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2012年1月

2012年1月30日 (月)

【テレビ】ヒューマン なぜ人間になれたのか 第2回(NHKドキュメンタリー) 

暴力を不快と思うのが我われ人間の本能であり、それは今なお堅持しているのであるが、人類が進化していく中で、集団生活の秩序を維持するため、仲間に罰を与えること、つまりは暴力行為なのであるが、それについては快感に感じる仕組みができたらしい。

第2回となる「グレートジャーニーの果てに」編の最後に、上の理論が実験とともに説明されていた。
暴力が暴力を生む、負の連鎖の仕組みが人間の本能として包含されていたことに、衝撃を受けるとともに、人類が乗り越えるべき大きな課題であることを、改めて強く認識した。

ちなみに集団の秩序を維持することに最も貢献したのが、効率的な狩猟生活の実現に貢献した投擲具(とうてきぐ:槍を遠くに投げるための道具)であるという、考古学の新しい理論も新鮮でした。
集団の秩序を乱す者に対して罰を与えるのに、距離的に間をとることができる、すなわちある程度の距離から複数で取り囲めるということが投擲具によって可能となり、単に腕力ガ強いとか、逃げ足が速い者とかによる自己中心的な行動を抑制可能となったということらしい。
それにより、より大きな集団での秩序維持が可能となり、その結果、集団間の交流も活発化したというのだ。
つまり、人間の脳の大きさからは150人程度の集団生活能力しか無く、それ以上の多数との交流では秩序の維持が困難になるはずだったのが、投擲具によりその拡大が可能となったというのだ。

確かに自分自身を考えてみても150人くらいの情報しか頭の中には入っていない気がする。

ホモサピエンスは原始からその程度の能力らしいのだが、ネアンデルタール人も同じくらいだったらしい。
10万年前には同じ石器を使っていた両者なのであるが、最終的に体力的に圧倒的に劣るはずのホモサピエンスがネアンデルタール人を駆逐できたのは、150人程度の集団交流可能な能力を超えて、不特定多数の集団間交流が可能となって、その結果、知識の集積を実現したからだというのが、本番組の仮説であった。(ネアンデルタール人は集団間交流がなかったらしい。)

このドキュメンタリーも残り2回、人間とは何か?この番組の新理論が楽しみです。

2012年1月29日 (日)

【映画】やがて来たる者へ

Yagate 第二次世界大戦中の歴史的事件“マルザボットの虐殺”を少女の眼差しでとらえた、ドキュメンタリー出身のジョルジョ・ディリッティ監督による長編第2作。

貧しい農家の一人娘である8歳のマルティナは、弟を生まれたばかりに亡くし、それ以来誰とも話さなくなる。1943年の冬、母親が再び妊娠し、マルティナは新しい家族の誕生を待ちわびる。しかし、村の周囲ではパルチザンとドイツ軍の戦いは激化していた。第2次世界大戦末期にイタリア・ボローニャ近郊のある山村で起こった虐殺事件を描き、2009年ローマ国際映画祭で審査員賞と観客賞を受賞した。日本ではイタリア映画祭2010にて「やがて来る者」のタイトルで上映。11年劇場公開。

【感想というか、ひと言】
違う映画を観ようと思っていたのですが、仕事で見る暇がなかったところに、戦争の不条理を描いた本作品の公開に巡り合えました。
ナチスドイツの虐殺の話は、私が鑑賞した映画の中で、最高傑作と思っている「炎628」があるのですが、本作はそれに負けず劣らずの秀作でした。

力強く、懸命に生きる、心優しい人々。戦争の不条理は、容赦なく、そこにも押し寄せる。

最後の悲しい歌声は、予想通りでしたが、それでも緊張からの開放とともに深い悲しみに包まれてしまう、印象深いラストシーンでした。

エンドの字幕は「これまでの戦争で犠牲になった数知れぬ民間人に捧ぐ」
日本人には日本人の心があると誇りを持っていますが、残念ながら戦没者の御霊を奉る靖国神社には、この精神が無い。
誇り高きわが国の文化と言えば文化ですが、自分を含めこの島国らしい狭量さにいまさらながら気が付きました。

<作品データ>
原題 THE MAN WHO WILL COME
製作年 2009年
製作国 イタリア
配給 アルシネテラン
上映時間 117分

<スタッフ>
監督 ジョルジョ・ディリッティ 
脚本 ジョルジョ・ディリッティ 、 ジョヴァンニ・ガラヴォッティ 、 タニア・ペドローニ 
製作 シモーネ・バキーニ 、 ジョルジョ・ディリッティ 
撮影 ロベルト・チマッティ 
美術 ジャンカルロ・バージリ 
音楽 マルコ・ビスカリーニ 、 ダニエレ・フルラーティ 

<キャスト>
レナ マヤ・サンサ 
Beniamina アルバ・ロルヴァケル 
Signora Bugamelli エレオノーラ・マッツォーニ 
アーマンド クラウディオ・カサディオ 
マルティーナ グレタ・ズッケリ・モンタナーリ 
Signor Bugamelli ステファノ・ビコッキ 
マーチャント オルフェオ・オルランド 
ペペ ディエゴ・パゴット 
ジャンニ ベルナルド・ボロニェージ 
ディノ ステファノ・クローチ 
ダンテ ゾエッロ・ジッリ 
メディカルオフィサーSS ティモ・ヤコブス

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2012年1月28日 (土)

【書評】ふしぎなふしぎな子どもの物語 ひこ・田中/著

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副題「なぜ成長を描かなくなったのか?」

著者は児童文学作家であり、昨今の児童文学からあらゆるジャンルの「子どもの物語」を串刺しにして読み解く試みの著作である。

テレビゲームのドラクエとFFほか、テレビヒーローのウルトラマンと仮面ライダーほか、アニメ(男の子編)のアトム、起動戦士ガンダム、エヴァンゲリオンほか、アニメ(女の子編)の魔法使いサリーからセーラームーン、プリキュアまで、世界名作劇場、マンガ、児童文学と戦後のあらゆる子どもの物語を著者は網羅(つまり体感)され、そこから導き出した一縷の真実と傾向。大したものです。

子どもは成長してみんな大人になるって本当か?それ以外の選択肢もあるのではないか?

