【書評】ふしぎなふしぎな子どもの物語 ひこ・田中/著
副題「なぜ成長を描かなくなったのか?」
著者は児童文学作家であり、昨今の児童文学からあらゆるジャンルの「子どもの物語」を串刺しにして読み解く試みの著作である。
テレビゲームのドラクエとFFほか、テレビヒーローのウルトラマンと仮面ライダーほか、アニメ(男の子編)のアトム、起動戦士ガンダム、エヴァンゲリオンほか、アニメ(女の子編)の魔法使いサリーからセーラームーン、プリキュアまで、世界名作劇場、マンガ、児童文学と戦後のあらゆる子どもの物語を著者は網羅(つまり体感)され、そこから導き出した一縷の真実と傾向。大したものです。
子どもは成長してみんな大人になるって本当か?それ以外の選択肢もあるのではないか?
最後のこの問いまで、たどり着いたことは、大したものです。
が、そこで止まっている。たんに売るための本かと疑いました。
確かに洞察は深いのですが、対象が狭くて偏りすぎています。児童文学者なので、仕方ないのでしょうか?
そもそも、大人も子どもも人間なんです。人間は生物なんです。生物である人類の歴史をたどれば、答えは明確です。
子どもから成長して大人になったものしか、今ここに子孫を残せなかった。
ところが文明が発達し、社会システムが充実し、子どものままでも生きながらえる現代社会ができた。それを多様性ともいうようですが、そうした世の中になったから、大人にならなくても良くなり、併せてそういう話(子どもが成長しない物語)が遅れて発生してきたと考えるべきではないでしょうか?
それでも、私にはあまりなじみの無いテレビゲームの考察は一考でした。
ドラクエは2作目途中で断念、FF(ファイナルファンタジー)はやったことが無いのですから・・・。
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