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2012年1月19日 (木)

「共喰(ぐ)い」で第146回芥川賞に選ばれた田中慎弥さんが面白い。

「共喰(ぐ)い」で第146回芥川賞に選ばれた田中慎弥さんが面白い。
田中慎弥さん(左)と円城塔さん

 第146回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が17日、東京・築地の料亭「新喜楽」で開かれ、芥川賞に円城塔(えんじょう・とう)さん(39)の「道化師の蝶(ちょう)」(群像7月号)と、田中慎弥(たなか・しんや)さん(39)の「共喰(ぐ)い」(すばる10月号)が選ばれましたね。同日夜の受賞会見で、5回目の候補作での受賞となった田中さんは終始、不機嫌でぶっきらぼうな態度をとりながら、「もらって当然」と受賞の気持ちを表現していましたね。(動画でその様子は確認しました。)。受賞会見での一問一答を掲載します。

――まず田中さんに今のお気持ちから一言、語って頂きます。お願いいたします。

 えーと、確かシャーリー・マクレーンだったと思いますが、アカデミー賞の何度も候補になって最後にもらったときに「私がもらって当然だと思う」って言ったそうですが、まあだいたいそういう感じ。4回も落とされた後ですから、ここらで断ってやるのが礼儀と言えば礼儀だと思いましたが、私は礼儀を知らないので。もし断ったって聞いて気の小さい選考委員が倒れたりなんかしたら、都政が混乱しますので、都知事閣下と東京都民各位のために、もらっといてやる。とっとと(会見を)終わりましょう。

――今回受賞された方はみなさん東京ではない方が多いと思うんですけれど。

 そのことに関しては感想はありません。

――他の受賞作については。

 ちょっと読んでないのでわかりません。

――5回のノミネートについて「僕は甘やかされている」と表現を使われました。しかし今回、選考委員の方は「圧倒的にこれまでの作品の中で良い」と講評されていました。今回この「共喰い」という作品で受賞されたことについては。

 1回目で受賞するのがそりゃあ一番いいんで。5回目っていうのは間抜けです。(会見を)やめましょうよ、もう。

――田中さんは20歳の頃からずっと小説を書いてきて…

 それは昨日喋ったと思うんですけど。

――今日も(小説を)書かれたんですか?

 はい。

――ニコニコ動画と言います。田中さんは今までに一度も働いたことがないというのが話題にもなっていると思うんですけど、ネットの方では「働いたら負け」という言葉もあるんですが、例えば仕事が見つからない若者やニートの方々に何か一言頂ければ。

 人によって状況が違うので私が言えることっていうのはありません。ただ私は本を読んで小説を書いて、作家になったというだけです。

――田中さんは携帯をお持ちでなかったと思うのですが、今日はどちらでどのようにして連絡を。

 都内の飲み屋で待っていて、なんかプリペイド式の携帯みたいなのを編集者が持っててそれで、です。

――受賞したという連絡はどなたかにされましたか?

 あ、母です。

――お母様はどのように。

 よかったね、おめでとう、というだけです。

――決まったという連絡が文学振興会からあったときにはどのようにお返事されたのですか?

 いや、頂戴しますというだけです。

――とったことで、気持ちの変化やこれからこういうものを書いていこうという意欲はありますか?

 気持ちの変化はありません。私は意欲はありません。

――下関という、生まれ育った街へのイメージや思いを聞かせてください。

 非常に乾いた街です。

――今回の受賞で、書かれる場所、下関からこちらにいらっしゃらないかとか、書かれるスタイルは全く変わらないと考えてよろしいんでしょうか。

 それはまあ今まで通りだと思います。

――今日も明日も、書き続けるということですか。

 あ、はい。

――第一声で「私がとって当然だ」というシャーリー・マクレーンの言葉を引用されておっしゃいましたが、ご自身の中で当然という言葉にこめた思いを聞かせてください。

 いや、思いはなくて、当然だから当然。

――選考委員の、例えば石原さんに対して何か言いたいことがあれば。

 だから、いまあの人おじいちゃん新党を作ろうとしてるんでしょ。だからその新党結成にいそしんで頂ければ、と思います。

――地元の下関では恩師の方とか喜びの声も上がっているんですけれど、そういった方々に向けて一言頂けないでしょうか。

 それは嘘ですね。私は教師に嫌われてましたから。それはほんとの嘘です。

――私は昨日の会見に出たんですけれど、昨日よりも田中さんが不機嫌に見えるのですが、なぜですか。

 だからとにかくやめましょうよ、もう。円城さんがものすごく丁寧に答えてらっしゃったんで、自分はそういう風にはできないなと思って、ただ不機嫌で座っているだけです。

――お酒は少し飲まれているんですか。

 ワインを2杯ぐらい。

――機嫌が悪いとしたら、何が原因ですか。

 だからこれが。

――機嫌が悪いというのはたくさんの人の前で喋るのが苦手とかそういうことなんでしょうか。

 いやこういう場が好きな人間はいないでしょう。政治家じゃないんだから。

――最近講演をなさる機会が増えているようですが、人の前で喋ることに関して何か心境の変化があったのでしょうか。

 いや、それはギャラが出るんで。

【ひと言】
 ちょうど1年前の西村賢太さんも面白い人だったが、田中さんはもっと面白い。
 こういう風に自己を失わず、自分の才能に気が付き、きちんと努力ができる人は、その人なりの個性を持ち、生し、世間に表していけばよいと思う。
 才能もいま一つで努力もできない人が、見よう見まねに個性を持って生きようとすると、それは今も昔も滑稽だし、何も成し遂げられす失敗し、社会に迷惑をかけてしまう。
 それでもふと思うのは、自分は個性を持って生きてみたら、もっと違う世界、それも高みに出られたのだろうか?
 一度しかない人生、結局はやってみないとわからない。その見極めは極めて難しいところだ。

追記
 石原東京都知事に対して実に辛辣なコメント、話題性ありすぎますね。当然、知事に対して記者が質問に行くだろうから、どう答えるのだろうか?

追記2
 それにしてもこの田中さん、私の風貌とよく似ていますわ。(笑)
 紗に構えた物言いまでも・・・

追記3
 田中さんの回答は人をバカにしたような内容ですが、記者の質問を聞き取る姿勢は、傾聴というか真剣そのもので、そのコントラストの違いが、また不可思議な感じです。そのあたりは動画で楽しんでください。

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