最後のこの問いまで、たどり着いたことは、大したものです。

が、そこで止まっている。たんに売るための本かと疑いました。
確かに洞察は深いのですが、対象が狭くて偏りすぎています。児童文学者なので、仕方ないのでしょうか?

そもそも、大人も子どもも人間なんです。人間は生物なんです。生物である人類の歴史をたどれば、答えは明確です。

子どもから成長して大人になったものしか、今ここに子孫を残せなかった。
ところが文明が発達し、社会システムが充実し、子どものままでも生きながらえる現代社会ができた。それを多様性ともいうようですが、そうした世の中になったから、大人にならなくても良くなり、併せてそういう話(子どもが成長しない物語)が遅れて発生してきたと考えるべきではないでしょうか?

それでも、私にはあまりなじみの無いテレビゲームの考察は一考でした。
ドラクエは2作目途中で断念、FF(ファイナルファンタジー)はやったことが無いのですから・・・。

2012年1月27日 (金)

マラソン 無理しないように

タイトルは、マイ誕生日のケーキにあったメッセージのことです。

これは子どもたち(長男坊主導と思われる)が書いたものです。Cake

私の体調を心配してのことであるが、長男坊が高校受験に挑むにあたり、受験要項を読んで、願書を書いたりする中で、入学金や授業料といった相当なお金が必要な現実を踏まえて、お父さんの収入の大事さを認識してきたためでないかとうがった見方をしております。(笑)

実は、同じ日に、別の人にもマラソンで無理しないようにと言われました。

それは、会社の健康診断の中でした。
例年、楽しみにしている体力測定をその場のトレーナーから中止させられたのです。

理由は私の歩き方から、疲労蓄積があることを見破られ、そうした状態での体力測定は、無理をして、結果、更なる悪化を招きかねないとのことで、代わりに疲労回復と故障予防に効果絶大な簡単ストレッチを教えていただきました。

この疲労蓄積の件ですが、最近新しい靴を2足(ビジネス用と通勤ランニング用)一気に替えたためか、まめができて、それをかばったようで、股関節痛が生じてきていたのが、見破られたようです。

さすが、我が社のトレーナーです。恐れ入りました。

簡単ストレッチの内容ですが、2つのストレッチだけです。
1 仰向けに寝て、片膝を抱えて、1分、30秒、20秒。インタバールでは脚を伸ばして3呼吸します。
2 仰向けに寝て、両膝を立てます。片脚ずつ、脱力して横に倒します。脱力したまま、1分、30秒、20秒。インタバールでは片脚ずつ元のように両膝立てる姿勢に戻して3呼吸します。

やってみると、見違えるように脚が軽くなりました。こわばっていたんでしょうね。ちゃんとリラックスすることが必要なんですね。

2012年1月25日 (水)

【テレビ】ストロベリーナイト 

2012年の第1クールのドラマは、今ひとつだなあ、なんて思っていましたが、ストロベリーナイトは、大当たりのようです。

功名争いや足の引っ張り合いもありつつも、正義のために、プロフェッショナルらしさで、がむしゃらに犯人逮捕に向けてチームで仕事をやりぬく姿が、この生ぬるいご時世に、一石を投じるに足る内容だ。

ひと言で言えば、「いまどき珍しく熱い刑事もの」なのだ

第3話にあたる「右では殴らない(後編)」は、まったく意味不明のタイトルでしたが、最後に答えがありました。

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竹内結子のクールで熱い刑事、ちょっとどうかなあ、なんて思っていましたが、いやいや第3話でやっと私の目も覚めましたね。あの追い込み、そして強烈な右ストレートのパンチ

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テレビドラマとは思えないド迫力でした。

それに脇を固める渡辺いっけい、高嶋政宏、武田鉄矢もめちゃくちゃいいです。

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次の展開が楽しみです。

2012年1月24日 (火)

【書評】エネルギー論争の盲点 石井彰/著

Ene_2 副題「天然ガスと分散化が日本を救う」

本著の誕生は、福島原発事故が無ければ生まれなかった宿命の生い立ちである。
そして、原子力を議論する前に、必ず読んで欲しい必須の本である。
日本のこれからのエネルギーの現実解がきちんと提示されているからだ。

エネルギーとは何か?それを知らずして原子力の是非を問う愚かさ。
薪炭、牛馬から石炭、石油、原子力、再生可能エネルギーへの流れ。
最強のエネルギー源である石油、その最強エネルギーを持たない国による原子力への傾倒と爆発したリスク、原子力亡き後の本命エネルギーは何か?

全てが解き明かされます。

そのために、本著はエネルギー論の基礎的な話をわかりやすく説明してくれています。
例えば、電気はエネルギーそのものでなく、エネルギー媒体であり、議論すべき直接の対象ではないとは、我が意を得たりだ。

北欧の人口の少なく農業生産力の高い小国とエネルギー資源を持たず、膨大なエネルギーを投入し、世界が欲しがる工業製品を作り続けなければならない日本との再生可能エネルギーの割合の比較の無意味さなど、少し考えてみれば明らかなことなのに、マスコミは伝えないし、われわれも気が付いていない。

再生可能エネルギーを取り出す装置(太陽電池や風力発電装置)の製作には、大量のエネルギーが必要であることや、効率の悪さ、つまりコスト高であることも理路整然と書かれている。

そして著者の究極の回答は、これまた我が意と同じであった。「世界の人口を減少させる」

それまでの数百年間のエネルギー源は埋蔵量が甚大な天然ガスであるだろうとの論調は、正論そのものである。

原子力亡き後の日本の電気は、設備工事や燃料調達が容易で、環境負荷の低い天然ガス・コンバインドサイクル発電で賄う。

それから電気自動車についてはこんなことが書いてあった。東日本大震災直後の電力不足で電車は動かなかった。もし日本が電気自動車だらけであったなら、多数の電欠車が道路を塞ぎ、輸送は完全麻痺していただろう。誰も気が付いていないが、そのとおりだと思わざるを得ない。

