTMF/STYはその力も求められている。
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