【書評】蟻族 高学歴ワーキングプアたちの群れ 廉思/著 関根謙/監修
本著は中国のルポ物で、ドキュメンタリー好きな私としても、中国人による中国のものは初めて読んだのかもしれない。
日本の就活エリートが挫折しているという「就活エリートの迷走」を予約するとほぼ同時に、中国での同じような問題の本ドキュメンタリーを予約したあたりはいかにも私らしい。(笑)
さてタイトルの蟻族とは聴きなれない言葉であるようだが、中国では本著がベストセラーになりかなり周知されているようだ。
意味は「大卒低所得群居集団」。日本における就職浪人に近いものであるが、上昇志向が強く、中国の制度上の問題であるのか、単身である地区に集団で住んでいる点が大きく異なるところである。つまり「フリーター」でもなく、「ニート」でもないのである。
蟻族の発生要因は、大卒数の増加に伴う就職難、都市と農村の二極構造、戸籍管理制度と分析されているのであるが、根底には社会の急激な変化に対する中国文化の反応と私は見ています。
つまり、中国人の根底に流れる儒教精神に根ざす特定相互扶助社会と千年以上続いた科挙制度に見られる学歴結果偏重社会という恐らく彼ら自身が当たり前すぎて気が付かない文化的な思想が現代事象に自然反応して表出した現象に思えます。
だから中国と日本では起きている現象に差が出ていますが、そのトリガーは共通している気がします。
それは、インターネットによる情報過多が現代の若者にとって、自分自身をコントロール不能にしてしまっていて、トリガーとなっているように思えるのだ。
一言で言うなら、夢と現実の差がとても小さく感じてしまうのだろう。手に届きそうなたくさんの夢と小さくみえるが実際には乗り越えられない現実の壁。
若者達よ、きちんと乗り越えなさい!
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コメント
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とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。。
投稿: 履歴書の書き方 | 2011年10月 5日 (水) 13時02分