最後の締めくくりがわかりやすく印象的だった。
それは野球に例えて、エネルギーの分散化が論じられているので紹介する。
「東日本大震災後の日本のエネルギー状況で求められているのは試合に着実に勝つことであり、ファンを喜ばすためにリスクを冒してホームランを狙うことではない。現状は、四番を打っていた高給取りの石油に疲れが見え、力任せの大振りスイングながら、監督の覚えめでたく次の四番に目されていた原子力が、大ファウルで観客に大怪我をさせ、自らの故障した。そうなると一発は期待できないが出塁率の高い三番だった天然ガスを四番に据え、調子の波が大きいので下位打線だった風力発電、太陽光発電を、一番、二番に繰り上げていくしかない。三番、五番は、疲れと怪我で衰えたとはいえ、未だ侮れない長距離ヒッターの石油と原子力が当面は打つしかないだろう。」

2012年1月23日 (月)

芸能界 女の敵No.1

テレビの「行列のできる法律相談所」はここ2週、明石家さんまさんが司会をしていた。

さすが、さんまさん、多人数トークの切れは、島田紳助以上に面白い。

番組のテーマは、芸能界最悪の女の敵は誰だ?ということで、事件が再現されていた。

司会をしているさんま自身も、最後に女の敵として、小林麻耶さんと川島直美さんに訴えられていた。

最終的に芸能人7人がエントリーされ、弁護士軍団が法律的な観点で選定した女の敵一位に輝いたのが、俳優の布施博さんだった。

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その事件は、打ち上げの帰り道、生稲晃子さんに強引にキスしたことだった。

次点は、井上順さんが番組中、ぺろっとアナウンサーの耳たぶをなめた事件だった。

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草食系には無縁の世界です。(笑)

2012年1月22日 (日)

東京の美味しいおみやげ

東京ぼーの http://www.dn-con.co.jp/products/
アリンコ キャラメルロールケーキ http://www.arincoroll.jp/
ユーハイム 東京ミルフィーユ http://www.anafesta.com/item_detail.jsp?cd_item=2089
銀座五大 新東京ポテト http://www.ginzagodai.com/sweets_list.html

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↑東京ぼーの

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↑トウキョウキャラメルロールプレミアム

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↑東京ミルフィーユ

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↑新東京ぽてと

テレビ「シルシルミシルさんデー」の放映を見てて、いずれも美味しそうでした。
近いうちに食べてみたいですね。

追記
 それにしても子どもたちは、面白い番組を良く知っているわ。

2012年1月21日 (土)

大寒の卵

一年で最も寒いとされている「大寒」は、かねてより、鶏が卵を産み始める頃とされ、その時期の卵は生気に満ち溢れているとされています。
そのため、大寒の日に産まれた卵は「滋養に富み、食べると健康に暮らせる」と言われてきました。
また、最近人気の風水でも、「大寒の日に卵を食べると、金運が上昇する」と言われています。
今年1年のご家族のしあわせを願って、年に一度の縁起物を是非お召し上がりください。

と、たまごやとよまるの広告に書いてありました。

ということで、「たまごやとよまる」で「まことのたまご」を予約購入して、たまごかけご飯をいただきました。P1229796 注:煌黄(きらめき)は一緒に買った白いたまごの銘柄です。この写真を撮る時には気が付きませんでした。

味は濃厚でうまかったです。

食べる前に、広告写真を真似して、黄身を箸でつまみ上げることを試みました。

成功者には、金一封を出すことにして、家族で挑戦しましたが、できたのはかずさんだけでした。
かなり難しかったですが、奇跡的にうまくいきました。その妙技をご覧下さい。
P1229819

とりあえず、桜咲きました。

長男坊の私立受験前期併願の合否通知が届きました。

P1219795_2

なんとか、無事合格しました。まずは一安心です。

実は、私立は滑り止めだったんですが、それなのに受験可能な内申点が足りず、英検3級と漢検3級に受かっての内申点加算により、やっと受験可能になると言う薄氷の受験でした。
しかもその高校の3科あるうちの最も低いレベルの科しか受けられないのですから、まったくもって学校で何していたかです・・・。

試験については、得意の数学は百点満点だと根拠無く威張っていましたが、まんざら嘘でもなかったようです。

試験の成績優秀者である特待生Bでの合格だったからです。

これにより、入学金、施設整備費が半額、授業料月額1万円引きの特典が付与されました。

本人は、後期試験では、内申点の制約がなくなるので、この学校の最難関のコースを受験するそうです。
今度も特待性で受かると良いのですがね。

2012年1月19日 (木)

「共喰(ぐ)い」で第146回芥川賞に選ばれた田中慎弥さんが面白い。

「共喰(ぐ)い」で第146回芥川賞に選ばれた田中慎弥さんが面白い。
田中慎弥さん(左)と円城塔さん

 第146回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が17日、東京・築地の料亭「新喜楽」で開かれ、芥川賞に円城塔(えんじょう・とう)さん(39)の「道化師の蝶(ちょう)」(群像7月号)と、田中慎弥(たなか・しんや)さん(39)の「共喰(ぐ)い」(すばる10月号)が選ばれましたね。同日夜の受賞会見で、5回目の候補作での受賞となった田中さんは終始、不機嫌でぶっきらぼうな態度をとりながら、「もらって当然」と受賞の気持ちを表現していましたね。(動画でその様子は確認しました。)。受賞会見での一問一答を掲載します。

――まず田中さんに今のお気持ちから一言、語って頂きます。お願いいたします。

 えーと、確かシャーリー・マクレーンだったと思いますが、アカデミー賞の何度も候補になって最後にもらったときに「私がもらって当然だと思う」って言ったそうですが、まあだいたいそういう感じ。4回も落とされた後ですから、ここらで断ってやるのが礼儀と言えば礼儀だと思いましたが、私は礼儀を知らないので。もし断ったって聞いて気の小さい選考委員が倒れたりなんかしたら、都政が混乱しますので、都知事閣下と東京都民各位のために、もらっといてやる。とっとと(会見を)終わりましょう。

――今回受賞された方はみなさん東京ではない方が多いと思うんですけれど。

 そのことに関しては感想はありません。

――他の受賞作については。

 ちょっと読んでないのでわかりません。

――5回のノミネートについて「僕は甘やかされている」と表現を使われました。しかし今回、選考委員の方は「圧倒的にこれまでの作品の中で良い」と講評されていました。今回この「共喰い」という作品で受賞されたことについては。

 1回目で受賞するのがそりゃあ一番いいんで。5回目っていうのは間抜けです。(会見を)やめましょうよ、もう。

――田中さんは20歳の頃からずっと小説を書いてきて…

 それは昨日喋ったと思うんですけど。

――今日も(小説を)書かれたんですか?

 はい。

――ニコニコ動画と言います。田中さんは今までに一度も働いたことがないというのが話題にもなっていると思うんですけど、ネットの方では「働いたら負け」という言葉もあるんですが、例えば仕事が見つからない若者やニートの方々に何か一言頂ければ。

 人によって状況が違うので私が言えることっていうのはありません。ただ私は本を読んで小説を書いて、作家になったというだけです。

――田中さんは携帯をお持ちでなかったと思うのですが、今日はどちらでどのようにして連絡を。

 都内の飲み屋で待っていて、なんかプリペイド式の携帯みたいなのを編集者が持っててそれで、です。

――受賞したという連絡はどなたかにされましたか?

 あ、母です。

――お母様はどのように。

 よかったね、おめでとう、というだけです。

――決まったという連絡が文学振興会からあったときにはどのようにお返事されたのですか?

 いや、頂戴しますというだけです。

――とったことで、気持ちの変化やこれからこういうものを書いていこうという意欲はありますか?

 気持ちの変化はありません。私は意欲はありません。

――下関という、生まれ育った街へのイメージや思いを聞かせてください。

 非常に乾いた街です。

――今回の受賞で、書かれる場所、下関からこちらにいらっしゃらないかとか、書かれるスタイルは全く変わらないと考えてよろしいんでしょうか。

 それはまあ今まで通りだと思います。

――今日も明日も、書き続けるということですか。

 あ、はい。

――第一声で「私がとって当然だ」というシャーリー・マクレーンの言葉を引用されておっしゃいましたが、ご自身の中で当然という言葉にこめた思いを聞かせてください。

 いや、思いはなくて、当然だから当然。

――選考委員の、例えば石原さんに対して何か言いたいことがあれば。

 だから、いまあの人おじいちゃん新党を作ろうとしてるんでしょ。だからその新党結成にいそしんで頂ければ、と思います。

――地元の下関では恩師の方とか喜びの声も上がっているんですけれど、そういった方々に向けて一言頂けないでしょうか。

 それは嘘ですね。私は教師に嫌われてましたから。それはほんとの嘘です。

――私は昨日の会見に出たんですけれど、昨日よりも田中さんが不機嫌に見えるのですが、なぜですか。

 だからとにかくやめましょうよ、もう。円城さんがものすごく丁寧に答えてらっしゃったんで、自分はそういう風にはできないなと思って、ただ不機嫌で座っているだけです。

――お酒は少し飲まれているんですか。

 ワインを2杯ぐらい。

――機嫌が悪いとしたら、何が原因ですか。

 だからこれが。

――機嫌が悪いというのはたくさんの人の前で喋るのが苦手とかそういうことなんでしょうか。

 いやこういう場が好きな人間はいないでしょう。政治家じゃないんだから。

――最近講演をなさる機会が増えているようですが、人の前で喋ることに関して何か心境の変化があったのでしょうか。

 いや、それはギャラが出るんで。

【ひと言】
 ちょうど1年前の西村賢太さんも面白い人だったが、田中さんはもっと面白い。
 こういう風に自己を失わず、自分の才能に気が付き、きちんと努力ができる人は、その人なりの個性を持ち、生し、世間に表していけばよいと思う。
 才能もいま一つで努力もできない人が、見よう見まねに個性を持って生きようとすると、それは今も昔も滑稽だし、何も成し遂げられす失敗し、社会に迷惑をかけてしまう。
 それでもふと思うのは、自分は個性を持って生きてみたら、もっと違う世界、それも高みに出られたのだろうか?
 一度しかない人生、結局はやってみないとわからない。その見極めは極めて難しいところだ。

追記
 石原東京都知事に対して実に辛辣なコメント、話題性ありすぎますね。当然、知事に対して記者が質問に行くだろうから、どう答えるのだろうか?

追記2
 それにしてもこの田中さん、私の風貌とよく似ていますわ。(笑)
 紗に構えた物言いまでも・・・

追記3
 田中さんの回答は人をバカにしたような内容ですが、記者の質問を聞き取る姿勢は、傾聴というか真剣そのもので、そのコントラストの違いが、また不可思議な感じです。そのあたりは動画で楽しんでください。

2012年1月18日 (水)

寒風の冬の夜、露天で寝てみる

寝袋の性能体感第二弾は、雪山にと行きたいところですが、自重して引き続き自宅での体感にしました。第一弾はこちら

寝袋だけの姿で庭で寝るのは、遊歩道に面していることもあり、あまりに不審なのでどうしようか?やはり面倒だがテント出すか?と思案していたのですが、ふと妙案を思いついた。

2階のベランダなら見えないし、安全だ。

ということで真冬のベランダに露天で寝た。

むき出しの顔が寒いかと思い、バラクラバ(目出し帽)の代わりにネックウォーマーでカバーすることにした。

部屋の中で少し寒いなという、いつも寝ているときより一枚少ない着込み(ただし靴下は1枚多く)でベランダの寝袋に入って寝たが、さすがマイシュラフ、ぽっかぽかの極楽で寝ることができました。(近くにおいていたバケツには氷が張っていました。氷点下でした。)

これなら、この寝袋、macpac の Solstice Rは、低めの冬山なら大丈夫そうだ。
珍しく良い買い物をしたようです。(笑)

あとは、冬山用テントと大型ザックが欲しいな。

2012年1月17日 (火)

うちに帰ると騒ぎが起きていたのはなし

今日も寒い中、帰宅ランで帰るとなにやらリビングが騒がしい。

かまわずシューズの手入れをしてから、リビングに入ると、母子で興奮気味に話をしていた。

私立の受験を明日に控えた長男が説明しはじめた・・・。

要旨は次のとおり

私立の後期試験の願書を提出漏れで締め切られたのを今日気が付いたそうだ。担任の先生の勘違いを今頃おかしいと思って確かめたら手遅れだったようだ。

結局、前期試験受験者は、締め切りが別にあり、間に合うと言うことで、大きな問題でなかったと先ほど担任の先生から謝りがてら電話があったとのことで落着したところだったようだ。

明日の受験を控えて、友達と一時間もサッカーで遊んだらしい。その後、人生で初めて足が攣ったと喜んでいたとのこと。

何でもいいから、明日の受験に力を尽くしてくれ!(≧m≦)

2012年1月15日 (日)

【書評】情報と外交 孫崎亨/著

Mago
副題は「プロが教える情報マンの鉄則10」

著者は、元・外務省国際情報局長だった人である。ゆえに外務省の内実を暴くような展開で、外務省には守秘義務が無いのだろうか?と思ってしまうほどである。(本当はもっと凄い話があるのかもしれないが・・・)

副題に釣られて読んだのであるが、一般企業や実社会においての有益性は低いと思う。
それは外交とは異なり、一般社会では相手が高度な情報操作や秘匿を行うわけではないからだ。
感情や状況により合理的でない行動をとることが多々あり、過剰な分析は百害あって一利なしだからだ。

それよりも本著は、歴史的な事件の裏側の話が面白い。
・イラン・イラク戦争の内実
・ベルリンの壁を演出したブッシュ大統領
・イスラム革命の闇
・エリツィン革命の舞台裏

知らなかったことばかりだ。さすが、外務省の元高級官僚だ。

やっぱり歴史は面白い。

2012年1月14日 (土)

足型を測定してもらいました。

ちはら台のユニモショッピングセンターにあるヒマラヤスポーツにてアシックスの無料足型測定会が開催されることを知り、事前予約し、予約第1号なので最初の測定者として、測定してもらいました。

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予約した時間に向かうも準備がまだで、しばし待ちました。

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測定するマシンです。この箱の中に片足を入れてスキャンするようです。

Imgp9038
測定会全体の様子です。(2番目の測定者です。)

足の分析データは以下のとおりです。
P1149782

測定結果は、平均に近いものだといわれました。

データは以下のとおり

足長 右250.1mm、左247.4mm
足囲 右250.3mm、左242.6mm(足の一番幅の広い部分の一周の長さ)
かかと幅 右63.4mm、左62mm
足高 右56.7mm、左56.4mm
アーチ高 右39.2mm、37.7mm(土踏まずの状況)
かかとの傾斜角度 右4.5度外反、左3.7mm外反(O脚かX脚か)
第一趾側角度 右11.5mm、左11.7mm(外反母趾の度合い)

予想通り右足がでかいです。
また、O脚、外反母趾気味との判定でした。

靴の推奨サイズは、25.5cmから26cm、幅は3Eだそうです。

さて、足型測定会プレゼント引換券に釣られて、靴を買ってしまいました。
軽くて走りやすいランニングシューズは性に合わないので、走りやすい軽登山靴にしました。

P1149786 アディダスのAX1Mです。ソールが厚くて頼もしいです。新8号機として、即デビューさせます。

ところで、密かに期待したプレゼントはボールペンでした、かなりがっかりでした。(笑)

2012年1月13日 (金)

「キット、サクラサクよ。」と「すべらせない砂」

なにか、甘いものでもとスーパーに立ち寄るとネッスルのキットカットが売っていた。

寒いこの時期にはやはり甘いチョコレート。そして、受験シーズンへの一工夫がされています。

P1149780P1149781

我が家にも受験生が一名居るので、買って帰りました。

少しはやる気になってくれれば、いいのですがね。

追記
 合格祈願アイテムとしてもうひとつ。

 お隣さんが釜石に出張されて、お土産いただきました。

P1149789 神社でお払いした「車輪をすべらせない砂」とラグビーのメッカ釜石らしいモンドと言う会社の「釜石ラガーボール」というお菓子です。

ラガーボールは、白餡の入ったケーキにアーモンドチョコレートをコーティングされていたものです。初めて食しましたが、まじ、美味しかったです。

いやいや、すべらせない砂で前に進んでくれるでしょう。

2012年1月12日 (木)

【アニメ】輪廻のラグランジェ 読売テレビ系

千葉県鴨川市が舞台のアニメということを知らされて、その第一話を見た。
アニメは基本的に好きなのであるが、ジブリ初期以前の宮崎作品や宇宙戦艦ヤマト、ガンダム第一作あたりまでで、それ以降は興味下降気味だ。面白いと思った最後のアニメがエヴァンゲリオンである。(笑)
ということで最近のアニメにはまったく付いていけていない。

P1119710千葉県鴨川市に住む少女・京乃まどかは運動神経抜群の鴨川女子高等学校生で、運動部の助っ人をするジャージ部の部長兼唯一の部員。P1119751 ちょっと変わった女子高生活中に、ランという宇宙から飛来した謎の少女と出会い、鴨川沖に突如出現した基地に連れて行かれる。その基地でロボットに載るかどうかの話をしているときに突如として宇宙からの敵が襲来して、そのままロボット「ウォクス」に乗って出撃する。

P1119770そして、その初戦をバックドロップで勝利

いやはやガンダムやエヴァのいいとこどりみたいなストーリー展開だ。

あまりに軽い乗りと展開に付いていけない・・・。
完全にノー天気でぶっ飛んでいるのだ。

そんな訳で、付いていけるのか?どうか?
第二話も見ないと判らないが、主人公は鴨川大好きで、鴨川を舞台としているようなので、とりあえず千葉県人としては応援しますかね。

追記:深夜枠らしいお色気シーンが本作に良い方向の彩りを与えてくれるのか?ただ行過ぎないかちょっと心配だ。
P1119711
P1119719P1119734 P1119744

2012年1月 8日 (日)

第57回松戸七草マラソン大会に出走しました。

年始恒例の松戸七草マラソン大会に参加しましたので、結果をご報告します。

今年は、昨年に引き続き、6年生の次男坊と4年生の三男坊がそれぞれのカテゴリーで2kmの部に参加です。

三男坊は前日、熱を出して、出走が危なかったですが、熱血親父の圧力に負けての出走です。

さて今回の目標は、次男坊は10分きり、三男坊は完全一人完走です。

前回は、長男坊が三男坊と併走し、私も追っかけての応援でしたが、今回は長男坊は模擬試験なので応援できず、私は今回は競技場内での写真撮影に専念しました。

今年は例年以上に参加者が多かったようです。

Imgp9030

定刻どおり9時25分に5,6年生の部がスタート、それにしてもトップ1位はぶっちぎりで早かったですね。2kmを6分30秒くらいですかね。
P1089592

しばらくたって、大勢が戻ってき始めると、無事に競技場に姿を見せてくれました。
P1089618

P1089637

無事完走の結果となり、記録証をもらっての記念撮影です。
P1089667

二人ともよくがんばってくれました。

2012年1月 7日 (土)

寝袋の性能や如何ほどか?

山道具の準備第一弾として、寝袋(スリーピングバッグ又はシュラフ)のカバーとインナーを購入した。これで寝袋3点セットがそろった。

P1079541

左から、シュラフインナー、寝袋、シュラフカバーである。

インナーは、イスカ ライナーサイドジッパー スーパーライト 2710円
カバーも同じイスカ ゴアテックスシュラフカバーULワイド 15800円 である。

さて元から持っていた寝袋の製品名は記憶が無い。P1079543

縫い付けてあるタグにはmacpac の Solstice R と表記されている。

この製品名と思われる Solstice であるが、夏至または冬至という意味のようだ。たぶん寒い方の「冬至」と思われる、なぜならニュージーランド南島のクライストチャーチの登山専門店で購入したときに、店員に薦められるまま2番目に良いものを購入したからだ。ちなみに1番目でなくても大丈夫か?と尋ねたら、それはヒマラヤ用だと言われたことが記憶に残っている。つまり、2番目でほとんどの山では寒くないと言っていたからだ。

実際、ニュージランドで使用したのは夏だけですが、とにかく暑くて寝苦しくて、何度も目を覚まして、結局からだ半分を外に出して、眠った記憶しかありません。

そのときは、さすが2番目のことだけあると思ったのですが、この2番目というのがどれだけの保温レベルなのか?使用可能温度や快眠温度はどうなのか?わからない。寝袋に表示がないかと調べましたが、そんな情報は載っていません。(下の写真)

P1079551

うーん、これは困った。ダウンが入って、結構ボリュームがあるので、そこそこの性能があるはずだが・・・。どの程度の冬山で使えるんだか?

日本に輸入されるようになったmacpacの日本サイトを覗いてみると、輸入している製品はバックパックしかなかった。

仕方ないので、ニュージーランドの公式サイトを覗いてみると、スリーピングバッグの製品が列記してあった。

Mac2_2

残念ながら「Solstice R」なる製品はない。18年も前のこと、もう無いのだろう。
記憶をたどると、当時500ニュージランドドル(約3万円)ぐらいで買ったような気がするので、その値段あたりの製品を見てみます。

Mac1

コンフォート(快適)は0℃、下限は-6℃、極限は-23℃となっています。
極限ってのは、説明文を解釈すると6時間は低体温症にならない温度のようです。
(猛烈な寒さでがたがたと震えて、凍死するまで数時間は耐えられるレベルという感じでしょうか。)

前回12月に庭で夏用テントに寝たときに、寝袋だけだと、夜中寒くて何度も目が覚めた経験から、恐らくこの数値レベルの寝袋ではないかと思われます。

ちなみに、あるサイトにこんな事が書かれていました。

快適睡眠温度域下限 = 実際に寝袋を使用する温度 - 5℃

を目安にすると多少の天候の変動にも対応できて、安心して使えますよ♪

私の寝袋はダウンが入っているので、たぶん3シーズン用(夏以外)だと思いますが、ダウンがどのくらい使われていて、使用可能温度がどれくらいか?は結局判らない。

これは何度も体感するしかないですね。

ということで、今晩は体感第2弾として、寝袋+インナー+カバーで寝てみます。
天気予報では最低気温0度らしいので、どうなりますことか・・・。

【結果】
 人気の無い、つまり普段暖房していない北側の客間で寝ました。
外気の寒さに近いように窓は開けたままにしようかと思いましたが、今回は閉めて寝ました。ですので、室温は寒いとはいえ、5度くらいだったと思われます。
服装は登山の服でなく、普段の寝る時と同じとしました。

いやあ、ぽかぽかとコタツに入っている感じの暖かさでした。
ぬっくぬっくで幸せいっぱいの寝袋でした。

上述の計算式から快適温度0℃程度であることは間違いなさそうですね。

18年前のものですが、ダウンは恐るべしです。
やはり私のmacpacの寝袋は、秋冬春の3シーズン用ですね。

次回は、実戦に向けて外で体感ですね。(冬の寒空に露天で寝てみた編

2012年1月 6日 (金)

岩木山【日本百名山10】

1625m 青森県

津軽平野の象徴的存在で、「津軽富士」ともいわれる。山頂は3つに分かれ、中央峰を岩木山、南峰を鳥海山、北峰を巌鬼山という。(日本百名山地図帳より引用)

2009/06/06 日帰り
09:46 八合目駐車場
10:07 岩木山頂
10:30 八合目駐車場

【ひと言】悪天候下での八甲田山早朝登頂後の第2登に付き、八合目からの楽勝登山に変更。展望もなかったし、再チャレンジしたい山ですね。

Rimg5163↑弘前市内も雨です。正面に岩木山の裾野が少し見えます。

Rimg5164↑津軽・岩木スカイライン(有料)から雲海を望みます。ただ雲海の上なれど、嵐でした。

Rimg5165↑駐車場から岩木山を望みますが、ガスの中です。

Rimg5167 ↑岩木山神社奥宮です。

Rimg5169 ↑岩木山の三角点です。

Rimg5170 ↑山頂標識です。

Rimg5171 ↑雨でレンズカバーが上がらなくなって、画像の邪魔しています。結局、この後、内部にまで浸水したようでデジカメ壊れました。

Rimg5172 ↑一番高い岩峰かな?ガスで周りが見えなくてわかりません。

Rimg5173 ↑これも山頂標識ですかね?

Rimg5174 ↑遭難受難者の慰霊碑です。厳冬期の吹雪だと遭難しますね。

P6060178 ↑八合目駐車場とリフト乗り場です。いやあ、悪天候でだれも居ません。

P6060182 ↑麓の岩木山神社に立ち寄ります。

P6060194

↑お清めの清水は蛇口ならぬ竜口でした。

2012年1月 5日 (木)

【書評】ナンガ・パルバート単独行 ラインホルト・メスナー/著 横川文雄/訳

Nanga
ナンガ・パルバートとは、カラコルム山脈にある世界第9位の標高(8,125m)をもつパキスタンの高峰のことである。意味は、現地の言葉で、「裸の山」と言われ、その辺りでは抜きん出て高い山だかららしい。

本著は、そのナンガ・パルバートを完全単独行(ベースキャンプから一人で頂上まで登り、一人で下山する)で世界初登頂を成し遂げたメスナー本人による著作である。
この完全単独行は、ナンガ・パルバートのみならず8,000m峰での世界最初の成功であり、登山史においては、驚愕の金字塔的な記録である。

しかしながら、本著はそうした記録を意識することなく、単独行におけるメスナー自身のさまざまな葛藤が偉業の華やかさとは対照的なほど、細やかに描かれている。その葛藤の深さは、まさに哲学的な深淵に達している感すらある。

登攀そのものの記述は、ほんとに僅かばかりで、登攀していないときに、まるで思春期の少年のような繊細さで弱き方に心が揺れ動いているのが新鮮だ。(実際は、世界で初めて8,000m峰全14座を登頂するほどの登山界のスーパースターなのであるが。)

さまざまな思いに逡巡しつつも山登りに対する覚悟の強さなどは、わたしとは桁違いだ。これぞ、プロフェッショナルなんだろう。

それにしても、ベースキャンプから山頂までの標高差4,000m近い大岩壁を確保もなしに一人で登る、しかも最後は8,000m超のデスゾーンを無酸素で登るのである。一度の失敗が即、生命に直結する場所のだけに、技術、体力、精神力が超一流であることに加え、並外れた強運が必要である。(14座全ての登頂を成し遂げたメスナーの強運さは驚愕である。)

彼の偉業については、ウィキペディアからの抜粋は以下のとおり
 1970年のナンガ・パルバット登頂を皮切りに17年の歳月をかけて1986年には人類史上初となる8000メートル峰全14座完全登頂という登山史における大金字塔を打ち立てた。その間に1975年に、ガッシャーブルムI峰でハーベラーとのコンビで世界で初めて8000メートル峰をアルパインスタイルで登頂。1978年、ナンガ・パルバットで世界で初めて8000メートル峰をベースキャンプから単独・アルパインスタイルで登頂。さらに同年、ハーベラーとのコンビで人類初のエベレスト無酸素登頂に成功。2年後の1980年には途中、一度クレバスに転落する事故を乗り越えてエベレスト無酸素単独登頂の偉業を成し遂げた。1982年にはカンチェンジュンガ、ガッシャーブルムII峰、ブロード・ピークという8000メートル峰を1年の間に次々と登頂。チョ・オユーにおける同年の厳冬期登頂には失敗したものの、高い記録であることに変わりは無い。世界初のガッシャーブルムI&II峰縦走にも1984年に成功。1990年には92日間をかけ徒歩で世界初の南極横断に成功した。

そんな、偉大な話ではなく、山登りにおける心の葛藤が、余すところなく描かれている。山登りは奥深いです。

追記
 2010年のドイツ映画で、1970年のナンガ・パルバット登頂を映画化。日本では「ヒマラヤ 運命の山」の邦題で2011年8月公開されていた。観たいと思いつつ、そのころはヒマラヤにはそれほどの執着が無く、見過ごしてしまった・・・。あー、観とけば良かった。

2012年1月 4日 (水)

【書評】エンデュアランス号漂流記 アーネスト・シャクルトン/著 木村義昌/谷口善也 訳

En
20世紀初頭に人類史上初の南極大陸横断を企てた英国のシャクルトン隊長みずからによる探検記。壮図なかばにして船を氷に砕かれ遭難するも、氷海に投げ出されて孤立無援となった探検隊を率い、全員が奇跡の生還を果たすまでを描く。

本著は冒険をする人たちには、広く愛されている本で、バイブルと言ってよいほど有名な著作である。また、近年は、組織を上手くまとめて、非常な困難を乗り切ったことから、経営者等にも読まれているようだ。

さてこの漂流記、常夏の南の島で無く、極寒の南極近海で起きた話である。探検隊は世界初の南極大陸横断を目指して進むも、南極大陸目前の海で氷に囲まれて身動きができなくなり、やがて氷に船が押し潰されて、孤立無援の1年3か月に及ぶ氷上生活を余儀なくされた。さらには、生活の場であった氷自体が小さくなり、小さなボートで決死の脱出行。氷と強風の海をなんとか無人島に辿り着くものの、食糧物資不足の中、4ヶ月におよぶ耐乏生活のうえ、28名全員の帰還を果たした記録である。
この1年7ヶ月の長きにわたる想像を絶する困難な状況下での遭難をシャクルトン隊長が帰還後、したためた報告が本著の基である。

シャクルトンは序文で、「われわれはこの目的(初の南極大陸横断)に失敗した。本書はそのときの探検物語である。目的の達成には失敗したけれど、それらを書きとどめておかなければならないと、わたしは考えたのである。」としている。困難さを情緒豊かに描くわけでもなく、日報風に客観的に綴ってある。

そこからわれわれが受け取れるのは、この人のリーダーシップと隊員の団結心、深い友情と信義、大自然との死闘、そして彼らの不撓不屈の精神だ。それらがシャクルトン本人による冷静客観でありながらも、行間から彼らの誇りと尊厳を感じずにはいられない格調高い文章によって、後世のわれわれに伝えられている。

本著を読んでいると、この遭難劇は、シャクルトンが予定した通りのものだったのではないか、と思うほどなのである。困難な中でも冷静で状況判断に誤りが無く、まさに命を預けるに足る見事な統率ぶりで、隊員が不安無く付いていくのも、頷けます。また、写真から見たシャクルトンの風貌もまさに経験豊富な頼れるリーダーそのものです。(本著には写真も多く、余計にそう思ってしまう。しかし、当時の写真機は相当な重量で扱いにくい機械だったであろうに、ちゃんと救出直前まで写しているのだから大したものです。)

まさに「事実は小説よりも奇なり」。これだからノンフィクションの読書は止められない。
それにしても、この記録を読むと、小説はもとより、他の冒険譚すら色褪せてしまうのが、読後の問題です。

追記
 本著は絶対に自分の蔵書にしたかったので、去年の誕生日プレゼントとして、子供たちにリクエストして文庫本を贈ってもらいました。(さらに記念の子供たちのサイン入りだ。)

2012年1月 3日 (火)

2012年 一年の計

まずは、皆が健康で平穏な日々を過ごしたいですね。
その上で、個人的にはランニングを充実させたいですね。

1 ランニング年間走行距離3600km、3月末までに1500km
2 ギリシア スパルタスロンへの参加&完走(9月末)
3 UTMF160kmレースの完走(5月18日~20日)
4 日本百名山15座登頂(九州5座、北海道3座ほか)
5 24時間走で200km走破

ちょっと欲張りですかね。
ブログのタイトルにもなっているスパルタスロンになんとしても参加したいです。

とにかく今年は最後まで走り続けます!
P1039538 写真はオーストリア最高峰のグロースクロックナー標高3798m、ちなみに一年の計とは直接関係ありません。

2012年1月 2日 (月)

今年は大吉だ!

初詣は、いつもの稲毛浅間神社に行きました。

冷たい小雨の中、待たずに駐車でき、直ぐに参拝できました。

最近はいろいろなおみくじがあって楽しみなのですが、今年は新作がありました。

男みくじ、女みくじというものでした。

一言根付が付いているのが売りのようですね。

最初に長男が引きました。大吉で、ひと言根付は「快」でした。

次は次男、吉で「誉」でした。

最後はわたくし、大吉で「翔」でした。ちょっと私のイメージとは合わないような・・・。P1029534

説明書きにはこう書いてありました。

 空高く飛ぶ意味のこの字には、「振り返る」という意味もあり。自らのおこないを省みる謙虚さをもち続けられますよう。開運への願いをこめて、財布等に入れてお持ちください。

ザックに付けておくことにします。

【雑誌】みんなの山道具(別冊PEAKS)

Yamadougu
この雑誌は、しばらく登山用品購入のマイバイブルになりそうです。(年末年始眺めてしまいました)

サブタイトルは「あの人の個人装備全部見せます。」

自己流登山の私は、山の道具にこだわりが無い。(そもそも物欲が乏しい。)
特に衣類は、完全無頓着。ほぼユニクロで登山しています。(スポーツタイツもユニクロで5年前に買ったものです。1,280円でもう売っていませんが、さすがユニクロ、しっかり作りこまれて、まだまだ使用できます。)

それでも、靴とザックは人並みにブランドものを使っています。
最近はもっぱら、通常1泊2日以上の行程を軽量健脚により日帰り登山しているのですが、それにはスピードと安全性確保が基本であり、その二つは譲れないからです。

そして日帰り登山に特化しているため、テント泊や雪山は最新の知識と経験が不足しており、当然にそれに対する山道具の知識がない。
日本国内であれば、それらは無くても何とかなるが、海外の高所登山となるとそうは行かない。
(「還るべき場所」を読んで以来、海外高所登山に対する憧れが高じてしまった以上、その実現に邁進したくなるのが私の性質なので・・・)

日本には存在しないし、世界的にも定住している人間が居ない5000m以上の高所では、まずそもそも生命が危険なわけで、山の道具や装備は、生命維持を第一に考える必要がある。物欲が無いといって、ケチって機能や性能が不足したり、使用時にストレスを感じてしまうようでは、事故に直結するだろう。

なので、そうした高所登山に向けての山道具購入において、本著は実に有益な感じです。(いろんなパターンの装備が掲載されており、あらゆる登山をする人にとっても有益です。岩登りや沢登りの方にはちょっと情報不足かもしれませんが・・・)

なにせ、のべ60人が自身のレベルと想定する山行に対する装備を完全公開しているのです。
いろいろな装備の所持目的や自身のこだわりが解説つきなので、納得の理解ができます。

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読むと、いろんな道具が欲しくなりますし、いろんな山に行きたくなります。
とりあえず、私としては、軽量テント、シュラフカバー関連、ストック、大型ザック、ゴアテックスのハードシェルなどは、早めにそろえたいですね。

そんな思いに包まれながら、併せて購入した「山岳縦走ギアガイド」、「マウンテン・ギア ブランド大全」に、モンベルのカタログを見比べながら、夢見て楽しく過ごしております。

追記
 1975年に世界で初めて女性としてエベレストの登頂をした田部井淳子さんの山道具に関するインタビューが載っていた。道具が未発達なその当時、エベレスト登頂時には、中学生のお古のジャージをアンダーに着て登頂したそうだ。そんな大先輩の次の言葉は、さすがです。
 「私ははじめて買うものは、極力ベーシックなものにします。必要最小限なものでやってみて、足りないと思ったら改良する。そのうちに自分にとって大切な機能は何かわかってくるんです。それに自分で手を加えるほうが、かっこいいでしょ」

 かつて、自分が山歩きを始めたニュージーランドで、まだ日本には輸入されていなかったmacpacの大型ザック、シュラフやコッヘル、ガスストーブ、マットを現地で買って、あとは適当に市販品を調達して、ルートバーントラック3泊4日とかのトレッキングをしていた時代もあったことを思い出しました。あー、またmacpacの大型ザックにしようかな・・・。

2012年1月 1日 (日)

2012年 新年明けましておめでとうございます。

2012年の年賀状です。
2012nengas
今年もよろしくお願いいたします。 かずさんより

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